無線従事者資格の中で特に人気がある資格 一級陸上特殊無線技士は、陸上の無線通信設備を操作するための国家資格
一級陸上特殊無線技士は、「一陸特」と略して呼ばれることもあります。
無線を取扱うために必要な資格は、陸上、海上、航空など、無線の使用範囲や周波数によって様々な種類がありますが、一級陸上特殊無線技士は、陸上の無線設備の技術的な操作をすることが許された国家資格です。
一級陸上特殊無線技士を取得すると、陸上の無線設備であれば、ほぼすべてを取り扱うことが可能になります。
その中でも、テレビ放送局の中継設備や、携帯通信の基地局などの多重無線設備を扱うことができるのがこの資格の強みの一つです。
急速な通信技術の発展により、有資格者の活躍する場も広がっており、近年、需要が急速に伸びている資格です。
今後もIT技術の発展と共に、有資格者の需要は上昇していくこと予想されています。
一級陸上特殊無線技士と、他の陸上特殊無線技士との違い 陸上特殊無線技士には、「一陸特」「二陸特」「三陸特」の種類がある
陸上特殊無線技士は、一級陸上特殊無線技士、二級陸上特殊無線技士、三級陸上特殊無線技士の3種類の資格があります。
それぞれの資格種別は、操作できる無線設備の周波数・空中線電力などに違いがあり、上位資格になるほど操作の範囲が広がっていきます。
ここで言う、「操作」とは、電波法の「技術操作」の意味です。以降、「技術操作」のことを「操作」と表します。
一級陸上特殊無線技士の操作の範囲は、二級・三級の操作の範囲に属する操作すべてを含んでいます。
すなわち、陸上特殊無線技士の中では一級が最上位の資格になります。
陸上特殊無線技士の種類別業務範囲
一陸特
陸上の無線設備の操作範囲 | ・空中線電力500W以下の多重無線設備で30MHz以上の周波数の電波を有するもの ・二級の使用範囲 |
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就業場所 | 放送局(テレビ中継回線) 無線中継基地 |
二陸特
陸上の無線設備の操作範囲 | ・多重無線設備を除いた1,606.5~4,000kHzまでの周波数の電波を使用する10W以下のもの ・無線局のレーダーで上記以外のもの ・人工衛星局の中継により無線通信を行うものの空中線電力50W以下の多重無線設備 ・受信障害対策中継放送局及び特定市区町村放送局の無線設備 ・三級の操作の範囲 |
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就業場所 | 防災行政無線 警察無線 消防無線 タクシー無線 |
三陸特
陸上の無線設備の操作範囲 | ・レーダー及び人工衛星局の中継により無線通信を行う無線局の多重無線設備を除いた以下 1)25,010kHz~960MHzまでの周波数の電波を使用する空中線電力50W以下のもの 2) 1,215MHz以上の周波数の電波を使用する空中線電力100W以下のもの |
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就業場所 | 小規模基地局 タクシー無線 |
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現在進行形で需要が拡大中
スマホやタブレットの普及が広がり、使用される通信量が年々増加している状況の中、通信網の拡大や、通信設備の充実が進み、一級陸上特殊無線技士の需要は軒並み高くなっています。
特に、現在は、次世代移動通信5Gへの対応のために、有資格者の求人は数多く存在しています。
通信キャリアやテレビ放送関連など、大企業で就業することも多いため、有資格者は収入面で優遇され、重要なポストで従事している方が多い傾向にあります。
将来性のある資格として注目度は高い
近年の通信技術の発展は目覚ましいものがあり、より早く、より大容量の通信へと進化を続けています。
特にモバイル通信では、3Gから4Gへと移り、現在は5Gへ移行する過渡期にあり、この先も更なる発展が続いていくことが簡単に予想できます。
このような状況にあって、無線設備を扱うスペシャリストである一級陸上特殊無線技士には、大きな期待が寄せられています。
今後も通信技術の発展と共に有資格者の価値は上昇していくことになるでしょう。
登録検査等事業者で従事できる数少ない資格
民間の無線局は、電波法に基づいた定期検査を継続して行う義務があります。
この定期検査を行うのが総務大臣より認定を受けた登録検査等事業者です。
一級陸上特殊無線技士は、登録検査等事業者が行う検査業務の中で、点検員、判定員として従事できる数少ない資格となっています。
平均年収は高め
一級陸上特殊無線技士は、現在の通信需要の拡大も影響し、収入面で優遇されています。
資格取得の際には、取得祝い金として数万円が支給されることや、毎月資格手当が支給されることが多い資格です。
平均年収は600万円以上で、中には、1,000万円を超える方も少なくありません。
無線を扱う専門資格であるという希少性の高さがあり、通信キャリアやテレビ局などの大企業で従事することが多いため、福利厚生なども優遇された職場が多いようです。
仕事内容 主な業務は、無線設備の保守監視。通信状態を維持するために活躍する
01
室内での監視業務
無線設備を監視するシステムを利用して、監視保守をします。障害発生時などではアラームで告知され、障害内容に応じて対応します。
多くの場合は、リモート操作で対応し、必要であれば障害に対応する技術者へ依頼を指示します。
勤務時間は、24時間体制が多く、シフト制での交代勤務が多い傾向があります。
02
設置場所を巡回し基地局のメンテナンス
ビルの屋上などに設置されている携帯基地局など、異常の有無を検査し、必要に応じて設備の修復作業を行います。
無線設備にパソコンを繋いでの確認や、専用のシステムを使用した状態確認を行うことが多いようです。
携帯基地局は、至る所に存在しているため、就業場所によっては、屋上などの高所や山奥などに出向かうこともあるようです。
行動範囲が広いため、普通自動車免許が必要になります。
03
新規基地局の設置
通信網を広げるために、新しく基地局を設置するための業務です。
通常、一人で業務にあたることはなく、チームを組んで基地局設置のプロジェクトを遂行します。
作業技術者というより、チームのリーダーとしての役割を担うことが多く、作業進捗の管理や、作業品質の確認を行います。
責任が大きいため新人ではなく、比較的、ベテランの方が担当している業務です。
04
電波状態の確認
基地局の新規施設や、顧客からの依頼により、該当エリアの電波状況の測定を行います。
現地まで向かい専用の測定器を使用して、周辺一帯のデータを収集し、調査結果で得たデータをもとに、電波状況の改善のための分析をします。
無線技術に専門的な知識を持つため、コールセンターからの依頼で各顧客先へ向かう技術者としても重宝されています。