1級建築施工管理技士の第一次検定の概要、効率的な勉強方法、難易度などについて解説します。受験者の多くは社会人なので、時間と労力を節約しつつ効率的に学習する意識が重要です。
また、令和6年度から変更になった受験資格についても紹介しています。以前より緩和されているので、こちらもご確認ください。
目次
1級建築施工管理技士【第一次検定】の概要
まずは1級建築施工管理技士【第一次検定】の概要について解説します。
試験内容
1級建築施工管理技士【第一次検定】は全て択一式で、マークシートを塗りつぶす試験方式です。
令和5年度に実施された1級建築施工管理技士の第一次検定で出題された分野は以下のとおりです。
午前/午後 | 出題分野 | 解答形式 | 必要解答数 |
---|---|---|---|
午前 | 建築学 | 四肢択一 | 15問中12問解答 |
施工共通 | 四肢択一 | 5問中全問解答 | |
躯体工事 | 四肢択一 | 10問中7問解答 | |
仕上げ工事 | 四肢択一 | 9問中7問解答 | |
施工計画 | 四肢択一 | 5問中5問解答 | |
午後 | 施工管理法 | 四肢択一 | 10問中全問解答 |
施工管理法 (応用能力問題) |
五肢二択 | 6問中6問解答 | |
法規 | 四肢択一 | 12問中8問解答 |
令和5年度は全部で72問出題され、そのうち60問を解答するという方式でした。
ほとんどの問題が四肢択一形式ですが、施工管理法の応用能力問題のみ五肢二択となります。つまり、5つの選択肢の中から正解を2つ選ぶ形式です。
また、分野によっては全問解答する必要がないものもあります。これらの問題に関しては、必要解答数以上に回答を行うと減点の対象となるので注意してください。
【令和6年度版】1級建築施工管理技士試験の日程
令和6年度の1級建築施工管理技士試験の日程は以下のとおりです。
令和6年度 1級建築施工管理技士 試験日程 | ||
---|---|---|
日程 | 書面申込 | インターネット申込 |
2月 9日(金) | 第一次検定・第二次検定申込書販売開始 | ー |
2月22日(木) | 第一次検定・第二次検定申込受付開始 | |
3月 8日(金) | 第一次検定・第二次検定申込受付締切 | |
7月 1日(月) | 第一次検定受検票送付 | |
7月21日(日) | 第一次検定実施 | |
8月23日(金) | 第一次検定合格発表 当年度第一次検定合格者の第二次検定受検手数料払込受付開始 |
|
9月6日(金) | 当年度第一次検定合格者の第二次検定受検手数料払込受付締切 | |
9月30日(月) | 第二次検定受検票送付 | |
10月20日(日) | 第二次検定実施 | |
令和7年 1月10日(金) |
第二次検定合格発表 |
令和6年度の1級建築施工管理技士の第一次検定は7月21日、第二次検定は10月20日に実施されます。ただし、試験の申し込みは2月〜3月上旬にかけて行われますので、受験予定の方は忘れずに手続きを行うようにしましょう。
【令和6年度改正】1級建築施工管理技士【第一次検定】の受験資格
令和6年度より、施工管理技士の受験資格が改正され、建築施工管理技士の受験資格も大きく変化しました。
今までは第一次検定を受験するためには学歴ごと定められた実務経験が最低でも3年間必要でした。
しかし、令和6年度の改正により、第一次検定を受験する場合は試験実施年度に19歳以上であれば誰でも受験できるようになりました。
また第二次検定に関しても、以前は学歴によって実務経験が分けられていましたが、令和6年度以降は1級一次検定合格後や2級二次検定合格後の実務経験年数が問われるようになっています。
1級建築施工管理技士【第一次検定】の難易度は?
続いて、1級建築施工管理技士における第一次検定の難易度をみていきましょう。
合格率
令和元年度から令和5年度に実施された建築施工管理技士は以下のとおりです。
1級建築施工管理技士 第一次検定 合格率 | |||
---|---|---|---|
試験実施年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2019(令和元)年度 | 25,392人 | 10,837人 | 42.7% |
2020(令和2)年度 | 22,742人 | 11,619人 | 51.1% |
2021(令和3)年度 | 22,277人 | 8,025人 | 36.0% |
2022(令和4)年度 | 27,253人 | 12,755人 | 46.8% |
2023(令和5)年度 | 24,078人 | 10,017人 | 41.6% |
上記を見ると、年度によって多少のブレはありますが、1級建築施工管理技士【第一次検定】の合格率は、40%前後です。国家資格の試験としては比較的高い合格率ですが、決して試験が簡単なわけではありません。
2級建築施工管理技士との比較
1級建築施工管理技士試験と2級建築施工管理技士の合格率を比較すると、実はそこまで大きな差はありません。2級建築施工管理技士の第一次検定も、およそ40%前後の合格率です。
ただし、1級建築施工管理技士を受験する人は、2級建築施工管理技士を受験する人よりももともと経験、知識が豊富です。
受験者の中には、すでに2級建築施工管理技士の資格を取得している人も多いでしょう。受験者のレベルが明らかに1級建築施工管理技士のほうが上なので、試験の難易度も高いと言えます。
なお1級建築施工管理技士の試験難易度は決して易しくありませんが、1級建築士と比べると1級建築士のほうが難易度は高くなります。また、1級建築施工管理技士と近い試験としては、1級土木施工管理技士があります。
1級建築施工管理技士と1級土木施工管理技士の難易度を比較すると、同程度です。両方受検する人も多いのですが、同じくらいの難易度という意見が多数です。
なお令和6年度より、1級建築施工管理技士の第一次検定は年齢制限のみの受験資格となったため、今後は合格率にも変動する可能性があります。
1級建築施工管理技士【第一次検定】の対策方法
1級建築施工管理技士【第一次検定】に合格するには、6割以上の点数を取る必要があります。勉強方法を誤ると合格が遠ざかるので、戦略を立てて効率的に勉強することが必要です。
過去問題から入る
1級建築施工管理技士【第一次検定】に合格した人は、過去問題から勉強している人がほとんどです。
特に1級建築施工管理技士【第一次検定】の受験者は社会人が多いため、勉強できる時間も労力も限られています。
限られた時間と労力で合格するためには、なるべく効率的に、必要な部分にのみエネルギーを注ぐことが重要なのです。
テキストをきっちり読み込むのも一つの手ですが、これだと時間がかかります。テキストを読み込んで細かく理解したほうがすっきりするかもしれませんが、時間と身につく知識量のバランスを意識して勉強するのがおすすめです。
とりあえずは解けなくてもいいので過去問題に目を通し、解説を見ながら理解していく方法がよいでしょう。
初回は、解説を理解するために過去問題を解きましょう。解説を見ても理解できない場合はテキストを読む必要があります。
テキストから入るとどうしても実際の試験問題をイメージしないまま学習を進めることになるので、メリハリがつきません。
人間の集中力には限界があるので、過去問題を把握したうえでメリハリをつけながらテキストを読んだほうがよいでしょう。
通信講座を利用する
1級建築施工管理技士は働きながら資格取得を目指す人が多い資格です。資格学校に通いたくても、うまく時間が取れなくて通えない方も多いのではないでしょうか。
そういった場合は、通信講座がオススメです。通信講座であれば、自分の好きな時間に勉強できるので、無理なく学習を進めることができます。
通信講座はテキストの他に動画教材も含まれていることが多いです。動画教材は専門の講師による過去問題の解説などが含まれています。収録済みの動画なので、何度でも見返すことも可能です。
通信講座は忙しい方にとってはとてもいい勉強手段の一つです。1級建築施工管理技士資格の受験に挑戦予定の方は、ぜひ検討してみてください。