危険物取扱者の試験内容
皆さんが取得を目指される危険物取扱者試験とはどういう試験なのかについてみていきます。どういう問題が出題されていて、現状の合格率はどうなっているかを知ることはとても大切な事です。
危険物取扱者の試験スケジュール 都道府県ごとに変わるため、公式サイトにて必ずご確認ください
受講資格は無く、どなたでも受講していただけます。
試験のスケジュールは、実施主体となる都道府県ごとに異なりますので、一般財団法人消防試験研究センターのホームページからお住いの近くにある都道府県の試験日を確認してください。(引用元:https://www.shoubo-shiken.or.jp/)
受験申し込み方法
受験の申し込みは、インターネットによる電子申請もしくは最寄りの消防署で配布されている紙の申請書による申し込みが可能です。 なお、申込から受験、そして合格後の免状交付申請までの一連の流れは上記の図の通りです。(引用元:https://www.shoubo-shiken.or.jp/kikenbutsu/guide.html)
試験項目の具体的な内容 3科目の試験内容。受験日から逆算して対策を行いましょう。
1
出題範囲 | 物質の状態変化、電気・湿度、熱量、気体に成立する法則など物理・化学の基本分野 |
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2
出題範囲 | 乙種1~6類の危険物の一般的な性質、燃焼・消火の理論と消火設備、乙種4類に属する危険物の特徴と性状 |
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3
出題範囲 | 危険物の定義、危険物の取扱基準、資格者制度、製造所等における貯蔵・取扱基準など |
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合格率からわかる危険物取扱者の難しさ ここ数年の合格率は30%から40%で推移しています。
危険物取扱者 乙4類 受験者数データ
【円グラフ】ソースコードでご覧ください。上のdata-valueの値を変えてお使いください*小数点は使用不可です。この文は実際の画面では表示されません。
危険物取扱者 乙4類
2022年度の合格率は
年度 | 合格者 |
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平成29年度 | 34.4% |
平成30年度 | 39.0% |
令和元年度 | 38.6% |
令和2年度 | 38.6% |
令和3年度 | 36.0% |
令和4年度 | 31.5% |
https://www.shoubo-shiken.or.jp/result/
受験者数は、毎年30万人程度が受験しています。受験資格がなく、技術系資格の登龍門的な位置づけにありますので、非常に人気の高い国家資格と言えます。
他の類の合格率が高いのは、乙4類を受験して合格をしたのちに受験することで2科目(法令、物理・化学)免除により、類ごとの物性のみの試験となるためです。
よって、3科目すべての受験を要する乙4類が最も難しいのです。この点からも、物理・化学の本質をいかに効率よく会得し、それを基に規制のルール(法令)を知ることが重要な事がわかります。
試験問題の種類 種類は全部で4つ。全て5個の選択肢の中から答えを選びマークシートに記入する選択式です。
各科目の試験問題には、「計算問題 / 個数問題 / 正誤問題 / 空欄補充問題」の4種類があります。
- 計算問題
- 公式等を使用して計算を行い、計算結果として答えを出す問題です。
- 個数問題
- 正しいものや誤っているものの個数を答えとして出す問題です。
- 空欄補充問題
- 説明文の一部が空欄になっており、空欄に適切な語句を選択する問題です。
- 正誤問題
- 複数の文から内容が誤った文章、もしくは正しい文を選択する問題です。
試験問題は、計算問題、正誤問題、個数問題、空欄補充問題などの出題形式があります。
最も多いのは、正誤問題と個数問題です。
例えば、「次の選択肢の中で、正しい記述のものはどれか」。
この場合、各選択肢を見て、正しい説明文となっている選択肢をチョイスします。また、誤っているものを選ぶ問題もありますが、この時の出題に特徴があります。それは、国語的な問いや問われ方がほとんどだということです。
01
主語と述語の対応関係があっているか否か
例えば、「予防規程の策定・変更は、市町村長等の許可を要する」という問題があったとします。
この時、予防規程(主語)=認可(述語)と分かっていれば、‘許可’というフレーズは誤りであると分かります。また、許可以外にも市町村長等の箇所を、‘消防署又は消防署長’としている問題もあります。
02
以上か以下か、未満か超えるか。
該当する数値を含んで大きい(小さい)か、含まないで大きい(小さい)かの違いです。
例えば「屋内貯蔵所の内部面積は、1,000㎡未満でなければならない」
この場合、1,000㎡以下が正しいので、誤りとなります。
03
接続詞は、「〇〇と△△」か、「〇〇又は△△」か。
例えば「特殊引火物は、1気圧で発火点が100℃以下又は引火点が-20℃以下又は沸点が40℃以下のものが該当する」のような場合です。
特殊引火物の要件は「1気圧で①発火点が100℃以下又は、②引火点が-20℃以下で沸点が40℃以下のものが該当する」が正しいです。
つまり「②の要件は引火点-20℃以下と沸点40℃以下は同時に満たす必要」があります。問題文を見ると、要件が3つになっていることが分かります。
特殊引火物は「1気圧で①発火点が100℃以下又は②引火点が-20℃以下又は③沸点が40℃以下のものが該当する」ため、この場合は誤りとなります。
本質を理解するために、効率よく学習するためには受験傾向や出題者の意図や考えを十分に考察したテキストを使って理解しやすいイラストや図解によるイメージをつかむ学習が必須なのですが、その知識を解くための方法は、国語的な観点に注意を払って問題に向き合うことと言えます
試験対策・テクニック 試験時間は2~2時間半時間は十分にあるため、落ち着いて試験に臨むことが求められます。
試験時間は、乙4類が2時間、甲種は2時間30分となっています。問題数に対する試験時間で考えると、時間は十分にありますので焦らずに落ち着いて試験に臨むことが求められますが、以下問題文を解くうえでのテクニックと本試験中のポイントをお伝えします
01
何を問うているのか、問題文の『正』か『誤』に〇をする!!
多くの問題を解いているうちに、例えばずっと「正しいものはどれか」の問題が続いていて、突如「誤っているものはどれか」と変わっているときに、うっかり正しいものが選択肢の1だと早合点してしまう受験生が散見されます。まず、この問題では何を問うているのかをチェックする意味でも、正と誤に〇をしましょう。
02
選択肢間の矛盾があれば、どちらかが選ぶべき選択肢となる!!
正しい答え、若しくは誤りの答えを選ぶ問題にあって、矛盾する選択肢があれば、どちらかが正解か不正解となります。
数多くの問題を解く中で、気づかぬうちにひとつひとつの選択肢に目が行く代わりに、選択肢間の関係性や関連性が抜け漏れしているのです。
5つの選択肢すべてを分からない場合もありますが、うち3~4つの選択肢の正誤が判断できれば、あとはその分かる選択肢と分からない選択肢との間に矛盾がないかで見つけることで、思わぬ発見や答えにたどり着くこともあります。
03
わからない問題は、身の回りの現象や日常に置き換えて考えてみる。
例えば、物理・化学の分野でも、危険物の性質や法令においても、静電気による火花放電による対策について問われることがあります。こんな問題がありました。
「静電気が帯電している物質を電気的に絶縁することは、静電気対策として適切な方法である」
この問題は不正解の問題です。覚えている人には容易な内容かもしれませんが、微妙だなーという人は、こう考えましょう。
- 静電気を帯びている状態が危険
- だから、静電気の帯電状態をなくすために他の金属に触れたり、静電気除去装置に触れる
- 家電製品でも接地(アース)ってあったなー
- 電気的に絶縁(シャットアウト)したら、帯電した電気を放電できない
- ずっと帯電状態でとても危険⇒誤りでは?
となるわけです。暗記に頼ってしまうと、急なド忘れやテキストと異なる記載や問われ方で記憶がプッツリと飛んでしまう人がいます。しかし、本質を理解することを意識した学習では、上記のように頭の中で自ら考える力を養成しますので、効率的にかつ確実な正解を導き出すことができるのです。