振動工具取扱作業者安全衛生教育

振動工具にはどんな種類がある?振動障害についても解説

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振動工具を扱う業務に携わるには、特別教育・安全衛生教育の受講が必要です。振動工具の使用に教育が必要な理由は、手指や腕などに振動障害が発症する可能性があるためです。

そこで今回は、振動工具の種類や発生しうる振動障害について解説します。

振動工具のおもな種類と用途

振動工具とはピストンやエンジンなどを内蔵した、振動を発生する工具のことです。ここでは、いくつかの振動工具の種類と用途を解説します。

さく岩機

さく岩機は回転鑿岩ビットによる岩石への削岩や掘削作業を行う機械のため、振動工具の一種に分類されます。

さく岩機の回転鑿岩ビットは、高周波数で岩石に当たることでインパクト力と振動力を与え、岩石を破砕していきます。

このとき、機械本体だけでなく、作業者の身体にも一定の振動が伝わります。したがって、長時間の連続使用は健康上好ましくなく、使用時間の管理や防振対策が必要となる工具となります。

チッピングハンマー

チッピングハンマーは、コンクリートやアスファルト、岩石などを破砕・除去するための電動工具です。

回転鋼板(ビット)を高速回転させつつ打撃することで、対象物に強い衝撃力と振動を加えて削岩や破砕を行います。この際に機械から作業者の手や体にも振動が伝わってくるため、振動工具として扱われます。

エンジンカッター

エンジンカッターはコンクリートや鉄や石材などを切断するための工具で、回転鋸を高速回転させて目的物に押し当て切断していく仕組みです。

切断の際に発生する鋸の振動や反動が機体を通じて作業者の手や体にも伝達されるため、エンジンカッターは振動工具の一種に分類されます。

コンクリートバイブレーター

コンクリートバイブレーターは、型枠内に打設されたコンクリートを固めるため、ヘッド部に振動モーターを搭載した機器です。

モーターから発生する高周波数の振動がコンクリートに伝わることで、コンクリート内部の吐き出しが抑えられ締まりが増します。

この振動は機器本体を通じて作業者の手腕部にも伝達される危険性があるため、振動工具として扱われています。

インパクトレンチ

インパクトレンチは、ボルトやナットを締め付けたり緩めたりする工具ですが、その仕組み上、振動が発生します。

電動または空気圧で高速回転するハンマーが稼働し、その衝撃力が反動としてレンチ本体やハンドルを通じて作業者の手に伝わることで、締め付けトルクを発生させます。

この反動としての振動ばく露が、長期的には手指の知覚異常や白ろう腫などの健康障害を引き起こす危険性があるとされています。

振動工具一覧表

振動工具は上記で紹介した工具のほかにも様々なものが振動工具として分類されています。

下記は厚生労働省が定義した振動工具の一覧表になります。

振動工具のおもな種類と用途
機構等 名称 用途
ピストンによる打撃機構を有する工具 さく岩機 岩石の発破用穴の穿孔
チッピングハンマー 岩石の小割り、はつり、鋳物砂落とし、さび落とし、塗料落とし
リベッティングハンマー 造船、橋梁等の鋲打ち
コーキングハンマー 鋳物の表面仕上げ、はつり、かしめ
ハンドハンマー、ベビーハンマー 岩石、金属等のはつり、かしめ、さび落とし
コンクリートブレーカー コンクリート道路、建造物、基礎等の破砕
スケーリングハンマー さび落とし、塗料落とし
サンドランマー 鋳物砂鋳型のつき固め
ピックハンマー 岩石、コンクリート等のはつり、破砕
多針タガネ さび落とし、鋳物の砂落とし
オートケレン はつり、さび落とし
電動ハンマー コンクリート道路、建造物、基礎等の破砕
内燃機関内蔵可搬式
(チェーンソーを除く)
エンジンカッター 金属、石材等の切断
ブッシュクリーナー 灌木(かんぼく)、雑草の刈り払い
振動体内蔵工具 携帯用タイタンパー 軌道の砂利つき固め
コンクリートバイブレーター コンクリートの均等打ち込み(充填促進)
回転工具 携帯用研削盤、スイング研削盤、その他手で保持し又は支えて操作する型式の研削盤
(製造時直径150mmを超える研削といしを用いて行う金属・石材等の研削・切断業務に限る)
(携帯用砥石盤)
溶接部等の仕上げ、さびばり取り、さび落とし
(スイング研削盤)
金属、石材等の研削、切断
携帯用皮はぎ機 木の皮はぎ
サンダー 溶接部の仕上げ、さび落とし
バイブレーションドリル 金属、石材、コンクリート等の穿孔
締付工具 インパクトレンチ ボルト、ナットの締め付け、取り外し
往復動工具 バイブレーションシャー 金属薄板の切断
ジグソー 木材、軟鋼板等の直線、曲線切り

出典:厚生労働省

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振動工具は、建設業、林業、採石業、鉱業など、さまざまな業種で使用されています。

振動工具によって引き起こされる振動障害とは?

振動工具の操作で発生する振動により、振動障害という健康被害を招くおそれがあります。

振動工具が発する振動が体に伝わることで、血管や神経に異常をきたすことがおもな原因です。振動の影響に加え、長時間の操作、寒冷な環境、疾病なども振動障害の発症に関係しています。

振動障害の症状は、手指の痺れ、痛み、冷え、白ろう病などが挙げられます。白ろう病とは、血管の収縮による血管性運動神経障害です。白ろう病では、指先が白くなる、手指の感覚が鈍る、痺れ、こわばりといったレイノー現象を発症します。

振動障害は悪化すると回復が困難になるため、特別教育や安全衛生教育で予防知識などを学ぶ必要があります。

振動工具取扱作業者安全衛生教育の内容

特別教育・安全衛生教育の概要と両者の違い、各教育のカリキュラムについて解説します。

特別教育と安全衛生教育の違い

特別教育・安全衛生教育のいずれも、労働災害の防止がおもな目的です。

特別教育とは、危険有害な業務に労働者を従事させる場合に必要な教育です。振動工具で特別教育の受講が必要な工具は、チェーンソーに限られます。

一方、安全衛生教育は業種や職種に関わらず、新規雇入れ時、作業変更時に実施する教育です。振動工具の安全衛生教育は、チェーンソー以外の振動工具、刈払機に該当します。

振動工具取扱作業者安全衛生教育のカリキュラム

チェーンソー以外の振動工具が対象となる、振動工具取扱作業者安全衛生教育のカリキュラムは以下のようになっています。合計で4時間の講習となっています。

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振動工具取扱作業者安全衛生教育を受講することで、振動工具に対する知識を増やすことができ、振動障害の対策についても知ることができます。

振動工具取扱作業者安全衛生教育の受講内容
科目 範囲 時間
振動工具に関する知識  ・振動工具の種類及び構造
・振動工具の選定方法
・振動工具の改善
1.0時間
振動障害及びその予防に関する知識 ・振動障害の原因及び症状
・振動障害の予防措置
(※日振動ばく露量A(8)等に基づく振動障害予防対策を含む)
2.5時間
関係法令等 ・労働安全衛生法
・労働安全衛生法施行令等中の関係条項及び関係通達中の関係条項等
0.5時間
合計 4.0時間

振動工具取扱作業者安全衛生教育は、通信講座でも受講可能

振動工具取扱作業者安全衛生教育は、講習会のほかに通信講座でも受講できます。

通信講座はインターネット上で講義動画を視聴をして学習をします。SATの振動工具取扱作業者安全衛生教育であれば、収録済みの動画を視聴する形式なので、時間と場所を問わず勉強できるメリットがあります。

テキストはPDF形式で用意されているので、画面上で確認もできますし、印刷して利用することも可能です。

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講習会に参加するには1日拘束されるため、仕事が忙しい方には通信講座が最適です。

また、解説動画とテキストを使用する通信講座なら、内容を理解するまで何度でも勉強できます。振動工具の知識や選び方、振動障害の防止対策をしっかり学び、振動障害のリスクを減らしましょう。

振動工具の安全衛生教育は必ず受講しましょう

振動工具はピストンや回転などの機構を用いた工具で、使用時の振動で振動障害を発生する可能性があります。

振動障害により手指の痺れや痛み、白ろう病などを発症するため、安全衛生教育を受講しなければなりません。

また、振動工具取扱作業者安全衛生教育は、講習会だけでなく通信講座でも受講可能です。

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通信講座は時間と場所を選ばず、何度でも勉強できます。振動工具と振動障害予防対策をしっかり学び、自分自身の身を守りましょう。

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