フルハーネス型墜落制止用器具特別教育

フルハーネス特別教育の義務化!対象の業務と受講方法について解説します

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高所作業を安全に行うための安全帯(墜落制止用器具)は、以前の胴ベルト型から、肩やもも、胸などを複数のベルトで固定するフルハーネス型安全帯に変わりました。フルハーネス型安全帯を使用する業務に従事する場合、フルハーネス特別教育(フルハーネス型墜落制止用器具特別教育)の受講が義務となります。こちらでは、特別教育の概要と受講対象者に該当する業務、受講方法について解説します。

フルハーネス特別教育が義務になる業務

フルハーネス特別教育の概要と、受講対象者となる業務は次の通りです。

フルハーネス特別教育とは?

フルハーネス特別教育とは、安全帯の正しい装着方法や点検、整備といった安全教育をする制度です。平成30年の法改正により、フルハーネス型安全帯が必要な対象業務の従事者に対し、特別教育を行うことが義務付けられています。

以前の胴ベルト型安全帯は、ベルトが緩んで体が抜けることによる落下事故、ベルトがずり上がることによる胸部や腹部の圧迫といった危険性があります。これらのリスクを低減できるフルハーネス型安全帯の知識を特別教育で深めることにより、墜落などの労働災害防止、安全性の向上といった効果が期待されます。

フルハーネス特別教育の受講対象者

フルハーネス型安全帯が必要な業務とは、「高さが2メートル以上で、かつ作業床の設置が困難な場所による作業」です。労働安全衛生法において、高さ2メートル以上では作業床や囲い、手すりなどを設けて墜落防止することが原則とされています。つまり、フルハーネス型安全帯はこれらの原則を満たせない場合の、代替措置という位置付けになります。

ただし、具体的な業務内容で特別教育の有無が異なります。特別教育に該当する、該当しない業務の一部を紹介しますので、受講前に必ず確認しましょう。

<特別教育に該当する業務>
・鉄骨上で鉄骨建て方の作業を行う
・鉄塔の組み立て、解体、変更作業
・足場を設置できない屋根上作業
・作業床とみなされない急こう配の屋根上作業、滑りやすい素材の屋根上作業
・ホイストに乗った状態で天井クレーンのホイストを点検する業務
・チェア型ゴンドラで行う作業全般
・電柱や通信柱での作業
・送電線の架線作業

これ以外でも、一部の作業でフルハーネス型安全帯が必要な業務もあります。

<特別教育に該当しない業務>
・足場の手すりを一時的に外す業務
・パラペット端部や開口部で行う業務
・高所作業車で行う業務
・デッキ型ゴンドラで行う業務
・ガーター歩道上で天井クレーンのホイストを点検する業務

そして、受講資格は、18歳以上の対象業務の従事者という条件だけで、ほかに必要な資格はありません。

フルハーネス特別教育の講習内容と受講方法

フルハーネス特別教育の講習内容と受講方法、実務経験者に適用される省略規定は次の通りです。

フルハーネス特別教育の講習内容

フルハーネス特別教育は、以下の5つの内容を6時間で受講します。

・作業に関する知識(1時間)…作業に用いる設備の種類、構造、取り扱い方法など
・墜落制止用器具(2時間)…フルハーネスおよびランヤードの種類や構造
・労働災害の防止に関する知識(1時間)…墜落による労働災害防止措置、落下物による危険防止措置など
・関係法令(0.5時間)…安全衛生法などの関係条項
・墜落制止用器具の使用方法等(1.5時間)…装着方法、ランヤードの取り付け設備への取り付け方法や選定方法など

最後の使用方法は実技での受講、それ以外は学科となります。

フルハーネス特別教育の受講方法

フルハーネス特別教育は、建設業労働災害防止協会(建災防)、労働技能講習協会などの団体、eラーニングによるWeb講座などで受講できます。

建災防や各種団体で受講する場合、会場で1日6時間の講習を受け、終了後に修了証が発行されます。建災防は各都道府県の支部で講習が開催されているので、地方にお住まいの方は建災防を受講しましょう。ただし、建災防は基本的に平日開催のため、土日に開催している各種団体で受講することをおすすめします。

一方、eラーニングのWeb講座とは、講習を動画で視聴し、専用のテキストを使って学ぶ方法です。自宅にいながら講習が受けられるので、まとまった時間が取れず講習会に行くのが難しい方に最適です。また、講習会と異なり、受講後にeラーニングシステムで試験に合格すると修了証が発行されます。話を聞くだけの講習会とは異なり、試験を受けることで講習内容がより身に付くのがWeb講座の魅力です。

実務経験者は受講が一部省略される

特別教育を受講する前に、フルハーネス型安全帯の使用経験が6か月以上ある方は講習の一部が省略できます。省略できる講習内容は「作業に関する知識・墜落制止用器具・墜落制止用器具の使用方法等」の3つです。

また、胴ベルト型安全帯の使用経験が6か月以上ある方は「作業に関する知識」が省略可能で、ロープ高所作業特別教育受講者、または足場の組立て等特別教育受講者は「労働災害の防止に関する知識」が省略できます。

建災防を含めた講習会では上記の省略を踏まえたコースを設定しているので、実務経験者は申し込みの前に必ず確認しましょう。

1日拘束されるのが難しい方はWeb講座がおすすめ!

危険性のある胴ベルト型安全帯からフルハーネス型安全帯に変わり、対象業務の従事者はフルハーネス特別教育の受講が義務付けられています。

高さ2メートル以上で足場や手すりがない場所の作業従事者が対象ですが、業務内容によって特別教育の有無が異なるので確認が必要です。

受講方法は建災防などの講習会、またはeラーニングで学べるWeb講座の2種類があります。1日拘束される講習会に行くのが難しい方は、Web講座で受講する方法がおすすめです。フルハーネス型安全帯に関する知識をしっかり身に付けられるため、危険な場所で働くうえで安全性の向上に役立つでしょう。

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