電気を取扱う業務は多く存在しており需要も高いですが、感電災害や短絡事故といった危険性も伴っています。
電気は、電圧ごとに低圧・高圧・特別高圧に分類されており、それぞれにおいて電気取扱業務特別教育の実施が労働安全衛生法にて義務づけられています。
そこで今回は、高圧・特別高圧の電気取扱者が受講の対象となる特別教育を解説します。低圧との違いや講習の概要について情報を確認してください。
目次
高圧・特別高圧電気取扱者安全衛生特別教育とは?
電圧は、大きさによって低圧、高圧、特別高圧の3区分でわけられています。
一定規模の工場や事業場では高圧を受電する受変電設備を設置していますが、高圧の電気による感電災害や短絡事故も少なくありません。
感電災害においては、電圧が低圧よりも高圧のほうが高いため、危険度が高いのが特徴です。
そのため、労働安全衛生法では、高圧・特別高圧の電気取扱業務について「危険または有害な業務」として定めており、業務従事者に対して高圧・特別高圧電気取扱者特別教育の受講が義務づけられています。
この特別教育は、高圧・特別高圧における電気災害の発生原因をもとに、適切な作業方法や保護具に関する知識など、災害防止に必要な知識や技能を作業者に教育するものです。
また、特別教育は「危険または有害な業務」に対し、事業者が行わなければならない法定教育なので、電気工事士といった資格の有無に関わらず実施しなければいけません。
では、特別教育はどのような内容で実施されているのでしょうか?次のセクションでは、特別教育の講習における実施内容を詳しく解説します。
高圧・特別高圧電気取扱者安全衛生特別教育の講習会
労働安全衛生法第36条4項では、高圧もしくは特別高圧に該当する充電電路もしくは電路の支持物の敷設、点検、修理や操作業務が危険または有害な業務に該当することを記載しています。
そのため、「高圧もしくは特別高圧の充電電路もしくは当該充電電路の支持物の敷設、点検、修理もしくは操作の業務を行う方」が特別教育の受講対象者です。
受講対象者は、自分にあった方法で特別教育を受講する必要があり、機関が実施している講習に参加しなければいけません。
講習は、学科と実技で構成されています。ここでは、学科と実技の教育内容について詳しく解説します。
学科
高圧・特別高圧電気取扱業務特別教育の学科は、次のカリキュラムで実施されます。合計で11時間の学科講習を受講する必要があります。
講習科目 | 講習時間 |
---|---|
高圧または特別高圧の電気に関する基礎知識 | 1.5時間 |
高圧または特別高圧の電気設備に関する基礎知識 | 2時間 |
高圧または特別高圧用の安全作業用具に関する基礎知識 | 1.5時間 |
高圧または特別高圧の活線作業および活線近接作業の方法 | 5時間 |
関係法令 | 1時間 |
合計 | 11時間 |
実技
高圧・特別高圧電気取扱業務特別教育の実技は、次のカリキュラムで実施されます。実技の講習は、各事業所にて実施しなければいけません。
高圧または特別高圧の活線作業および活線近接作業の業務を行い場合には15時間以上、充電電路の操作の業務のみを行う者の場合は1時間以上の実技時間が必要となります。
講習内容 | 講習時間 |
---|---|
高圧または特別高圧の活線作業および活線近接作業の方法 | 15時間以上 |
充電電路の操作の業務のみを行う者の場合 | 1時間以上 |
高圧・特別高圧電気取扱者と低圧電気取扱者の違い
高圧・特別高圧電気取扱者と低圧電気取扱者には、取り扱う電圧と業務内容に違いが生じます。ここでは、その違いについて詳しく解説します。
まず始めに、電圧の種類と区分についてです。次の表をご覧ください。
電圧の種類と区分 | ||
---|---|---|
項目 | 直流 | 交流 |
低圧 | 750V以下 | 600V以下 |
高圧 | 750Vを超えて7,000V以下 | 600Vを超えて7,000V以下 |
特別高圧 | 7,000Vを超える電圧 | 7,000Vを超える電圧 |
上記が電圧の種類と区分です。低圧と高圧、特別高圧の電圧では大きな違いがあることがわかります。
続いて、それぞれの特別教育における業務内容が次のとおりです。
項目 | 安全衛生特別教育の業務内容 |
---|---|
低圧 | 低圧の充電電路の敷設もしくは修理の業務または配電盤室、変電室など区画された場所に設置する低圧電路のうち、充電部分が露出している開閉器の操作業務 |
高圧・特別高圧 | 高圧もしくは特別高圧の充電電路もしくは当該充電電路の支持物の敷設、点検、修理もしくは操作業務 |
このように、低圧と高圧・特別高圧電気取扱者とでは、電圧の種類と区分、業務内容にて大きな違いがあります。
高圧・特別高圧電気取扱者をオンラインで手軽に受講!
日頃、仕事が忙しくスケジュールの調整が難しい方は、高圧・特別高圧電気取扱業務特別教育をオンラインで受講する方法があります。
ここでは、SATの講座を参考に詳細をみていきましょう。
SATの高圧・特別高圧電気取扱者のWeb講座について
SATの高圧・特別高圧電気取扱者特別教育は、高圧・特別高圧を取扱う受講対象者が行うオンライン(Web)上で受講ができる講座です。
学科講義が全てオンライン上で完結するので、講習会場に向かう必要がありません。
顔認証によるWeb講座を実現しているのも特徴で、事業所にて監視人を設置する必要がありません。インターネットが接続できる環境であれば、PCやスマートフォン、タブレットを使って場所を問わず受講可能です。
ただし実技に関しては、各事業所にて15時間以上または1時間以上の実施が必要です。実技講習はオンラインではなく、実技実施責任者のもとで必ず対面にて行うようにしてください。
学科と実技の受講が完了次第、修了証が作成されます。なお、SATの場合はスマートフォンで利用できる修了証と、プラスチックカードタイプの修了証の2種類があります。どちらも
すきま時間で効率よく受講したい方は、オンラインで手軽に受講してください。
高圧・特別高圧電気取扱業務特別教育の概要まとめ
今回の記事では、高圧・特別高圧電気取扱業務特別教育について低圧との違いや講習の概要を詳しく解説しました。
高圧や特別高圧は、低圧と比較して大きさが遥かに高くなるため、電気取扱者には多くの危険が伴います。そのため、特別教育にて知識と技術を身につけるのは非常に大切です。
日頃、仕事が忙しく講習に参加するための時間が確保できないといった方は、場所を問わず手軽に受講できるオンライン講座がおすすめです。
SATの特別教育であれば、学科12時間7分のプログラムで効率よく受講できます。顔認証も設けられているため、受講がしっかり担保されています。
本記事で解説した内容を参考にして、オンライン講習など自分にあった方法で特別教育を受講してください。