ゴミの焼却などで発生するダイオキシン類は、毒性が強く、環境や人体にさまざまな影響を及ぼします。
廃棄物の焼却施設が主な発生源となるため、焼却施設の業務に従事する労働者は、ダイオキシン類作業従事者特別教育(ダイオキシン特別教育)の受講が必要です。
今回の記事では、ダイオキシン類が及ぼす影響、特別教育の概要と受講方法について解説します。
「SAT」のWeb講座を参考にして特別教育の詳細を確認してください。
目次
ダイオキシン類作業従事者特別教育とは?
ダイオキシン類についての基礎知識、特別教育の目的と対象業務は次のとおりです。
ダイオキシン類とは?
ダイオキシン類は焼却過程で自然発生する物質で環境中に微量に存在するため、わずかながら呼吸や食事から取り込んでいます。
この場合はごく微量で人体への影響は生じませんが、焼却施設で発生するダイオキシン類は有害性が高く、微量でも強い毒性を持つため、注意が必要です。
また、環境面に与える影響は、大気・水質・土壌などの汚染、人体では発がん性・甲状腺機能の低下・免疫機能の低下・生殖器官の重量や精子形成の減少などを引き起こす可能性があります。
そのため、作業者の健康障害を防止するために、労働安全衛生法やその他の規定では、ダイオキシン作業従事者は4.0時間以上の安全衛生のための教育(特別教育)の受講が義務付けられています。
自分の身の安全を守るためにも、作業従事者は必ず特別教育を受講しましょう。
ダイオキシン類作業従事者特別教育の目的
この特別教育の目的は、焼却施設におけるダイオキシン類のばく露を防止することです。
ダイオキシン類をばく露するリスクが高いばいじんや焼却灰の取り扱い業務や、焼却炉などの運転や点検の業務を行う労働者に対する特別教育の実施が、労働安全衛生規則で義務付けられています。
ダイオキシン類作業従事者特別教育が必要な人とは?
ダイオキシン類の影響を受ける可能性が高い、以下の業務の従事者は受講の対象です。
No | ダイオキシン類の影響を受ける可能性が高い業務 |
---|---|
1 | 焼却炉や集じん機の内部で灰を出す作業 |
2 | 焼却炉や集じん機の内部で行う、設備の点検や保守、清掃 |
3 | 焼却灰の運搬、ばいじんなどの固化等焼却灰の取り扱い業務 |
4 | 焼却炉や集じん機の外側の清掃業務 |
5 | 灰出し作業や設備の保守点検などの支援、監視などの業務 |
ただし、ここでいう焼却施設とは、火床面積が0.5㎡以上、または焼却能力が1時間あたり50kg以上の施設を指します。
ダイオキシン類作業従事者特別教育の講習を受けるには?
特別教育の講習内容と、受講する方法、修了するまでの流れを紹介します。これから焼却施設で対象業務にあたる方は、次の内容を確認しておきましょう。
ダイオキシン類作業従事者特別教育の受講内容
特別教育の内容は、以下の5項目です。
No | 特別教育の内容 |
---|---|
1 | ダイオキシン類の有害性 ダイオキシン類の性状など |
2 | 作業の方法および事故の場合の措置 作業の手順やダイオキシン類のばく露を低減する措置、洗身および身体の清潔の保護方法など |
3 | 作業開始時の設備の点検 作業開始時にダイオキシン類のばく露を低減させる設備の点検 |
4 | 保護具の使用方法 保護具の種類や性能、洗浄・使用方法、保護具の保守点検方法 |
5 | その他ダイオキシン類のばく露の防止に関し必要な事項 法令および安全衛生規則の関係条項、ダイオキシン類のばく露防止に必要な事項など |
ダイオキシン類の有害性を踏まえた作業方法や設備の点検、保護具の使い方など、実務に沿った内容です。講習会で受講する場合、4時間でこの5項目を学びます。
講習会のカリキュラムについては、次の表をご覧ください。
講習科目 | 受講時間 |
---|---|
ダイオキシン類の有害性 | 0.5時間 |
作業の方法および事故の場合の措置 | 1.5時間 |
作業開始時の設備の点検 | 0.5時間 |
保護具の使用方法 | 1.0時間 |
その他ダイオキシン類のばく露の防止に関し必要な事項 | 0.5時間 |
合計 | 学科4時間 |
ダイオキシン類作業従事者特別教育の受講方法
ダイオキシン類作業従事者特別教育は、全国各地の協会や団体で実施されています。具体的には、以下の場所や方法で受講できます。
各都道府県の労働基準協会
労働基準協会は、労働基準法と労働安全衛生法などの関係法令の普及促進、労働条件の確保や改善、労働災害の防止などを図る目的の社団法人です。
建設関係の技能講習や特別教育などの講習会を、各都道府県にある支部で開催しています。
各種協会
労働局登録の教習機関や、労働災害防止活動を推進する各協会や民間企業でも受講可能です。東京を例にすると、中小建設業特別教育協会、東京技能者協会、安全教育センターなどがあります。
Web講座
Web講座は、インターネット動画とテキストで学ぶEラーニングを活用した受講方法です。自宅にいながら講習が受けられますので、1日がかりの講習会に行けない方に最適な方法です。
動画はパソコンやスマートフォンなどでいつでも見られるので、空いた時間を有効活用できます。
労働基準協会や各種協会などの講習会では、4時間の受講を終えると修了証が受け取れます。SATのWeb講座では講習受講後の最終試験に合格すると修了証が代行作成されます。
また修了証はスマートフォンアプリでの修了証があり、こちらは講習受講後すぐに受け取ることができます。プラスチックカードタイプの修了証は後日郵送されます(※プラスチックカードの講座をご購入の場合)。
講習会の内容を一度聞くだけで理解するのは難しいですが、Web講座のシステムは何度でも動画再生が可能ですので、理解度の向上に役立ちます。
SATのダイオキシン類作業従事者特別教育
先ほどのセクションで、Web講座を受講すると自宅でも効率的に勉強できることを解説しました。
ここでは、Web講座の1つである「SATの通信講座」を参考にして解説します。
SATのテキストや動画講義
SATの通信講座で使用されるテキストは、フルカラー仕様で図や表を用いて丁寧に解説されているため、たいへんわかりやすいのが特徴です。
動画講義については、5時間33分の内容が項目ごとに分けて解説されており、確認テストを受けることで復習できるため、効率的に知識を身に付けられるでしょう。無料のサンプル動画もあるので、まずは視聴してみてはいかがでしょうか。
また、パソコンやスマートフォンで視聴可能なのも魅力の一つで、自宅や外出時など、昼夜場所を問わず好きな場面で学習を進められます。
申込後すぐに受講が可能で、時間に関係なく視聴できる講義を活用して、ダイオキシン類に関する作業に従事する際の必要な知識を身に付けてください。
ダイオキシン類作業従事者特別教育はWeb講座がおすすめ
焼却施設で発生するダイオキシン類は有害性と強い毒性があるため、環境や人体に悪影響を及ぼすことが懸念されています。
そのため、焼却施設における焼却灰の取り扱い業務や設備の整備など、ばく露の可能性がある業務の従事者は、ダイオキシン類作業従事者特別教育の受講が必要です。
特別教育の受講方法は労働基準協会などで1日の講習を受ける、またはWeb講座で受講する2つの方法があります。
講習だけでなく最終試験でダイオキシン類の有害性や適切な作業、点検方法を身に付けられるSATの通信講座がおすすめです。
多くの受講者から高い評価を受けている通信講座の活用を是非視野に入れてみてはいかがでしょうか。