熱中症は、高温多湿の環境で働く方は誰でも発症する可能性があります。
重症化すると命に関わる恐れもあるので、熱中症のリスクがある職場で働く労働者は熱中症に関する知識と予防法、発症した場合の対処法を知っておくことが重要です。
本記事では、熱中症の予防・対処法を学べる熱中症予防労働衛生教育の概要や必要性、受講方法を紹介します。
目次
熱中症予防労働衛生教育とは
はじめに、熱中症予防労働衛生教育の概要や必要性を紹介します。
毎年のように夏の高温がニュースになる現在、熱中症の危険性は広く知られるようになりました。しかし、熱中症は高温多湿の環境ならば、夏以外でも発生する可能性があります。
夏以外でも高温多湿な環境で働く労働者は、熱中症による被害を出さないためにも教育が必要です。
熱中症予防労働衛生教育の概要と必要性
熱中症予防労働衛生教育とは、高温多湿な環境下で作業を行う労働者に対して熱中症の予防や、熱中症が発症した際の対応方法を教える教育です。厚生労働省通達に基づいて受講が推奨されています。
熱中症は高温多湿な環境で仕事をしている方ならば、誰でも発症する可能性がある症状です。
厚生労働省の発表によると、2022年度に発生した職場での熱中症による死傷者(死亡・休業4日以上)は827人でした。このうち、発生した職場の約4割が建設業と製造業です。 気象の変化などにより、夏は気温が35度を超える日が珍しくなくなりました。
また、夜になっても気温が26度を下回らない日の増加により、夜間勤務でも熱中症のリスクが高まっています。 熱中症が発生すれば、仕事の進行状況に影響が出るのはもちろんのこと、発生状況によっては会社の信用も悪化します。
熱中症予防労働衛生教育は従業員の命を守るのはもちろんのこと、会社の信用を守るためにも必要です。
熱中症予防労働衛生教育の対象者
熱中症予防労働衛生教育の対象者は「高温多湿な作業場所での作業を管理する者と労働者」と規定されています。
実際に現場で仕事をする労働者だけでなく、労働者を監督する管理者も受講の対象です。
また、厚生労働省は教育の受講者を建設業と建設現場に付随して行う警備業を主に想定しています。しかし、高温多湿な作業場所で働く全ての従業員と管理者が受講するのが望ましいです。
作業者向け教育と管理者向け教育の違い
熱中症予防労働衛生教育は、実際に現場で作業する作業者向け教育と、作業者を管理する管理者向け教育があります。
作業者向けの教育内容は、以下の通りです。
熱中症予防労働衛生教育 (作業者向け) | ||
---|---|---|
No. | カリキュラム | 講習時間 |
1 | 熱中症の症状 | 30分 |
2 | 熱中症の予防方法 | 1時間30分 |
3 | 緊急時の救急処置 | 15分 |
4 | 熱中症の事例 | 15分 |
合計 | 2時間30分 |
管理者向けの教育内容は、以下の通りです。
熱中症予防労働衛生教育 (管理者向け) | ||
---|---|---|
No. | カリキュラム | 講習時間 |
1 | 熱中症の症状 | 30分 |
2 | 熱中症の予防方法 | 2時間30分 |
3 | 緊急時の救急処置 | 15分 |
4 | 熱中症の事例 | 15分 |
合計 | 3時間30分 |
作業者向けも管理者向けも教育内容は同じですが、管理者のほうが「熱中症の予防方法」の項目が1時間長く設定されています。なおどちらも実技のカリキュラムはありません。
熱中症は予防が重要であり、管理者は作業者を管理するのも仕事の一環です。
受講しなかった場合の罰則について
熱中症予防労働衛生教育は、厚生労働省が平成21年(2009年)に発した通達、「職場における熱中症の予防について」に基づいて行われる教育です。法律などで受講が義務づけられている教育ではないので、罰則などはさだめられていません。また、教育を受講しなければ高温多湿の環境で仕事ができないというわけではありません。
しかし、熱中症は一度発症すると回復までに時間がかかります。また、回復しても後遺症などによって元の仕事に復帰できない恐れもあるでしょう。
熱中症は予防・早期発見・早期対応が重要です。 熱中症予防労働衛生教育を受講すれば、予防法だけでなく緊急時の救急処置方法なども学べます。熱中症はどれほど気をつけていても完全には防げません。
しかし、教育を受けて対応方法を学んでおけば、熱中症患者が発生しても素早く適切な処置ができます。
熱中症予防労働衛生教育は、管理者用教育でも3時間30分あれば受講可能です。半日あれば受講できるので、ぜひ受講しましょう。
熱中症予防労働衛生教育の受講方法
熱中症予防労働衛生教育の受講方法には、対面受講・出張受講・オンライン受講の3種類があります。
ここでは、それぞれの受講方法の特徴やメリット・デメリットを解説します。受講方法を探している方は、参考にしてください。
対面講習
対面講習は、熱中症予防労働衛生教育を行っている機関に出向いて受講する方法です。
熱中症予防労働衛生教育は、技能講習協会や建設労働災害防止協会など、全国各地で行われています。
対面講習のメリットは、以下のとおりです。
- 受講を受けさせる側に特別な準備は必要ない
- 講習会に参加すれば、確実に教育を受けられる
- 講習を実施している場所に行けば受講できる
一方、対面講習には以下のようなデメリットもあります。
- 受講できる日時や人数が限られている
- 受講できなかった場合は振り替えが大変
- 人気の曜日はすぐに満員になりがち
- 受講会場が遠い場合もある
対面講習は、教育の準備はすべて開催する側が行ってくれます。したがって、受講する側は何も準備は必要ありません。午前中は仕事をして、そのまま会場に直行しても大丈夫です。 また、出席すれば受講したとみなされます。
しかし、対面講習は、実施日時が限られています。そのため、仕事の都合などで受講できなくなっても振り替えが難しい場合もあるでしょう。
また、人気の受講日は早々に満員になってしまい、予約を取るのが大変な場合もあります。
このほか実施できる会場が遠い場合では、往復するだけで1日潰れてしまうこともあるのがデメリットです。
出張講習
出張講習は、講師に会社まで来てもらって教育をおこなってもらう方法です。受講人数が多い場合は、対面講習よりも講師を自社に呼んだほうが何かと便利です。 また、複数の会社が協力して講師を招く方法もあります。
出張講習のメリットは、以下のとおりです。
- 受講日を受講する側に都合が良い日に決められる
- 社内で講習を実施するのであれば、移動時間が必要ない
- 講習を実施している場所に行けば受講できる
一方、出張講習には以下のようなデメリットもあります。
- 講習を受ける部屋や講師の控え室などの準備が必要である
- 対面受講より費用がかかる場合もある
- 講師によっては開催日程のスケジュール調整が難しい可能性がある
講師を自社に招く場合、自社で講習を受ける部屋はもちろん、講師の控え室や、場合によっては講師の飲食物などを用意しなければなりません。
また、講師を数時間拘束するので対面講習より費用がかかる場合もあります。
このほか、講師を希望する日時に確保するのが大変になりがちなのもデメリットです。
Web講習
Web講習は、インターネット配信で講習を受講する方法です。インターネットを介して動画を視聴する環境が整っていれば、場所を選ばず受講できます。そのため、インターネットを介して受講するケースは増加しています。
ここではSATが提供している熱中症予防労働衛生教育を例に紹介します。
SATのWeb講習のメリットは、以下のとおりです。
- 24時間365日、オンラインでの受講が可能
- 端末のカメラで受講状況をしっかり担保
- スマホアプリで修了証が即日自動発行
一方、SATのWeb講習には以下のようなデメリットもあります。
- インターネットをスムーズに受信できる環境がないと実施が難しい
SATの熱中症予防労働衛生教育は、あらかじめ収録された講義動画を視聴して受講を行います。収録済みの動画のため、24時間365日いつでもWebで受講可能です。
そのため全ての講義動画を一気に視聴する必要はなく、たとえ動画の途中であっても一旦再生を止めてから別の機会に続きから視聴再開するということも可能です。動画はパソコン、スマートフォン、タブレット端末といったインターネットに接続ができるあらゆる端末から視聴することができます。
そして、SATの講座では労働局に確認済みのAI顔認証システムを採用しています。これは、端末のカメラ利用して、受講者本人が受講されているかを担保されます。スマートフォンやタブレットでは端末のカメラを利用します。パソコンにカメラがない場合でも、USBなどで接続できるカメラが利用可能です。このシステムにより、監視者を別途用意しなくても、受講が無効になることはありません。
また、SATの講座の場合、受講修了証がスマートフォンアプリタイプとプラスチックカードタイプの二種類発行されます。スマートフォンタイプの修了証はiOSとAndroidの両端末に対応しており、受講が修了すれば即日発行されます。プラスチックカードタイプの修了証は郵送となりますが、発行の際の手数料などは必要ありません。
なお、SATの講座の場合はオンラインWeb講座となるために、動画再生ができるインターネット環境がないと受講ができないのでご注意ください。またSATの熱中症予防労働衛生教育は管理者向けのカリキュラムとなっています。
まとめ:熱中症予防労働衛生教育はWeb受講が効率的
熱中症予防労働衛生教育は、熱中症による労働災害を防ぐためにも必要な教育です。受講しなくても罰則はありませんが、受講するメリットは大きいので、ぜひ従業員と管理者、両方に受講してもらいましょう。
SATが提供するオンライン講座は24時間365日いつでも受講できるうえ、顔認証システムによって管理者がいなくても大丈夫です。修了証もスマートフォンアプリタイプとプラスチックカードタイプの二種類があり、いろいろな場面で活用できます。