第二種電気工事士は、一般住宅の電気工事ができる業務独占資格です。工業高校などでも取得できる資格で、学科試験と技能試験から構成されています。
この記事では、電気工事関係に従事したい初心者の方に向けて、第二種電気工事士の学科試験の概要をはじめ、試験日と試験難易度をわかりやすく解説します。
目次
第二種電気工事士の試験内容
まずは第二種電気工事士の試験概要や出題内容を、わかりやすく紹介します。
第二種電気工事士は学科(筆記)試験と技能試験で構成
第二種電気工事士は、学科(筆記)試験と技能試験の2科目で構成されています。そして、資格取得するためには、学科試験・技能試験どちらも合格する必要があります。
実施団体は一般社団法人電気技術者試験センターです。技能試験は、試験会場で実際に電気工事を行います。電気配線が正しく接続・圧着されているかが合格のポイントとなります。
技能試験の作業工程は、以下のとおりです。
No. | 作業工程 |
---|---|
1 | 電線の接続 |
2 | 配線工事 |
3 | 電気機器および配線器具の設置 |
4 | 電気機器・配線器具ならびに電気工事用の材料および工具の使用方法 |
5 | コードおよびキャブタイヤケーブルの取付け |
6 | 接地工事 |
7 | 電流、電圧、電力および電気抵抗の測定 |
8 | 一般用電気工作物の検査 |
9 | 一般用電気工作物の故障箇所の修理 |
作業内容は、試験時に渡される配線図を基に、電線とボックスを接続したり、正しい配線の順番でコンセントに電線を接続したりなどです。
第二種電気工事士の技能試験は大掛かりな電気工事ではなく、一般的なテーブルの上に収まるサイズの配線・部品点数です。
また、基本的な作業がほとんどですので、圧着など基礎的な技術を身に付けていれば規定時間内に完了可能といえるでしょう。
第二種電気工事士の試験日程
第二種電気工事士の試験は、年に2回(上期・下期)実施しています。また、学科試験と技能試験の日程は異なります。
学科試験はCBT方式と筆記方式の2つに分けています。どちらも方法で受験しても構いません。
CBT方式とは、試験会場に設置してあるPCに解答を入力して試験を行う方式です。入力はマウスやキーボードを用いて行います。一方、筆記試験は従来のマークシート方式で解答します。
解答方法は違いますが、試験時間や試験範囲は同じです。またどちらも四肢択一方式となっています。
技能試験については、対面式の試験のみです。各試験地(47都道府県実施)で土曜日又は日曜日に分けて実施されて、いずれか1日を受験します。
下記は2024年度の試験日程です。
試験区分 | 日程(2024年度) |
---|---|
学科試験 |
【上期】 【下期】 |
技能試験 |
【上期】 【下期】 |
第二種電気工事士の学科試験の出題内容や特徴
学科試験の試験時間は120分で、時間内に50問解きます。また、1問当たり2点配分ですので、全問正解で100点満点です。
合格ラインは例年多少の変動はありますが、6割=60点として採点・合否判定されているのが特徴です。ですので、少なくとも6~6.5割以上の正答率を目指して、試験対策を行う必要があります。
試験内容は以下のとおりです。
No. | 試験内容 |
---|---|
1 | 電気に関する基礎理論 |
2 | 配電理論および配線設計 |
3 | 電気機器・配線器具ならびに電気工事用の材料および工具 |
4 | 電気工事の施工方法 |
5 | 一般用電気工作物の検査方法 |
6 | 配線図 |
7 | 一般用電気工作物の保安に関する法令 |
電気技術者試験センターでは上記のように記載しています。
わかりやすくまとめると電気工事に関連する法律・作業方法の基本・工具や配線図、記号の正誤判定・基礎的な電気計算の公式や計算の正誤判定といった内容です。
暗記問題を中心としているので、とにかく出題範囲の内容を覚えることが大切です。また勉強方法は後半で詳しく解説します。
第二種電気工事士試験の難易度
続いて、第二種電気工事士の学科試験の受験資格、出題内容などから難易度を解説していきます。難易度はそこまで高くはなく、電気関連の資格の中では比較的受験しやすい内容ですので丁寧に一つひとつ課題をこなすことが大切です。
第二種電気工事士の受験資格
第二種電気工事士の受験資格は特にありません。つまり、電気関係の業務経験や工業高校出身など、学歴や職歴など一切関係ありませんので、やる気がある方はいつでも挑戦できます。
ただし、技能試験については学科試験に合格した方のみ受験が可能です。まずは、学科試験の合格に力を入れて勉強しましょう。
第二種電気工事士の合格率
第二種電気工事士の学科試験は、毎年50%から65%程度の合格率で推移しています。
令和5年度の学科試験は合格率59.4%、技能試験は71.0%となっています。
数字だけを見るとわかりにくいかもしれませんが、一般的に60%前後は他の電気関連資格よりも高い合格率です。
例えば、難関資格の1つ電験三種は合格率が10%前後ですので、いかに60%が高いかということがわかります。
また、学科試験より技能試験の合格率が高い理由は、公式サイトに事前に出題内容が複数公表され、うち1つが出題されますので事前対策しやすい点もあげられます。
このように第二種電気工事士を合格率からみても、そこまで難易度が高い試験とは言えないでしょう。
第二種電気工事士の出題内容
第二種電気工事士の学科試験は四肢択一方式ですので、わかりやすく間違った選択肢を消去していくと正解にたどりつきやすいという特徴があります。
出題数50問のうち、6割以上の正答率で合格するということは、少なくとも30問正解する必要があります。
ただ、暗記問題で30問近く出題されていますので、計算問題が苦手な方も合格を目指すことができる出題傾向です。
さらに電気関連の専門知識を身に付けていない未経験の方でも、第二種電気工事士は数ヵ月の試験対策を行えば理解できる難易度でもあります。
また先ほども触れましたが、技能試験は事前に13問の候補問題が発表され、その中から1問が出題されます。出題された問題を欠陥なく施工することで合格が可能です。
候補問題を2周以上練習することで施工速度も上昇しますので、次のセクションで紹介するポイントを確認しながら、技能試験の要点を押さえてください。
第二種電気工事士試験の勉強方法
最後に、第二種電気工事士試験の勉強方法を、必要な勉強時間とともに5つのポイントに分けて解説します。
必要な勉強時間は20時間あれば合格レベルまで辿り着く
第二種電気工事士の勉強時間は未経験から始める場合でもそれほど必要ではありません。というのも、第二種電気工事士の学科試験は、基礎的な問題がほとんどだからです。何百時間など膨大な時間をかけるほど、出題範囲は広くありません。
また、ダラダラと時間をかけて勉強するよりも、短期間で基礎・土台を固めて理解するほうが効率的です。20時間で第二種電気工事士に合格可能レベルに達する通信講座もあります。
過去問題を繰り返し解く
第二種電気工事士の出題内容は、過去問題もしくは過去問題を少し変えた内容が多いため、過去問題を解く勉強法も忘れないようにしましょう。
また、暗記問題が多いので、繰り返し過去問題と問題集を解くことで、鑑別記号(工具や電気器具の名称や記号などに関する問題)・配線記号問題の対策につながります。
過去問題を解く際は、どこを間違えやすいか確認しましょう。
苦手な問題をリストアップし、ミスを繰り返さないよう復習するのも大切です。
配点が多い範囲から対策する
第二種電気工事士の場合は、計算問題より鑑別記号や作業方法・法令の正誤判定の出題が多い傾向です。
ですので、例えば勉強を始める際、工具や配線記号の暗記から進めて、法令・作業方法などの暗記、最後に計算問題を解くといった流れをおすすめします。
全ての内容を理解・正解することが目的ではありません。あくまで第二種電気工事士の学科試験に合格することが目的です。
そのためには配点が多い範囲から対策し、合格ラインの正答率6割以上を目指しましょう。
暗記部分は語呂合わせを活用する
暗記問題は、何度も書いたり見たりすることで覚えるのが基本です。しかし、それではどうしても覚えられないという方もいらっしゃるでしょう。
暗記方法の1つとして、語呂合わせも活用してみてはいかがでしょうか。
暗記問題の中には、工具や機器の写真と名称・使用方法をセットで出題されることもあるため、語呂合わせでまとめるのも効率的です。
例えば、電線の太さに関する覚え方として、1.6mmは「イチロー」・2.6mmは「ジロー」などがありますよ。
試験前は特にアウトプットを中心に
試験前は、第二種電気工事士の参考書を読むだけでなく、過去問題や問題集を繰り返し解いて正答率を少しでも上げましょう。
また、苦手な問題を表で整理し、重点的に復習するポイントも把握しておきます。知識を身に付ける「インプット」も大切です。
しかし、インプットだけでは、実際の問題の流れや思わぬ苦手分野を理解できません。試験が近くなってきたら、特にアウトプット、つまり過去問題・問題集を解くことを意識するのも大切です。
技能試験は複線図から勉強する
第二種電気工事士は、学科試験とは別に技能試験があります。技能試験は「複線図から勉強して候補問題を2周以上施工する」ことがポイントです。
技能試験は出題内容が難しくないものの、試験時間が40分と限られているため、施工する中で大きなミスが許されません。
そのため、脳内で複線図をイメージして施工するのではなく、試験開始と同時に問題を正しく複線図に書き直す能力が必要です。
最初の2~3分で正しい複線図を書ければ、その後の時間効率は大幅に上がります。候補問題を迷うことなく結線できるでしょう。
このように、技能試験の勉強は複線図から開始してみてください。
第二種電気工事士の試験内容
第二種電気工事士試験は、学科試験と技能試験の2つに分かれていて、どちらも合格することで資格取得できます。
合格率は例年50%から60%程度と高く、電気関係の勉強が初めての方も挑戦しやすい資格です。そして、学科試験は暗記問題と計算問題に分かれていますが、ほとんどが暗記問題です。
勉強方法のポイントは、過去問題を繰り返し解き出題傾向をつかむことです。
また、暗記問題が多いので、語呂合わせも活用しながら覚えましょう。技能試験の勉強は複線図から始めるといいでしょう。
参考書を使い独学で勉強することも可能ですが、第二種電気工事士にはオンライン講座もあります。