近年、人手不足の影響から建設業に充実する外国人は増加の一途をたどっています。外国人の方にも安全にさまざまな仕事をしてもらうために、安全教育を受けて欲しいと考えている会社も多いでしょう。
しかし、安全教育を受けるには言葉をはじめとしてクリアしなければならない問題もあります。本記事では、外国人に特別教育を受講してもらう方法や注意点を紹介します。外国人従業員が在籍している建築会社の方は参考にしてください。
目次
特別教育とは?
特別教育とは、危険が伴う業務を行う従業員に向けて実施する教育の総称です。労働安全衛生法によって受講が定められており、労働安全衛生規則第36条で49の業務において安全教育の実施が義務づけられています。
一例を挙げると「フルハーネス型墜落制止用器具特別教育」や「足場の組立て等特別教育」などです。 特別教育を行わなかった場合、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金が課せられます。
外国人労働者でも特別教育の受講は義務
特別教育は、該当する業務に就く場合、国籍を問わずに受講しなければなりません。
外国人だからといって、特別教育は免除されないので注意が必要です。
また、特別教育を実施しないと労災発生のリスクもあがります。労災が一度でも発生した場合、従業員に危険が及ぶのはもちろんのこと、会社の評判は一気に下がります。特別教育は必ず受講しましょう。
特別教育の受講方法
特別教育の受講方法には、以下の4種類があります。
- 外部機関で受講する方法
受講者が特別教育を行う場所に行って受講する - 講師を招いて受講する方法
外部より講師を自社などに招いて受講する方法 - 自社の社員が教育を実施する方法
特別教育を実施できる条件を満たした社員によって特別教育を行う方法 - Web受講
オンラインで受講する方法
どの方法を受講するかは、各会社に任されています。近年は、スマホやタブレットで受講できるWeb受講も増えましたが、実技講習は別途受けなければならないといった注意点もあります。
通信教育のSATでは、フルハーネス、足場の組立、アーク溶接、低圧電気などの特別教育のEラーニングを実施中です。通常、オンラインでの受講は監視人を置いての一斉受講が一般的です。 この方法はどこでも受講できるメリットがある一方で、受講環境を整える手間がありました。
SATが導入している労働局に確認済みのAI顔認証システムを利用すれば、監視人が不要で、個別受講も可能です。通勤時間や昼休み時間などに受講もできるので、仕事に与える影響も最小限ですむでしょう。
外国人が特別教育を受講する方法
ここでは、外国人が特別教育を受講する方法や注意点を紹介します。 外国人の従業員に特別教育を実施させたいと考えている会社は、参考にしてください。
日本語の理解が十分な外国人の場合
来日して働いている外国人の中には、日本語での読み書きが不自由ない方も珍しくありません。 そのような方は、日本人と同じように特別教育を受けましょう。
特別教育は資格を取得するためのものではなく、安全に仕事をするための知識や技術を身に付けるためのものです。 日本語が十分に理解できるなら問題ありません。
日本語の理解が不十分な外国人の場合
日本語の読み書きが十分にできない外国人の場合は、外国人向けの安全教育を受講しましょう。
近年は、特別教育によっては外国語で受講できるものもあります。対応言語は英語のほか、中国語、ベトナム語、インドネシア語、タガログ語などに対応しています。
母国語に対応している場合や英語が理解できる場合は、外国人向けの安全教育を受講してください。 SATでもベトナム語を中心に、一部特別教育では英語特別教育に対応しています。外国人向けに安全教育を実施したい場合も、ぜひご利用ください。
ただし、どの特別教育を実施している場所でも外国人向けの講座が行われているわけではありません。実施する団体によっては日本語でしか特別教育をおこなっていないところもあります。
事前に必ず問い合わせて外国人向けの特別教育を実施しているかどうか、確認しましょう。
日常的な日本語は理解しているが専門用語のみ理解できない外国人の場合
一部の特別教育では、受講に通訳の同席が認められています。日常的な日本語は理解ができても、特別教育に出てくる専門の日本語が立会できない場合は、通訳が同席していれば出席と認められます。
なお、通訳は専門的な方でなくても構いません。例えば、同じ会社で働いている外国人の従業員の教育係でも大丈夫です。 ただし、すべての特別教育が通訳の同席を認めているわけではありません。必ず事前に問い合わせてください。
外国人の従業員に特別教育を受けさせる際の注意点
最後に、外国人の従業員に特別教育を受けさせる際の注意点を紹介します。 初めて外国人の従業員に特別教育を受けさせる会社の方は、参考にしてください。
日本語が理解できない外国人を出席させてはならない
日本語で行われる特別教育に外国人が出席する場合、日本語の読み書きに不自由していないことが条件です。「とにかく出席していれば修了になる」といったことはありません。
特別教育を実施している団体の中には、外国人従業員が出席する場合は、日本語が理解できるかどうかチェックを行っているところもあります。 日本語が理解できないとわかったら、その場で退出を求められる場合もあるでしょう。
また、実施団体によっては、外国人が勤務している会社に日本が理解できる旨を証明する書類の提出を求める場合もあります。
全ての外国語に対応してはいない
日本に働きにきている外国人には、いろいろな国の方がいます。そのため、特別教育も可能な限り、複数の言語で対応できるように整備が進められています。
しかし、現状はまだ対応し切れていない言語も複数あるので、注意してください。欧米系の言語だと、フランス語、イタリア語、ドイツ語などには対応していないところが多いです。また、中国語は北京語オンリーで、上海語や広東語には対応仕切れていません。
このほか、韓国語にも対応していない特別教育が大半です。したがって、自社で働いている社員が理解できる言語を把握したうえで、教育が受けられる場所を探しましょう。
専門言語以外の通訳は認められないケースが多い
日本人向けの講習には、専門言語の通訳が付き添っての受講が認められています。しかし、日常的な言語の通訳までは認められていません。
例えば、日本語がほとんどわからないので、通訳を連れて行きたいといった場合は却下させられるケースが大半です。
まとめ:外国人の従業員が特別教育を受ける場合は母国語での受講がおすすめ
建築業界の人手不足は深刻であり、いまや外国人労働者の助けは欠かせないものとなっています。これからも、外国人従業員は増え続けるでしょう。
特別教育も、外国語に対応している講座も増えました。特に、東南アジア出身の従業員は母国語でも授業が受けやすくなっています。
SATでも一部の講座がベトナム語や英語に対応しています。外国人従業員を雇っている会社は、ぜひ積極的に母国語で特別教育を受けてもらいましょう。