電気通信工事施工管理技士

電気通信工事施工管理技士の合格基準や試験の内容は?

電気通信工事施工管理技士の合格基準や試験の内容は?

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令和元年から新たな国家資格として、「電気通信工事施工管理技士」を認定する試験が始まりました。始まって間もないため、どのような試験なのかよくわからない方も多いかもしれません。

通信工事に関する仕事をしたいなら、この資格はぜひ目指していただきたいものです。本記事では試験の内容や合格基準などについて、解説していきます。

電気通信工事施工管理技士とは?

電気通信工事施工管理技士は、ネットワーク工事や無線通信工事といった「電気通信工事」に関する資格です。インターネットの普及と高速化に伴い、電気通信工事の需要は増えています。そのため、今後に期待できる資格の1つです。

これらの工事には、全体の管理・監督を行う技術者が必要です。電気通信工事施工管理技士になることで、工事の際に配置が義務づけられている「主任技術者」や「監理技術者」になれます。このため、貴重な人材として扱われることも期待できます。

資格は1級と2級に分かれています。それぞれの違いも含めて、解説していきます。

電気通信工事施工管理技士の仕事

電気通信工事施工管理技士になると、電気通信工事の仕事そのものはもちろん、工事の計画や管理を行う仕事も任されます。このため工事のリーダーとしての仕事ができることが大きな特徴です。

2級に合格した方は電気通信工事で必要な主任技術者に、1級に合格した方は主任技術者や監理技術者になれます。監理技術者は4,000万円以上の工事で配置が義務づけられていますから、より大規模な工事を指揮できることになります。

電気通信工事施工管理技士の年収

電気通信工事施工管理技士は新しい資格であるため、公表された年収データはまだありません。参考までに「電気工」の月収平均値は、以下のとおりとなっています。

性別 月収 年収
男性 335,000円 4,819,200円
女性 263,600円 3,932,000円

引用:平成30年賃金構造基本統計調査

電気通信工事施工管理技士は職場において、リーダー的な立場となる職種です。このため、実力しだいで上記よりも高い年収が期待できます。

電気通信工事施工管理技士試験の合格基準

電気通信工事施工管理技士試験の合格基準は、どのようになっているのでしょうか。ここでは合格基準と合格率を取り上げ、説明していきます。

合格基準

合格基準は1級・2級ともに、以下のとおりとなっています。

科目 合格基準
学科試験 60%
実地試験 60%

参考:全国建設研修センター「令和元年度技術検定の合格基準について」

合格基準は試験の実施状況などにより、変更される可能性はあります。しかし、これから合格をめざす方は、最低でも6割正解できるように学習を進めると安心です。

とりわけ実地試験は記述式ですから、選択肢をヒントにすることができません。このため、より知識を確かにしたうえで試験にのぞむことが求められます。

合格率

初めて試験が行われた令和元年度の合格率は、以下のとおりです。

試験の種類 1級 2級
学科試験 43.1% 57.7%
実地試験 49.5% 41.9%

この数字を見ると、一見合格しやすい資格のように見えます。しかし、後で解説するとおり電気通信工事施工管理技士試験には受験資格が定められているので注意が必要です。受験資格が定められているということは、電気通信工事のプロばかりが受験することを意味します。

電気通信工事施工管理技士試験は、プロが受験しても半分以上は落ちてしまう試験というわけです。そのため、決して簡単な試験ではなく、むしろ厳しい試験といえるでしょう。

電気通信工事施工管理技士試験の概要

電気通信工事施工管理技士の試験には、受験資格があります。ここではどのような方が出願できるか、また試験の内容について解説します。

受験資格

2級の実地試験、および1級は、いくつかの受験資格のうちどれかを満たせば受験できます。

学歴から見て実務経験が以下の年数以上だと受験が可能です。このうち、電気電子工学科など指定する学科を卒業した方は、かっこ内の実務年数で受験できます。

学歴 1級 2級
大学 4年6ヶ月(3年) 1年6ヶ月(1年)
短大・高専 7年6ヶ月(5年) 3年(2年)
高校 11年6ヶ月(10年) 4年6ヶ月(3年)
その他 15年 8年

引用元:全国建設研修センター「1級電気通信工事施工管理技術検定試験」「2級電気通信工事施工管理技術検定試験」

1級は、以下に該当する方は上記よりも短い経験年数での受験が可能です。詳細は「1級電気通信工事施工管理技術検定試験」公式サイトをご確認ください。

NO 条件
1 2級電気通信工事施工管理技術検定試験に合格した方
2 電気通信主任技術者資格者証を持っている方
3 専任の主任技術者の経験が1年以上ある方
4 指導監督的実務経験年数が1年以上あり、かつ専任の監理技術者の設置が必要な工事において監理技術者から指導を2年以上受けた方

参考:全国建設研修センター「1級電気通信工事施工管理技術検定試験」

なお1級を受験する方は共通の条件として、1年以上の指導監督的実務経験が必要です。

一方で2級の学科試験は、年度末の年齢が17歳以上なら誰でも受験できます。ただし学科試験合格後は12年以内に上記の受験資格を満たしたうえで、実地試験に合格しなければ資格を取得できません。また一度実地試験を受験し不合格となり、翌年度の実地試験に合格できなかった場合は、再度学科試験から受験し直しとなりますから注意してください。

出題内容

出題内容は1級・2級とも、以下のとおりとなります。

試験の種類 試験科目 解答方法
学科試験 電気通信工学等、施工管理法、法規 マークシート方式
実地試験 施工管理法(施工図の作成など) 記述式

ただし求められるレベルは異なり、2級は概略程度の理解でよいところ、1級は高度の応用能力が求められます。

試験スケジュール

試験の受験にあたっては、事前に申込用紙を600円で購入しておく必要があります。インターネットや電話などで、申込受付開始日前でも購入できますから、早めに準備しておきましょう。

令和2年度における1級の試験スケジュールは、以下のとおりとなっています。ただし学科試験合格者は合格通知書に記載されている期限までに、指定の払込用紙で受験手数料を支払わなければ受験できません。
したがって学科試験に合格したからといって、自動的に実地試験を受験できるわけではないので注意しましょう。

スケジュール 日程
申込受付 令和2年5月7日~5月21日
学科試験 令和2年9月13日
学科試験合格発表 令和2年10月15日
実地試験 令和2年12月6日
実地試験合格発表 令和3年3月3日

2級は学科試験の受験時期や実地試験を受験するかどうかにより、スケジュールが3種類に分かれます。

試験の種類 学科のみ(前期) 学科のみ(後期) 学科・実地両方
申込受付 令和2年3月4日~
3月18日
令和2年7月14日~
7月28日
令和2年7月14日~
7月28日
試験実施 令和2年6月7日 令和2年11月15日 令和2年11月15日
合格発表 令和2年7月7日 令和3年1月15日 令和3年3月3日

受験料

受験料は以下のとおりです。

受験級 受験料
1級 学科試験、実地試験 各13,000円
2級 13,000円
ただし学科試験か実地試験の片方だけを受験する場合は、6,500円

受験地

試験の種類ごとに受験地が設定されていますので、以下の表でご確認ください。

受験地 1級学科 1級実地
2級学科(前期)
2級学科・実地
2級学科(後期)
札幌
釧路 × ×
青森 × ×
仙台
東京
新潟
金沢 ×
静岡 × ×
名古屋
大阪
広島
高松
福岡
熊本 × ×
鹿児島 × ×
那覇

まとめ

電気通信工事施工管理技士は実務経験が必要な資格です。そのため、だれでも取れる資格ではありません。資格取得を目指すなら、工場や業務用ビル、太陽光発電設備などの電気工事の現場で経験を積み、仕事で認められることを目指しましょう。

また、プロでも半分以上は落ちる試験ですから油断は禁物です。参考書などで十分な準備を行い、試験にのぞみましょう。

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