第二種電気主任技術者

プロが教える効率的に合格するための勉強法

勉強前に知っておくべきこと 3つの点を理解した上で効率的に合格しましょう。

電験二種の試験勉強をはじめる前に、以下の3つのポイントを知っておきましょう。

  1. 数学的な知識が求められる問題が多いこと
  2. マークシート式の一次試験と異なり二次試験は記述式試験であること
  3. 一次試験・二次試験ともに合格率30%未満の難関試験であること

上記のポイントを押さえた効果的な勉強方法をお伝えします。
「何から手を付けていいかわからない」という人は、本記事を参考にして試験勉強に取り組んでみてはいかがでしょうか。

合格に必要な勉強時間 電験二種に合格するには400~600時間の勉強時間が必須

15ヵ月前から勉強を始める方=計算が苦手で実務経験もない人

合計学習時間 1200時間程度
平日 2~3時間
土日 4~5時間

9ヵ月前から勉強を始める方=実務経験はあるがしっかり対策したい人

合計学習時間 600時間程度
平日 1.5~2時間
土日 4~5時間

6ヵ月前から勉強を始める方=実務経験が豊富または電験三種を簡単に取得できた人

合計学習時間 400時間程度
平日 1.5~2時間
土日 3~4時間

電験二種に合格するには、600時間ほど試験勉強にあてるのが理想的です。
全体的に電験三種よりも難易度が上がっているため、たとえ電験三種の取得直後であっても十分な時間を試験対策に割く必要があります。

実務経験がほとんどなかったり計算が苦手だったりする場合は、数学の勉強時間としてさらに500~1000時間ほど追加で確保することをおすすめします。
完全初心者で一発合格を狙うのであれば、1000時間以上かつ1年以上かかることを覚悟しておきましょう。

実務経験が豊富な人は200~300時間程度の勉強で合格する例もありますが、一次試験と二次試験ともに合格率が例年3割を切っているので容易ではありません。日常的に出題範囲の知識を使って仕事をしている場合でも、最低限400時間程度は必要とみておくべきです。

押さえるべきポイントと対策 一次試験の理論科目と二次試験の電力・管理科目の攻略がカギ

電験二種の試験はすべて学科試験であり、一次試験はマークシート式で4科目、二次試験は記述式で2科目の受験が必要です。

一次試験のポイント

  1. 理論
    理論科目では、公式や法則を使用して計算を行ったり式を変形したりするような、数学的な問題が出題されます。出題範囲は電気分野・電子分野が中心で、一次試験ではもっとも合格率の低い難関科目です。
  2. 電力
    電力科目では、マークシート式の空欄補充問題が多く出題されます。発電所や送電線路の設計・運用が主な出題範囲で、一次試験の4科目中で合格率が一番高い科目です。
  3. 機械
    機械科目では、空欄補充問題に加えて計算問題もよく出題されます。科目合格率は一次試験の中では比較的高いですが、パワーエレクトロニクスをはじめ部分的に難関項目がある点には注意が必要です。
  4. 法規
    法規科目では、電気事業法をはじめ、電気工事に関する法令の知識問題が出題されます。誤答を誘う選択肢も多いため、頻出の条文については正確な暗記を心がけてください。

二次試験のポイント

  1. 電力・管理
    電力・管理科目では、計算問題と論述問題がバランスよく出題されます。設問の内容は一次試験の電力科目に近く、発変電所の設計や運用などが中心です。
  2. 機械・制御
    機械・制御科目では計算問題の割合が非常に高く、論述問題はめったに出題されません。一次試験の機械科目を発展させたような内容ですが、計算過程も評価対象になるため難易度が高くなっています。

電験二種は非常に高難度の試験であり、試験科目が多く出題範囲も広いです。科目合格制度を用いることを前提に、最初から一発合格を捨て、2年以上かけて資格を取得する方も珍しくありません。

理論科目の内容 土台となる部分が出題範囲に多く含まれるので、基礎固めが肝心です。

科目 理論
問題形式 マークシート式(一次試験)
合格ライン 合格基準は年度ごとに決定
※令和2年度:54点(90点満点)

理論科目は一次試験における難関科目といわれており、電験三種から大幅に難易度が上昇しています。
令和2年度試験では、合格率はわずか12.4%と20%を切っていました。

数学知識をはじめ、ほかの科目の土台となる部分が出題範囲に多く含まれるので、時間をかけて試験対策しましょう。

対策
01

公式を正確に覚えておく

理論科目で出題されるのは、公式をもとに式変形を行ったり数値を算出したりする数学的な問題がほとんどです。

公式は問題冊子に記載がありませんので、参考書や過去問をやりこみ、主要なものは正確に暗記しておきましょう。

対策
02

数学の基礎固めを行う

数学が得意な人や実務で公式を使っている人を除き、理論科目に着手する前に数学の基礎固めを行っておくとスムーズです。

微分・積分やラプラス変換などを理解している前提で問題が作られていますので、不安な人は数学の参考書を購入するとよいでしょう。

電力科目の内容 過去問題 / 参考書を中心に何度も勉強してください。

科目 電力
問題形式 マークシート式(一次試験)
合格ライン 合格基準は年度ごとに決定
※令和2年度:54点(90点満点)

電力科目は、空欄補充問題が中心に出題される一次試験の科目です。令和2年度試験の科目合格率は46.2%と高いため、科目自体の難易度はそれほど高くありません。

ただし二次試験の電力・管理科目と出題範囲が近いため、一次試験でもっとも力を入れるべき科目だと考える受験生も多いです。

対策
01

学んだ知識を整理しておく

電力科目では主に、空欄に当てはまる選択肢を選ぶ空欄補充問題が出題されます。

それぞれの用語や原理を理解していないと正しい選択肢が選べないため、問題演習や参考書を繰り返し解き、知識の整理を進めておきましょう。

対策
02

勉強用の教材は問題の難易度を見て決める

電力科目の勉強前に過去問や参考書を確認し、どの程度の難易度か確認したうえで教材を選びましょう。

電力科目は電験三種と比べて若干難しくなっているものの、理論科目ほど大幅な変化はありません。電験三種の参考書を持っている場合、電験二種の参考書は必要に応じて購入すればよく、過去問中心の勉強でも十分合格を狙えるはずです。

機械科目の内容 誘導機、変圧器はよく出題される項目。必ず押さえてください。

科目 機械
問題形式 マークシート方式(一次試験)
合格ライン 合格基準は年度ごとに決定
※令和2年度:54点(90点満点)

機械科目では空欄補充問題の出題頻度が高いですが、計算問題も含まれています。

誘導機、変圧器についてはよく出題される項目ですので、試験当日まで時間がない場合は優先的に学習を進めましょう。

対策
01

必要に応じて数学の基礎固めを行う

機械科目では理論科目と同じく、式変形をともなう数学的な問題が出題されます。数学の知識は理論科目でも必要になるので、遠回りに思えても地道に基礎固めを行いましょう。

とくに参考書や過去問に取り組んでみて難しいと感じた場合、数学の基礎知識が不足している可能性が高いです。

対策
02

過去問を中心に勉強する

電験二種の機械科目の難易度は、電験三種と同じか少し難しい程度です。電験三種の受験経験があるなら、参考書での勉強は早めに切り上げて過去問に集中するのも1つの手です。

過去問では数学的な問題、単純な知識問題を一度に対策できるため、試験勉強の効率アップも期待できます。

法規科目の内容 暗記科目のため、時間をかけて少しずつ進めましょう。

科目 法規
問題形式 マークシート方式(一次試験)
合格ライン 合格基準は年度ごとに決定
※令和2年度:54点(90点満点)

法規科目は空欄補充問題が中心で、電気工事関連の法令について問われる暗記科目です。出題範囲の法令としては電気事業法、電気設備に関する技術基準を定める法令(電気設備技術基準)などが挙げられます。

令和2年度試験の科目合格率は33.8%と理論科目より高いですが、暗記が苦手な場合は大きな関門となる科目です。

対策
01

専門用語や条文を正確に暗記する

法規科目は空欄補充問題が中心の暗記科目ですので、専門用語や条文を正確に暗記するように心がけてください。

たとえばある設問の選択肢では、「軽負荷」と「無負荷」のように意味の近い言葉が並んでいます。あいまいな記憶では正解が選べないため、頻出の条文については細かい文章表現にも気を付けて覚えましょう。

対策
02

高電圧設備に関する項目の対策を行う

電験二種では、電験三種では範囲外だった、5万ボルト以上の事業用電気工作物についての項目も出題範囲に含まれます。

電験三種ではなく電験二種用の参考書を入手して試験勉強を進め、高電圧設備に関する問題に対応できるようにしておきましょう。

電力・管理科目の内容 試験時間120分。時間配分に気をつけバランスよく取り組んでください。

科目 電力・管理
問題形式 記述式(二次試験)
合格ライン 合格基準は年度ごとに決定
※令和2年度:2科目合計108点(180点満点)、かつ各科目平均点以上

電力・管理科目は計算問題および論述問題どちらの問題も含まれる難関科目です。発電所や変電所、送電線路などの設計・管理に関する内容が出題されます。

試験時間は機械・制御科目の2倍(120分)と全科目で最大の長さですので、過去問で実戦経験を積み、時間配分を考えておきましょう。

対策
01

計算問題と論述問題いずれの対策も行う

電力・管理科目では、計算問題と論述問題がバランスよく出題されますので、必ず両方の対策を行いましょう。

「電圧降下の計算問題」「断線による障害の対策についての論述問題」が同じ大問中に存在するといったように、2つが組み合わされていることもあります。

対策
02

過去問で出題傾向をつかむ

電力・管理科目では6問の大問中4問を選択して解答しますので、解きやすい問題を選び、確実に解くことが合格への近道です。過去問や参考書で出題傾向をつかみ、比較的簡単な問題や自分に合う問題を見つけておきましょう。

たとえば、水力や火力発電の計算問題は比較的簡単で、地絡に関する問題は難しいといわれています。

機械・制御科目の内容 計算問題に集中して取り組んでください。

科目 機械・制御
問題形式 記述式(二次試験)
合格ライン 合格基準は年度ごとに決定
※令和2年度:2科目合計108点(180点満点)、かつ各科目平均点以上

電験二種の機械・制御科目は、計算問題が主体の二次試験の科目です。

電気機器、パワーエレクトロニクスなど、一次試験の機械科目と出題範囲が近い科目です。パワーエレクトロニクスは一次試験と同様に難易度が高い傾向にあります。

対策
01

計算問題に集中して取り組む

機械・制御科目では論述問題がまれに出ることもありますが、ほぼ計算問題しか出題されません。出題頻度が圧倒的に高い計算問題に集中して取り組みましょう。

記述式試験で計算過程も書かなければならず、一次試験とは比べ物にならない難易度になっています。勉強時間も多めに確保する必要があるので、論述問題は余裕があれば勉強する程度でよいでしょう。

対策
02

過去問で解法パターンを把握する

機械・制御科目では計算問題が主体のため、過去問を繰り返し解いて頻出問題および解法パターンを押さえておくのが重要です。

過去問や参考書は現在の試験制度に変わった平成7年以降の新しいものを使用し、最新の傾向をつかんでおきましょう。

学習スケジュール 電験二種の出題範囲とタイプ別学習スケジュール例

電験二種の各科目における出題範囲を以下の表に示しました。
実務経験がある方の場合、スケジュールを立てる前に苦手・得意そうな項目があるか確認しておくとよいでしょう。

一次試験

理論 電気理論、電子理論、電気計測及び電子計測
電力 発電所及び変電所の設計及び運転、送電線路及び配電線路(屋内配線を含む。)の設計及び運用並びに電気材料
機械 電気機器、パワーエレクトロニクス、電動機応用、照明、電熱、電気化学、電気加工、自動制御、メカトロニクス並びに電力システムに関する情報伝送及び処理
法規 電気法規(保安に関するものに限る。)及び電気施設管理

ニ次試験

電力・管理 発電所及び変電所の設計及び運転、送電線路及び配電線路(屋内配線を含む。)の設計及び運用並びに電気施設管理
機械・制御 電気機器、パワーエレクトロニクス、自動制御及びメカトロニクス

電験二種に合格するための学習スケジュールとは

電験二種は合格するために必要な勉強時間・期間が受験者のレベルに依存して変わります。

本記事では、実務経験や知識レベルにもとづいて受験者を初心者から上級者まで3つのタイプに分け、それぞれにおける最適なスケジュールについて解説します。タイプの分け方は以下の通りです。

Aタイプ

実務経験がないまたは数学の基礎知識に不安がある場合
(15ヶ月)

  • 電気工事および周辺業務の実務経験があまりない方
  • 電気主任技術者試験を受験したことがない方
  • 電験三種の試験に苦戦した方
Bタイプ

実務経験はあるが試験対策を徹底したい場合
(9ヶ月)

  • 実務経験があり一発で合格を目指したい方
  • 数学に苦手意識がない方
  • 電気主任技術者試験の受験経験がある方
Cタイプ

実務経験を通じて専門知識が身についている場合
(6ヶ月)

  • 認定合格制度は利用できないものの十分な実務経験がある方
  • 簡単に電験三種に合格できた方
  • 暗記も計算も抵抗がない方

上記の3つのモデルケースについて、それぞれのケースごとの学習スケジュール例は以下の通りです。
「どう進めていいかわからない」とお悩みの方は、本記事のスケジュール例を軸に学習計画を練ってみてください。

15ヶ月目標
9ヶ月目標
6ヶ月目標
3時間前後勉強 / 1日

1 ~ 5

ヶ月目

5 ~ 10

ヶ月目

10 ~ 13

ヶ月目

13 ~ 15

ヶ月目
数字
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
理論
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
電力
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
機械
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
法規
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
過去問
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
計算問題(ニ次試験)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
論述問題(ニ次試験)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  1. 電験二種では数値計算や式の変形などを行う問題が多いため、一次試験・二次試験問わず数学的な知識が必要です。数学が苦手な方はまず数学の基礎固めを優先しましょう。電験二種受験者を対象とした数学勉強用のテキストも市販されています。
  2. 一次試験の4科目中でもっとも合格率が低いため、最初に理論科目に取り組みましょう。機械科目や電力科目などの基礎知識が出題範囲に含まれるため、理論科目を先に終わらせることで勉強の効率もアップします。
  3. 数学および理論科目の攻略が済んだところで、計算問題が出題される機械科目に着手しましょう。出題範囲が比較的広いため、時間がない場合は項目ごとに優先度をつけるのも手です。その場合は試験で頻出の誘導機や変圧器に力を入れ、難易度の高いパワーエレクトロニクスの優先度を低めに設定するのがおすすめです。
  4. 電力科目は空欄補充問題が中心のため、暗記科目に近いといえます。合格率が高いため油断しがちですが、二次試験の難所である電力・管理科目と関連性が高いため手を抜かずに勉強してください。
  5. 電験二種の法規科目では、基本的に空欄補充問題しか出題されません。ひたすら暗記を繰り返して知識を定着させる必要があるため、記憶が抜け落ちないように試験直前に取り組んでください。
  6. 参考書を一周して基礎固めが終わったら、あとは過去問を繰り返し解くのが有効です。各科目の内容を忘れてしまわないか心配であれば、一科目終えるごとに過去問を挟む形で進めてもよいでしょう。
  7. 電力・管理科目と機械・制御科目では、いずれも計算問題が出題されます。計算不要な論述問題と比べると理解するのに時間がかかるため、先に着手するのがよいでしょう。
  8. 一次試験で基礎知識を身に着けつつ、二次試験の対策も同時に進めるのがおすすめです。一次試験と二次試験の間には2ヵ月の猶予がありますが、勉強期間が不足しないように一次試験の前から勉強を開始しましょう。

忙しい社会人はEラーニング教材を活用すると効果的

電験二種の試験対策は、過去問を含む問題演習を繰り返すのが有効です。
ただ、仕事で多忙な社会人にとって、自宅でじっくり勉強する時間を確保するのは難しい日も多いでしょう。

そこでおすすめなのは、時間も場所も選ばずに試験対策を行えるEラーニング教材の導入です。スマホ一台だけで完結するので、テキストを広げにくい公共機関での移動中や、突然ぽっかり空いた待ち時間などで試験勉強を進めることが可能です。

「仕事から帰ってくると疲れて何もできない」「家ではゆっくり休みたい」という方は、ぜひEラーニング教材の導入を検討してみてください。

SATの電験二種通信講座の内容