特に建設業で多く見られる墜落事故を防ぐための対策として、事業者は作業者に対してフルハーネス特別教育(フルハーネス型墜落制止用器具特別教育)を受講させる必要があります。
学科と実技で合計6時間のカリキュラムですが、一定条件を満たす場合は一部学科科目の受講が免除されます。
この記事では法改正の内容や具体的な免除科目など、この記事だけで丸ごと解決できるようにまとめていますので、是非最後まで目を通してみてください。
目次
フルハーネス特別教育の受講科目
まずはフルハーネス型墜落制止用器具の特別教育の全てのカリキュラムについて、詳しくご紹介します。フルハーネス特別教育は学科4.5時間、実技1.5時間の計6時間で構成されています。
フルハーネス特別教育 カリキュラム<合計:6時間>
<学科:合計4.5時間>
1.作業に関する知識(1時間)
①作業に用いる設備の種類、構造及び取扱い方法
②作業に用いる設備の点検及び整備の方法
③作業の方法
2.フルハーネス型墜落制止用器具に関する知識(2時間)
①墜落制止用器具のフルハーネス及びランヤードの種類及び構造
②墜落制止用器具のフルハーネスの装着の方法
③墜落制止用器具のランヤードの取付け設備等への取付け方法及び選定方法
④墜落制止用器具の点検及び整備の方法
⑤墜落制止用器具の関連器具の使用方法
3.労働災害の防止に関する知識(1時間)
①墜落による労働災害の防止のための措置
②落下物による危険防止のための措置
③感電防止のための措置
④保護帽の使用方法及び保守点検の方法
⑤事故発生時の措置
⑥その他作業に伴う災害及びその防止方法
4.関係法令(0.5時間)
労働安全衛生法、労働安全衛生法施行令及び労働安全性規則中の関係条項
<実技:合計1.5時間>
5.フルハーネス型墜落制止用器具の使用方法(1.5時間)
①墜落制止用器具のフルハーネスの装着の方法
②墜落制止用器具のランヤードの取付け設備等への取付け方法
③墜落による労働災害防止のための措置
④墜落制止用器具の点検及び整備の方法
フルハーネス特別教育の一部の科目を免除できるケース
ここまで触れてきたカリキュラムは、労働安全衛生法施行通達に規定されている実務経験によって一部が免除されます。どのような方が何の科目を免除されるのかを具体的にみていきましょう。
① 高さが2メートル以上の箇所で作業床を設けることが困難なところにおけるフルハーネス型の安全帯を用いて行う作業に6ヶ月以上従事した経験を有する者
「作業に関する知識(1時間)」、「墜落制止用器具に関する知識(2時間)」、「墜落制止用器具の使用方法等(1.5時間)」が免除されます。
つまり、学科は「労働災害の防止に関する知識」と「関係法令」の1.5時間だけで終わりです。
② 高さが2メートル以上の箇所で作業床を設けることが困難なところにおける胴ベルト型の安全帯を用いて行う作業に6月以上従事した経験を有する者
「作業に関する知識(1時間)」のみが免除されます。
③ 足場の組み立て等の業務に係る特別教育又はロープ高所作業に係る特別教育を受けた者
「労働災害の防止に関する知識(1時間)」のみが免除されます。
④ 平成30(2018)年6月の法改正から平成31(2019)年2月の施行までの間に、特別教育の一部又は全部を受講した者
「修了した科目」が免除されます。
以上の通り一部免除はご紹介しましたが、該当箇所で自身が作業をする場合は、必ず特別教育を修了していないといけません。
従って、特別教育の全てが免除されることはありませんので、注意してください。
フルハーネス特別教育が始まった理由
ここでは、フルハーネス特別教育の概要やできた理由について解説します。
フルハーネス特別教育の概要
わが国では、毎年約900人が労働災害で命を落としていますが、その25%が墜落・転落によるものです。建設業ではこの傾向がさらに顕著で、半数が該当します。
原因としては安全帯が正しく使用されていなかった、点検を怠っていたため安全帯が機能しなかったというように、正しい知識を持っていれば未然に防ぐことができるものばかりです。
そこで、墜落制止用器具(旧安全帯)を必要とする作業者の安全を確保するために、平成30(2018)年6月労働安全衛生法が改正され、平成31(2019)年2月に施行されました。
具体的な改正の内容は以下の通りです。
- 呼称を従来の「安全帯」から「墜落制止用器具」とする。
- 構造に関するJIS規格を変更する。
- 一部例外を除き、フルハーネス型の着用を義務づける。
- フルハーネス型墜落制止用器具の使用方法に関する特別教育の受講を義務づける。
従来の安全帯は、「1本つり胴ベルト型」「U字つり胴ベルト型」「ハーネス型」が主に利用されていましたが、このうちU字つり胴ベルト型については墜落制止用器具として不適切となりました。
また、胴ベルト型は墜落の際に腰部骨折・内臓破裂を招いたり、上部にずりあがることで胸部圧迫などの災害報告があがっており、新規格に適合する製品の製造・販売がすでに始まっています。
令和4(2022)年1月2日からは従来規格の安全帯を使用できなくなっているので、新規格で作られた墜落制止用器具を準備しましょう。
フルハーネス特別教育の受講が義務付けられている業務
フルハーネス型墜落制止用器具の特別教育に対する受講については、平成31(2019)年2月からフルハーネス特別教育の修了が義務付けられています。
つまり「高さが2メートル以上の箇所であって作業床を設けることが困難なところにおいて、墜落制止用器具のうちフルハーネス型のものを用いて行う作業を行う者」が、特別教育を修了していないと作業できないということになります。
とび、手すりのない足場の最上段、屋根上などの作業が該当しますが、これまで安全帯でよかった現場でもフルハーネス型の着用が義務づけられているので、多くの方に受講が必須となっています。
フルハーネス特別教育を受講しましょう
フルハーネス特別教育は、高さが2メートル以上の箇所で作業床を設けることが困難なところにおけるフルハーネス型の安全帯を用いて作業をする場合、作業前に必ず受講・修了していなければならないというものです。
とはいえ、一般の資格や検定と違い18歳以上であれば誰でも受講をすることができるので、対象の業務に従事する予定がある方は早めに受講しておきましょう。
実務経験によっては一部免除できる科目もありますが、事前の勉強も不要で、さらにすべて受講しても6時間で修了することができます。
通信教育のSATでは、オンラインでフルハーネス特別教育を受講できます。
なおSATのオンライン講座には受講科目の免除制度はありませんのでご注意ください。また実技科目に関してはオンラインではなく実技実施責任者のもとで法定時間である1.5時間以上の講習を対面にて実施する必要があります。
とはいえ、24時間いつでも受講可能できるオンライン講座は大変便利です。講義のサンプル動画もHPに掲載されているので、受講を検討されている方は一度ご覧になられてはいかがでしょうか。
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フルハーネス特別教育の概要や免除される条件のまとめ
[sc_fs_multi_faq headline-0=”h3″ question-0=”フルハーネス特別教育とは?” answer-0=”フルハーネス特別教育は、墜落・転落による労働災害を防止するために使用するフルハーネス型墜落制止用器具の着用に関して学ぶ講習です。 これまで、安全帯などは以下のものが使用されていました。
・1本つり胴ベルト型
・U字つり胴ベルト型
・ハーネス型
現在は法改正が行われ、一部の例外を除き墜落制止用器具として、フルハーネス型の着用が義務付けられています。 そのため、フルハーネス型墜落制止用器具の使用方法に関して特別教育の受講が必要というわけです。” image-0=”” headline-1=”h3″ question-1=”フルハーネス特別教育が義務となる作業は?” answer-1=”フルハーネス特別教育の対象となるのは「高さが2メートル以上の箇所であって作業床を設けることが困難な場所で、フルハーネスを着用して作業する方」です。 具体的には、とびや手すりのない足場の最上段部分、屋根上での作業が該当します。
実際の現場で作業する際もフルハーネスの着用が義務付けられているため、作業従事者は必ず特別教育を受講して知識と技術をつけましょう。” image-1=”” headline-2=”h3″ question-2=”フルハーネス特別教育の一部の科目を免除できるケースは?” answer-2=”労働安全衛生法施行通達に規定されている実務経験によって、フルハーネス特別教育の一部科目の受講が免除できます。 具体的な実務経験は以下の通りです。
・高さが2メートル以上の箇所で作業床を設けることが困難なところにおけるフルハーネス型の安全帯を用いて行う作業に6月以上従事した経験を有する者
・高さが2メートル以上の箇所で作業床を設けることが困難なところにおける胴ベルト型の安全帯を用いて行う作業に6月以上従事した経験を有する者
・足場の組み立て等の業務に係る特別教育又はロープ高所作業に係る特別教育を受けた者
・平成30(2018)年6月の法改正から平成31(2019)年2月の施行までの間に、特別教育の一部又は全部を受講した者” image-2=”” count=”3″ html=”true” css_class=””]