フルハーネス型墜落制止用器具特別教育

フルハーネス特別教育の受講科目が免除になるケースとは?

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フルハーネス特別教育は2018年6月の法改正で新設された制度です。2019年2月に施行されたばかりですが、該当する作業に従事する方は、受講・修了していないと作業をすることができません。

ですが、心配することはありません。18歳以上であれば誰でも受講でき、事前学習も不要で、すべて受講したとしても6時間で修了できるカリキュラムです。さらに、実務経験によっては免除もあり最大0.5時間で済んでしまう資格です。

この記事では法改正の内容や具体的な免除科目など、この記事だけで丸ごと解決できるようにまとめていますので、是非最後まで目を通してみてください。

フルハーネス特別教育とは

フルハーネス特別教育の概要

わが国では、毎年約1,000人が労働災害で命を落としていますが、その25%が墜落・転落によるものです。建設業ではこの傾向がさらに顕著で、半数が該当します。原因としては安全帯が正しく使用されていなかった、点検を怠っていたため安全帯が機能しなかったというように、正しい知識を持っていれば未然に防ぐことができるものばかりです。

そこで、墜落制止用器具(旧安全帯)を必要とする作業者の安全を確保するために、平成30(2018)年6月労働安全衛生法が改正され、平成31(2019)年2月に施行されました。

具体的な改正の内容は以下の通りです。
1.呼称を従来の「安全帯」から「墜落制止用器具」とする。
2.構造に関するJIS規格を変更する。
3.一部例外を除き、フルハーネス型の着用を義務づける。
4.フルハーネス型墜落制止用器具の使用方法に関する特別教育の受講を義務づける。

従来の安全帯は、「1本つり胴ベルト型」「U字つり胴ベルト型」「ハーネス型」が主に利用されていましたが、このうちU字つり胴ベルト型については墜落制止用器具として不適切となりました。また、胴ベルト型は墜落の際に腰部骨折・内臓破裂を招いたり、上部にずりあがることで胸部圧迫などの災害報告があがっており、新規格に適合する製品の製造・販売がすでに始まっています。

現在は経過措置中となっているため、令和4(2022)年1月1日までは従来規格の安全帯を製造・販売・使用することができます。しかし、令和4(2022)年1月2日からは使用できなくなりますので、従来の規格で作られた安全帯やU字つり胴ベルト型を使用されている方は早めに準備していきましょう。

フルハーネス特別教育の受講が義務付けられている業務

法改正により、墜落制止用器具の製造・販売・使用については猶予期間があることはご紹介しましたが、フルハーネス型墜落制止用器具の特別教育に対する受講については猶予期間がなく、平成31(2019)年2月から特別教育の修了が義務づけられています。具体的に条件をみていきましょう。

「高さが2メートル以上の箇所であって作業床を設けることが困難なところにおいて、墜落制止用器具のうちフルハーネス型のものを用いて行う作業を行う者」が、特別教育を修了していないと作業できないということになります。
とび、手すりのない足場の最上段、屋根上などの作業が該当しますが、これまで安全帯でよかった現場でもフルハーネス型の着用が義務づけられているので、多くの方に受講が必須となっています。

フルハーネス特別教育の受講科目

ここからは、具体的にフルハーネス型墜落制止用器具の特別教育について、詳しくご紹介します。
フルハーネス特別教育は学科4.5時間、実技1.5時間の計6時間で構成されています。

<学科>
1.作業に関する知識(1時間)
①作業に用いる設備の種類、構造及び取扱い方法
②作業に用いる設備の点検及び整備の方法
③作業の方法

2.フルハーネス型墜落制止用器具に関する知識(2時間)
①墜落制止用器具のフルハーネス及びランヤードの種類及び構造
②墜落制止用器具のフルハーネスの装着の方法
③墜落制止用器具のランヤードの取付け設備等への取付け方法及び選定方法
④墜落制止用器具の点検及び整備の方法
⑤墜落制止用器具の関連器具の使用方法

3.労働災害の防止に関する知識(1時間)
①墜落による労働災害の防止のための措置
②落下物による危険防止のための措置
③感電防止のための措置
④保護帽の使用方法及び保守点検の方法
⑤事故発生時の措置
⑥その他作業に伴う災害及びその防止方法

4.関係法令(0.5時間)
労働安全衛生法、労働安全衛生法施行令及び労働安全性規則中の関係条項

<実技>
5.フルハーネス型墜落制止用器具の使用方法(1.5時間)
①墜落制止用器具のフルハーネスの装着の方法
②墜落制止用器具のランヤードの取付け設備等への取付け方法
③墜落による労働災害防止のための措置
④墜落制止用器具の点検及び整備の方法

フルハーネス特別教育の一部の科目を免除できるケース

ここまで触れてきたカリキュラムは、労働安全衛生法施行通達に規定されている実務経験によって一部が免除されます。どのような方が何の科目を免除されるのかを具体的にみていきましょう。

1.高さが2メートル以上の箇所で作業床を設けることが困難なところにおけるフルハーネス型の安全帯を用いて行う作業に6月以上従事した経験を有する者
「作業に関する知識(1時間)」「墜落制止用器具に関する知識(2時間)」「墜落制止用器具の使用方法等(1.5時間)」が免除されます。つまり、学科の「労働災害の防止に関する知識」と「関係法令」の1.5時間だけで終わりです。

2. 高さが2メートル以上の箇所で作業床を設けることが困難なところにおける胴ベルト型の安全帯を用いて行う作業に6月以上従事した経験を有する者
「作業に関する知識(1時間)」のみが免除されます。

3.足場の組み立て等の業務に係る特別教育又はロープ高所作業に係る特別教育を受けた者
「労働災害の防止に関する知識(1時間)」のみが免除されます。

4.平成30(2018)年6月の法改正から平成31(2019)年2月の施行までの間に、特別教育の一部又は全部を受講した者
「修了した科目」が免除されます。

以上の通り一部免除はご紹介しましたが、該当箇所で自身が作業をする場合は、必ず特別教育を修了していないといけません。従って、特別教育の全てが免除されることはありませんので、注意してください。

まとめ

フルハーネス特別教育は「高さが2メートル以上の箇所で作業床を設けることが困難なところにおけるフルハーネス型の安全帯を用いて作業をする場合」、作業前に必ず受講・修了していなければならないというものです。

また、従来の規格で製造・販売された安全帯の使用は令和4(2022)年1月1日まで猶予が設けられていますが、この特別教育に関しては猶予期間がないので作業に従事する場合は必ず修了しなければなりません。

とはいえ、一般の資格や検定と違い18歳以上であれば誰でも受講をすることができるので、対象の業務に従事する予定がある方は早めに受講しておきましょう。事前の勉強も不要で、さらにすべて受講しても6時間で修了することができます。実務経験によっては一部免除となる科目が多いのも特徴です。

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