騒音障害防止教育とは、掘削や切断、打撃など騒音が発生する仕事に就いている方が騒音性難聴を発症しないよう、予防目的で行われる教育です。
騒音が発生する仕事に就いている方だけでなく、騒音障害防止対策の管理者も受講が求められています。
ここでは、騒音障害防止教育の概要、受講が必要な職業、受講の方法などを紹介します。騒音障害防止教育を受講予定の方や騒音が発生する仕事に就業する予定の方は参考にしてください。
目次
騒音障害防止教育を受講する目的
はじめに、騒音障害の概要と騒音障害防止教育を実施する目的について解説します。
騒音障害は、一度発症すると現代の医学では完治が難しい障害です。だからこそ、予防教育が必要です。
騒音障害の概要
騒音性障害は騒音性難聴とも呼ばれる障害で、長時間慢性的に騒音に暴露されることで発生する難聴です。
慢性的に騒音を暴露されることにより、内耳内にある感覚細胞が影響を受け、音が聞こえにくくなります。発症初期は4000Hz付近の高音が聞こえにくくなり、症状が進むにつれて低音も聞こえにくくなってやがて日常会話にも支障を来すようになります。
騒音障害は、騒音のレベルが高く慢性的に騒音に暴露する時間が長いほど発症する確率が高まる障害です。
現状では一度発症すると効果的な治療法はなく、失った聴力は元に戻りません。そのため、騒音障害は予防が重要です。
騒音障害防止教育の目的と必要性
騒音障害防止教育は、騒音障害防止を目的とした労働衛生教育です。
騒音が発生する仕事を行っている事業者は、騒音障害防止対策の管理者や騒音作業に従事する労働者に騒音障害防止教育を実施することが求められています。
騒音防止教育の受講時間は3時間です。 また、騒音障害防止には安全教育だけでなく、作業環境測定、騒音対策、健康診断などがあります。
受講が必要となる可能性のある業種
騒音障害防止教育が必要となる可能性のある職種としては、就業中大きな騒音が発生する職場で働く従業員が考えられます。
具体的な職種は、以下のようなものが該当する可能性があります。
- 安全衛生推進者
- 職長
- ライン管理者
- 建設工事現場での作業従事者
- トンネル、砕石、石材加工の現場での作業従事者
- 林業・木工作業現場 空港の駐機場所
この他にも、作業環境測定の結果大きな騒音が出ていると判断された場合は、受講が求められるところもあります。
騒音障害防止教育のカリキュラムと講習時間
騒音障害防止教育のカリキュラムと講習時間は、以下の表のとおりです。
No. | カリキュラム | 講習時間 |
---|---|---|
1 | 騒音の人体に及ぼす影響 | 30分 |
2 | 適正な作業環境の確保と維持管理 | 80分 |
3 | 防音保護具の使用の方法 | 40分 |
4 | 関係法令等 | 30分 |
合計 | 180分 |
合計で180分、つまり3時間の学科講習となっています。
なお騒音障害防止教育には実技講習はありません。
カリキュラムは厚生労働省のガイドライン等によって決まっているので、実施する機関によって講習時間などが若干異なる場合があります。
安全教育の中では短時間なカリキュラムなので、半日あれば受講可能でしょう。
騒音障害防止教育の受講義務や罰則について
騒音障害防止教育は、厚生労働省が発した「騒音障害防止のためのガイドライン」に基づいて実施される教育です。
そのため、ほかの特別教育のように法律に基づいて労働者や安全管理者に教育の実施が義務づけられているものではありません。そのため、受講しなくても騒音が発生する仕事にはつけます。また、労働者や管理者に受講をさせなくても事業者に罰則はありません。
しかし、騒音障害防止教育を受講させず騒音障害防止対策の管理者も定めずに仕事に従事させた結果、労働者が騒音障害を発症したことが明るみになった場合、事業者は安全配慮義務を怠った責任を民事で問われる可能性があります。
騒音が発生する仕事は幅広く、一度騒音性難聴を発症すると現在の医学では聴力の回復は不可能です。騒音障害防止教育の果たす役割は大きいため、忘れずに労働者と騒音障害防止対策の管理者に受講させましょう。
騒音障害防止教育の受講方法
ここでは、騒音障害防止教育の受講方法を紹介します。
騒音障害防止教育の受講方法には、対面受講・出張受講・Web受講の3種類が主にあります。それぞれの受講方法の特徴とメリット、受講方法を紹介するので参考にしてください。
対面講習の方法とメリット・デメリット
対面講習は、騒音障害防止教育を実施している登録教育機関に労働者や対策管理者が出向いて受講する方法です。
騒音障害防止教育は、地域の安全衛生協会などで実施されており、全国で受講できます。「お住まいの都道府県・騒音障害防止教育」とインターネットで検索すれば、実施機関を簡単に調べられるでしょう。
対面講習の費用は実施団体によって異なりますが、1万円台が相場です。 対面講習は、実施場所に行きさえすれば受講でき、教材などもすべて用意されているのがメリットです。受講側は特別に用意するものはありません。受講時間は3時間なので、午前中、もしくは午後だけで終る場合が大半です。
一方、デメリットとしては「受講場所を探すのが大変」「受講する時間を確保しづらい」といった点が挙げられます。お住まいの場所によっては日帰りで往復できるところに対面講習を行っている団体がないといったケースもあるでしょう。
出張講習の方法とメリット・デメリット
出張講習は、講師に会社まで来てもらって騒音障害防止教育を実施する方法です。受講人数が多い場合や対面講習を実施する場所が会社の近くにない場合に便利です。また、複数の会社が協力して講師を招くケースもあります。
出張講習のメリットは、受講日を受講する側に都合が良い日に決められ、移動時間が必要ないことです。例えば、午前中に講習を受ければ午後は仕事ができます。
一方、デメリットは講師の確保が大変、受講人数によっては対面講習より費用がかかることです。また、講師を自社に招く場合、自社で講習を受ける部屋、講師の控え室、講師の飲食物などを用意する必要もあります。受講する側のほうが負担が多いのもデメリットです。
Web講習の方法とメリット・デメリット
Web講習は、オンライン配信で講習を受講する方法です。会社にあるパソコンなどで受講が可能なのが最大のメリットです。
通信講座SATの騒音障害防止教育の場合であれば、すでに収録された映像のため、24時間365日オンラインでの受講が可能です。受講者が好きな時間に所有しているスマホやタブレットで講習が受けられます。もちろんPCでも受講可能です。騒音防止教育実技もないので、オンラインでの受講で講習が全て完了します。
またSATの講座の場合は、端末のカメラを利用した「顔認証システム」で受講状況をしっかり担保できます。オンライン講座の中には監督者同席のうえ視聴しないと「講習を受けた」と認められないケースもありますが、その心配はありません。PCを利用する場合で端末にカメラがない場合は、Webカメラを使用することで受講できます。
なお、 インターネットをスムーズに受信できる環境がないと視聴が難しいので、必ず安定した回線がある環境で受講する必要があります。
まとめ:騒音障害防止教育はWeb受講が便利
騒音性難聴は本人も気づかないうちに症状が進み、かつ治療法がないため予防が大切です。
騒音障害防止教育は労働者はもちろんのこと労働者の安全を管理する役割の管理者も、予防の大切さを知ることができる教育です。騒音が出る作業に従事させたり安全管理を任せたりする前に、必ず受講してもらいましょう。
SATが主催するオンライン講座は24時間365日いつでも受講できるので、仕事が忙しい職場ほど特におすすめです。また顔認証システムによって管理者がいなくても受講可能です。