第三種電気主任技術者

【2024年版】電験三種の難易度は?合格率は上昇傾向か

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電験三種の資格が必要な電気設備の保安監督業務には、相応の専門知識が求められます。

そのため試験の難易度も高く、合格率は近年やや上昇傾向にはありますが、過去の試験結果を見ると10%前後となっていますが、令和5年度のCBT方式の試験導入により合格率の上昇が見られました。

今回は、電験三種試験の難易度や合格率、科目の出題傾向、勉強のポイントを解説します。

電験三種試験の難易度や合格率について

第三種電気主任技術者(電験三種)とは、大型建物の電気設備(電圧5万ボルト未満の事業用電気工作物)の保安監督業務を行うための資格です。

このような電気設備は多くのオフィスビルや大型商業施設、ホテルなどに設置されており、多くの人の生活や安全を保っています。

電験三種の試験は「理論」、「電力」、「機械」、「法規」の4科目の筆記試験ですが、記述問題と計算問題が混在しており、電気や法律に関する知識はもちろんのこと計算力も問われます。また、出題範囲が広いので計画的に勉強しても一発合格はなかなか難しいでしょう。

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特に、電気の知識がない方が受験する場合は「電気数学」から勉強を始めないと理解できない部分も多いです。数学や電気の知識を初心者でも学べる通信教材などもフル活用しましょう。

過去合格率の推移

下記は平成30年度から令和5年度までの合格率をまとめたものです。

年度 受験申込者(人) 受験者(人) 合格者(人) 合格率
令和5年度下期 33,832 24,567 5,211 21.2%
令和5年度上期 36,978 28,168 4,683 16.6%
令和4年度下期 40,234 28,785 4,514 15.7%
令和4年度上期 45,695 33,786 2,793 8.3%
令和3年度 53,685 37,765 4,357 11.5%
令和2年度 55,406 39,010 3,836 9.8%
令和元年度 59,234 41,543 3,879 9.3%
平成30年度 61,941 42,976 3,918 9.1%

引用元:電気技術者試験センター

平成30年度~令和3年度までの合格率は、令和2年度までは9%台、令和3年度に11.5%となっています。

そして、令和4年度から試験日が年2回に増えましたが、上半期の試験の合格率は8.3%で一気に下がりました。令和3年度の受験者数に比べると受験者数も減っていますが、合格者は一気に半分近くになっています。問題が難しかったと推測されます。

近年は合格率が上昇傾向にある

一方で、令和4年度下期から令和5年度の試験では、合格率が大きく上昇しています。これには2つの理由が考えられます。

まずは、令和4年度より試験が年2回になったことです。そのため、科目合格制度を使える期間が増えたことが要因していると思われます。なお電験三種の場合の科目合格制度は、一度合格した科目に関しては3年間は受験が免除される制度です。つまり、一度合格した科目は次回からの試験5回分は受験が免除されます。

もう一つの理由として、令和5年度の試験からはCBT方式の試験も開始されたことです。CBT方式とは従来の筆記方式の試験ではなく、試験会場にあるパソコンを使って問題を解いていく方式です。CBT方式のメリットとして挙げられるのが1日で4科目全て受験する必要がない点です。

CBT方式は試験期間である3〜4週間程度の期間中に4科目を受験すればOKです。例えば4科目を4日間かけて1日1科目ずつ受験することもできます。

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何度も試験会場に向かう必要はありますが、1日に4科目全ての受験する必要のある筆記方式よりも集中力が持続する方も多いことでしょう。

電験三種・科目ごとの合格率

電験三種では科目ごとの合格率も毎年発表されています。

平成30年~令和3年までは、どの科目も13~25%前後が平均です。令和3年度は、「電力」が32.6%と高めの合格率となりました。令和3年度の試験は、理論のみ10.4%と低めですが、機械や法規も20%を超えています。

令和4年度前期試験の科目合格率は、理論と電力が20%台前半、機械と法規が10%台前半の合格率です。令和4年度前期の合格率は8%台でしたが、科目ごとの合格率はそれほど悪くありません。科目合格できた方はいても、総合合格には手が届かなかった方が多かったと推測されます。

そしてCBT方式が開始された令和5年度では、上期下期ともに高い合格率となりました。特に下期で科目別の合格率も30%を超えています。

年度 科目 申込者(人) 受験者(人) 合格者(人) 合格率
令和5年度
(下期)
理 論 27,230 17,307 5,690 32.9%
電 力 26,828 15,894 5,375 33.8%
機 械 29,618 16,741 5,375 30.3%
法 規 29,483 17,153 5,494 32.0%
令和5年度
(上期)
理 論 30,625 20,994 5,588 26.6%
電 力 29,161 18,411 4,685 25.4%
機 械 32,341 19,024 4,673 13.9%
法 規 33,249 20,489 5,899 24.6%
令和4年度
(下期)
理 論 32,791 20,712 5,102 28.8%
電 力 30,271 16,984 3,540 24.6%
機 械 36,386 20,433 2,727 20.8%
法 規 34,482 19,346 5,807 28.4%
令和4年度
(上期)
理 論 41,236 28,427 3,566 18.4%
電 力 37,673 23,215 5,610 24.2%
機 械 48,814 41,570 2,727 11.3%
法 規 40,112 23,752 3,499 14.7%
令和3年度 理 論 45,710 29,263 3,030 10.4%
電 力 47,943 29,295 9,561 32.6%
機 械 48,814 27,923 6,365 22.8%
法 規 48,241 28,045 6,761 24.1%
令和2年度 理 論 49,113 31,936 7,867 24.6%
電 力 47,982 29,424 5,200 17.7%
機 械 47,462 26,636 3,039 11.4%
法 規 51,277 30,828 6,573 21.3%
令和元年 理 論 52,765 33,939 6,239 18.4%
電 力 51,501 30,920 5,646 18.3%
機 械 53,217 29,975 7,989 26.7%
法 規 55,495 33,079 5,858 17.7%
平成30年度 理 論 53,735 33,749 4,998 14.8%
電 力 57,338 35,351 8,876 25.1%
機 械 54,992 30,656 5,991 19.5%
法 規 56,901 33,594 4,495 13.4%

引用元:電気技術者試験センター

他の国家試験との合格率の比較

エネルギー管理士の合格率は令和5年度で37.8%、危険物(甲種)は30~40%です。二級建築士の令和5年度の合格率は22.3%、宅建の令和5年度試験の合格率は17.2%となっています。

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このように、他の国家試験の合格率と比べても、電験三種の合格率は低く、難易度の高い試験だと分かります。

資格名 合格率
エネルギー管理士 37.8%
危険物(甲種) 30~40%
二級建築士 22.3%
宅建 17.2%

電験三種の合格率が低い背景

最近合格率の上昇が見られるとはいえ、それまでは電験三種の合格率は一桁台になることも珍しくありませんでした。

ここまで低い理由の背景には、試験が難しいということの他にも、誰でも受験できることがあげられます。そのほかの理由と合わせて解説してきます。

電験三種は受験制限がなく、需要が高いため受験者数が多い

電験三種は受験制限が無く、前提となる学歴や実務経験を必要としません。

そのため、合格の実力に満たない受験者も腕試しなどで受験するために合格率が低くなっていることが考えられます。

受験に制限がある例として、社会保険労務士試験は一部例外を除いて大学卒などの学歴や、3年以上の実務経験が必要です。

また多くの企業が電験三種保持者を求めているので、電験三種保持者の需要は高く、就職・転職に有利であるとして受験生にも人気のため、受験者数が多い理由といえます。

電気関係の実務的知識が問われる

電験三種の試験は実務に即した知識が問われる試験です。電験三種の参考書や問題集は多く出版されているものの独学しても合格はなかなか難しいのが実状です。

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電験三種試験の難易度の高さを考えると、実務経験の有無にかかわらず、合格にはしっかりとした教材を使うことをおすすめします。

応用力がつく勉強法が必須

電験三種に合格しなかった人にはある共通点があります。それは、基礎知識を中心に学習し、応用力がつくような勉強をしなかったことです。

基礎知識は当然のこと、その知識を活かした応用問題が解けるような勉強をしましょう。意味もわからず過去問題をただ丸暗記する学習法は効果的ではありません。

なぜなら、公式を覚えても解き方がわからないなど、独学ではどうしても限界があります。

特にテキストの解説だけでは十分に理解できない方などは、例えば講師に質問ができる通信講座を利用するなどして弱点を教えてもらい、苦手な問題を克服するのがよいでしょう。

電験三種試験の合格に必要なこと

電験三種試験の合格に必要なことを科目ごとに見ていきましょう。

試験4科目ごとの応用力

理論、電力、機械、法規の4科目の出題内容は下のとおりです。

科目名 科目の内容
理 論 電気理論、電子理論、電気計測および電子計測
電 力 発電所および変電所の設計および運転、送電線路および配電線路(屋内配線を含む。)の設計および運用ならびに電気材料
機 械 電気機器、パワーエレクトロニクス、電動機応用、照明、電熱、電気化学、電気加工、自動制御、メカトロニクスならびに電力システムに関する情報伝送および処理
法 規 電気法規(保安に関するものに限る。)および電気施設管理

この電験三種試験の特徴として、「理論」で問われる電気に関する基礎知識を土台にして、他の科目でケースごとに応用していく力が必要です。

「電力」では電気回路、「機械」は変圧器・直流機などに関する内容ですが、いずれも「理論」の知識を応用したものです。

「法規」は法令文の暗記と計算力が問われますが、電気の知識を理解し、使えるレベルにすることが求められます。

数学の理解と計算力

電験三種試験に出題される問題は、公式を理解しておけば比較的解きやすい傾向にあります。

ただし、発電所の電力の問題など、電験三種特有の数学や公式が頻出するため、対策を立てておくことは必要です。

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試験の出題文と問題比率は固定されているため、過去問題や演習問題で計算問題などをしっかり解けるようにしておけば安心です。

計画的で効率のよい対策

合格のためには、勉強時間などの配分に留意して対策を立てておきたいところです。

電験三種の数学は、中学までの数学で解答できるといわれることもありますが、覚える公式が多いうえに、どのように計算すればよいかわからないということがあります。

また、計算に時間がかかり、時間切れになってしまう方も多いため、勉強法も工夫が必要です。例えば、公式を覚える際は、公式のアルファベットや数字の意味を考えると効率よく覚えられます。

例えばオームの法則であれば、Vが電圧で、Iが電流で、Rが抵抗、という感じで覚えましょう。

科目合格制度を利用する

すでに触れましたが、電験三種は科目合格制度があるので、3年間で4科目に合格すればよい試験です。そのため

年2回試験を受けるとすれば、2年半(試験5回分)は科目合格を維持できます。受験料はかかってしまうものの、1回の試験で1科目ずつ合格していけば、4回目の試験で総合合格が可能です。

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全く知識がない状態から試験に挑戦する場合、科目合格を狙ったほうがうまくいきやすいでしょう。

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電験三種の難易度や合格率のまとめ

[sc_fs_multi_faq headline-0=”h3″ question-0=”電験三種の難易度は?” answer-0=”電験三種の難易度は合格率が一桁になることもある試験です。
最近は合格率が上昇傾向にあるものの、それでも難易度の高い試験と思っていいでしょう。計画的に勉強しましょう。” image-0=”” headline-1=”h3″ question-1=”電験三種の合格率は?” answer-1=”前述したように、電験三種の合格率は8~10%台前半を推移してきましたが、令和4年度下期からは合格率が10〜20%前半となっています。
また受験者数も多いですが、電気工事士と比べるとずっと低いので、腰を据えて勉強しましょう。一夜漬けではまず合格できません。” image-1=”” headline-2=”h3″ question-2=”電験三種の合格のコツは?” answer-2=”一発合格を無理に狙わず、科目合格を狙って勉強していくのもおすすめです。
ただし、年によって科目の難易度にもばらつきがあるため、科目合格をねらっていても一通りの勉強は必要です。
また、週末にまとめて勉強するより1日15分でもいいので毎日勉強していったほうが、知識が身につきやすいでしょう。” image-2=”” count=”3″ html=”true” css_class=””]

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