電気工事士は、電気工事を行う際に必ず必要な資格です。
電気関係の仕事だけでなくビル管理や家電の設置などの仕事に就いている方も取得するとメリットがたくさんあります。
今回は第二種電気工事士の資格の概要をはじめ、合格率や難易度や勉強方法などを紹介します。
目次
そもそも電気工事士とはどのような資格?
電気工事士資格は作業範囲によって、第一種電気工事士と第二種電気工事士に分かれています。
第一種 | 1. 自家用電気工作物のうち最大電力500 キロワット未満の需要設備の電気工事 2. 一般用電気工作物の電気工事 ただし、1の作業のうちネオン工事と非常用予備発電装置工事の作業に従事するには、特種電気工事資格者という別の認定証が必要 |
第二種 | 一般住宅や小規模な店舗、事業所など、電力会社から低圧(600ボルト以下)で受電する場所の配線や電気使用設備等の一般用電気工作物の電気工事 |
第二種電気工事士にできることは、一般住宅などの小規模な施設の電気工事です。
一方、第一種電気工事士は第二種の範囲に加え、ビルや工場といった大規模施設の電気工事、高圧電力の送配電線路の工事に従事できます。
また、第二種電気工事士は試験に合格すると免許が交付されますが、第一種電気工事士の免許交付には試験合格に加えて、3年以上の実務経験が必要という点も異なります。
第二種電気工事士の仕事内容
続いて、第二種電気工事士の仕事内容について紹介していきます。
建築電気工事
建築電気工事とは、建築現場で行う電気工事のことです。第二種電気工事士の場合は、一般住宅や小規模な店舗などの工事を担当できます。
工事内容は、電気の配線工事やエアコン、照明、コンセントの取り付けなどが主です。実務経験が豊富な方は実務だけでなく現場全体の指揮を任されることもあります。
現場の指揮を任されると配管工事をはじめとする他の作業との調整なども仕事に入ってきて忙しさは増しますが、給与はアップすることが多いでしょう。実績が増えて信頼が高まると、複数の現場を掛け持ちをするケースもあります。
ビルメンテナンス
ビルメンテナンスは、ビルの設備を維持する業務全般を指します。無資格でも行えますが、電気工事士の資格を持っていれば電気設備のちょっとした故障を修理できるなど、何かとメリットが大きいです。
また、大きな故障が起きてメンテナンス業者に修理を依頼するときも、電気配線等の知識があれば「どこで、どんな故障が起こっているか」の説明もしやすいでしょう。
危険物取扱者乙種4類や二級ボイラー技士など、ビルメン4点セットに入っている資格を併せて取得すると、さらに重宝されます。
鉄道電気工事
鉄道電気工事とは鉄道工事の一種で、主に電車や駅に電気を供給する設備の保守や点検、工事を行います。
第二種電気工事士の資格を所有している場合は、駅構内の電光掲示板、照明、空調、改札などの電気設備の工事が主な仕事となるでしょう。認定電気工事士の資格を取得すれば工事できる範囲が広がります。
第二種電気工事士の年収
第二種電気工事士の年収は、平均では300万~450万程度といわれています。
年収の幅が大きいのは、実務経験が給与に反映される例が多いためです。資格を取得したばかりで無経験の方はそれほど高い給与は期待できません。しかし、実務経験を積んでできる仕事が増えていくほど収入も増えていくでしょう。
第二種電気工事士試験の概要
第二種電気工事士の試験の受験資格、内容、合格基準、合格率などを紹介します。受験を考えている方は参考にしてください。
受験資格
冒頭でも触れましたが、第二種電気工事士の資格試験に受験資格は定められていません。国籍・年齢・性別を問わすに受験が可能です。
第二種電気工事士は、電気関係の勉強をしていなかったり畑違いの仕事に就いていたりしても、独学で勉強して取得する方もいます。資格試験の中では挑戦しやすい部類です。
試験内容は筆記試験と技能試験
電気工事士の資格試験はマークシート式の学科試験と技能試験があり、筆記試験に合格しないと技能試験は受けられません。
試験は年に2回行われ、学科試験に合格して技能試験に不合格だった場合は次回の試験のみ筆記試験が免除されます。また、高校や大学で定められた電気工学の過程を修めた場合など一定の条件を満たしても同様です。
合格基準と合格率
第二種電気工事士試験は、筆記試験が1問2点の配点で50問、技能試験が1問出題されます。
学科試験は60点以上の得点、技能試験は出題された配線図をミスなく施工できることが合格基準です。
学科試験の合格率は50~65%前後、技能試験の合格率は60~75%を前後しており、難易度は低めとなっています。
試験日程
第二種電気工事士の資格試験は年に2回行われており、令和6(2024)年度の日程は以下のとおりです。
上半期 学科試験 | 【CBT方式】4月22日(月)~5月9日(木) 【筆記方式】5月26日(日) |
上半期 技能試験 | 7月20日(土)または 7月21日(日)のいずれか1日 |
下半期 学科試験 | 【CBT方式】9月20日(金)~10月7日(月) 【筆記方式】10月27日(日) |
下半期 技能試験 | 12月14日(土)または12月15日(日)のいずれか1日 |
学科試験のCBT方式とは令和5年度から始まった新しい試験方式です。これは試験会場に設置してあるパソコンを使用して受験する方式です。パソコンの画面上に問題が表示されているので、直接操作を行い解答を行います。問題は全て四肢択一式です。
一方、筆記方式はマークシート式の試験です。こちらも四肢択一式となっています。CBT方式と筆記方式で難易度の違いはありませんので、受験しやすい方で申し込みを行いましょう。
第二種電気工事士試験に合格できる勉強方法
第二種電気工事士の難易度は決して高くはありませんが、一夜漬けで勉強して試験に臨んで合格できるほど簡単でもありません。
計画的に勉強していくことが、合格への近道です。高校受験や大学受験のように、1日何分と勉強時間を決めて必ずそれを守りましょう。
仕事をしながら試験にチャレンジする場合は、通勤時間や休み時間などをフル活用するのがおすすめです。
週末にまとめて勉強する方法は、一夜漬けとあまり変わりません。短時間でも毎日少しずつ勉強する方が記憶にも定着しやすいです。
前述したように、第二種電気工事士の試験は学科試験と技能試験があります。参考書も過去問も豊富に販売されているほか、最近ではYoutubeなどの動画サイトでも解説動画がアップされています。スマートフォン用のアプリなども提供されているので、電気に関する一定の知識があれば独学での勉強も可能です。
通信教材を使う手段もあり
「電気に関する知識は中学校の物理レベル」「参考書を読んでも全く理解できない」という方には、通信教材の利用がおすすめです。
通信教材は書店で販売されている参考書より分かりやすいテキストや、講義ビデオなどが利用できます。
教材によっては、メールやチャットなどのオンラインで分からないところがすぐに質問できるものもあります。
なお、通信教材の場合は技能試験にも対応しています。教材によっては道具の持ち方から解説してくれるものもあるので、工具に触ったことすらない方は通信教材を利用するのがおすすめです。
学科試験の勉強方法
学科試験は、参考書を読んで過去問を解くことを繰り返しましょう。
学科試験は暗記がどれくらいできているかが合否の分かれ目です。参考書を読んで「覚えた」と思ったら、過去問を解いてみて理解力を確かめましょう。
「読む」と「解く」を反復すれば知識も身に付いていきます。
技能試験の勉強方法
技能試験の勉強は、まず配線図を理解して書けるようにすることと工具の扱い方から始めます。工具を使ったことのない人は持ち方から覚えましょう。
なお、工具はホームセンターでも揃いますが、ネットショップでセット販売されているものを購入するのもおすすめです。
ある程度の値段のものでないと耐久性も低くなるので注意しましょう。配線図が正確に書けるようになり工具の扱い方も慣れたら、後は繰り返し工作物を作成して正確さをアップします。
勉強のための注意点
第二種電気工事士の試験は、学科試験に合格しないと技能試験は受けられません。ですので、まずは学科試験の勉強に集中して合格したら技能試験の勉強に手をつけましょう。
同時進行で両方の試験勉強を進めようとすると、どっちの勉強も中途半端になってしまいます。合格が判明してからでは遅いと思う場合は、学科試験が終った次の日から勉強を始めましょう。
第二種電気工事士を取得するメリット
ここでは、第二種電気工事士を取得するメリットを解説します。畑違いの分野で仕事をしていても、取得するメリットはあります。
転職にとても有利になる
電気工事士が行えると仕事の幅が広がる職種は多いものです。前述したビルメンテナンス業務のほか、リフォーム工事を行う業者や家電量販店なども有資格者は優遇されるでしょう。
第二種電気工事士を取得すれば仕事の幅が広がるだけでなく、資格手当などの名目で給与アップも期待でき、転職する際も大きな武器になるでしょう。
特に、30代以降に転職する場合は経験や資格が重視されます。無経験な職種でも第二種電気工事士の資格があれば採用されるケースもあります。
スキルを上げて起業や独立もできる
電気工事の仕事は個人事業主として起業や独立もしやすい仕事です。特に、経験を積んでスキルを上げれば独立しても仕事を取りやすく、年齢が上がっても仕事をし続けることもできます。
ただし、独立したり起業したりするならば第一種電気工事士を取得しておくのがおすすめです。第二種電気工事士を取得して勉強の習慣がついているうちに第一種を取得し、3年の実務経験を積んで免状交付と同時に独立するケースもあります。
手に職をつけられる
電気工事は電気工事士ででないと行えないため、水道やガスなど他のライフラインに関する資格に比べて需要が高めです。
電気関係の仕事はもちろんのこと、設備の保守や管理の仕事でも有資格者を求めています。電気工事士を足がかりに転職をして、その分野で実務経験がないと受験資格を得られない資格を取得すれば、さらに手に職をつけられるでしょう。
電気工事以外でもできることが増えれば、よりよい待遇をもとめて転職したり独立したりしてもうまくいけます。
特別手当がつくことがある
資格を持っていてそれを利用した仕事をすると、「資格手当」がつくこともあります。額面は会社によって差がありますが、数千円給与がアップすることもあるでしょう。
資格手当は、有資格者ができる仕事が会社にとって重要なほど高くなる傾向があります。
電気工事が会社にとって重要な仕事であるほど、手厚い資格手当が付く可能性も高いでしょう。また、特別手当でなく給与そのものがアップすることもあります。
第二種電気工事士が取得できる、認定電気工事従事者とは?
最後に、第二種電気工事士になると取得できる認定電気工事社の概要を紹介します。
認定電気工事従事者の概要と取得方法
第二種電気工事士を取得すると、一般住宅や小規模な店舗、事業所など、電力会社から低圧(600ボルト以下)で受電する一般用電気工作物の電気工事ができるようになります。
これに併せて認定電気工事従事者の資格を取れば、電圧600ボルト以下で使用する自家用電気工作物の簡易電気工事(電線路にかかわるものは除外)に従事できるようになり、仕事の幅を広げることが可能です。
認定電気工事従事者の資格は、第二種電気工事士の資格取得後3年の実務経験があれば申請だけでも可能です。
実務経験期間が3年未満でも取得したい場合は、認定電気工事従事者認定講習を受講してください。
講習は一般社団法人「電気工事技術講習センター」が主催し、上期・下期の年2回全国で開催されます。
詳しい日程は電気工事技術講習センターのホームページを確認してください。なお、講習は1日で修了します。
認定電気工事従事者資格を取得するメリット
ここでは、認定電気工事従事者資格で得られるメリットを紹介します。
試験なしで資格を取得できる
第二種電気工事士有資格者であれば、3年の実務経験を積むと申請のみ、実務経験が足りなければ講習を受講すれば取得できます。試験なしで取得できる電気関係の資格は少ないので、ぜひ取得しておきましょう。
工事範囲が広がる
電圧600ボルト以下で使用する自家用電気工作物の種類は多く、第二種電気工事士の資格と併用すれば工事できる範囲をぐっと広げることができます。
工事ができる範囲が広がれば、受けられる仕事も増えます。
特に、第一種電気工事士の資格を取得しているが実務経験の関係で免状が申請できない人に取っては、第一種電気工事士ができる工事の範囲の一部ができるようになるのは、大きなメリットです。
第一種電気工事士の免状取得後、すぐに仕事の幅をさらに広げることもできるでしょう。
更新不要で一生ものの資格になる
電気工事従事者資格には、更新や有効期限がありません。一度取得すれば一生使えます。電気工事の仕事の中には比較的高齢の方でも行えるものが多く、定年後の再就職などにも役立つことでしょう。
ただし、認定証を紛失したり記載事項の変更をしたりする際には、再度の申請が必要なので注意してください。再申請は全国の産業保安監督部で受け付けています。
まとめ:第二種電気工事士は魅力とやりがいのある仕事
第二種電気工事士は電気工事の中では基礎的な資格ですが、電気工事の実務につけるというメリットがあります。
また、第二種電気工事士を取得して実務経験を積むことで、第一種電気工事士などもっと高度な資格も取得できるようになります。電気工事に関係する仕事をするならば、取得必須の資格です。
なお、資格取得後も実務経験を積んだり認定電気工事従事者など他の資格をさらに取得することが求められます。それでも、取得できれば自信に繋がるでしょう。
SATの第二種電気工事士講座は
24時間365日、オンラインでの受講が可能!
- スマホまたはPCがあればどこでもかんたんに受講ができる!
- 電流とは?抵抗とは?電圧とは?のレベルからしっかり説明!
- フルカラーのオリジナルテキストでやる気も持続!
\ 詳しくはこちらをチェック /
第二種電気工事士の資格概要のおさらい
[sc_fs_multi_faq headline-0=”h3″ question-0=”第二種電気工事士はどんな資格?” answer-0=”電気工事士は、電気工事を行える資格です。
なお、工事できる範囲は電圧600ボルト以下で受電する一般用電気工作物に限られます。
一般住宅や小規模な店舗、事務所などが主な工事現場です。
電気工事は有資格者しか行えないので、取得するメリットは大きいといえます。” image-0=”” headline-1=”h3″ question-1=”第二種電気工事士の受験資格は?” answer-1=”受験資格は定められていません。年齢・国籍・性別・職業に関係なく受験できます。
工業高校など電気関係の学校では卒業までに資格取得を奨励しているところも多いです。
また、高校以上で定められた電気工学に関する単位を取得すると、試験の一部が免除されます。近年は女性の受験者も増えました。” image-1=”” headline-2=”h3″ question-2=”第二種電気工事士の合格率や難易度は?” answer-2=”試験は学科試験と実技試験があり、筆記試験の合格率は50~65%前後、技能試験の合格率は60~75%を前後しています。
合格率の高さから難易度は「低め」「やや易しい」とされていますが、勉強をしないで試験に臨んでも合格は難しいでしょう。
なお、学科試験を合格しないと技能試験を受けられません。” image-2=”” headline-3=”h3″ question-3=”第二種電気工事士を取得するメリットは?” answer-3=”電気工事は電気工事士でないと行えません。
電気工事が必要になる職場は多く、有資格者の需要は高めです。
20代~30代前半ならば無経験でも有利な条件で雇用してもらえる可能性もあるでしょう。
また、転職の武器にも使えます。職場によっては資格手当が付いて給与もアップするでしょう。” image-3=”” count=”4″ html=”true” css_class=””]