電験三種の受験を考えている方であれば、「科目合格制度」という言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。
科目合格制度は、電験三種の難関試験を突破するうえで欠かせない制度です。制度を知っているか知らないかで、受験の合否を大きく左右するでしょう。
この記事では、「科目合格制度とは?」「科目合格制度を上手く利用する方法と具体例」の2点を中心に紹介していきます。
科目合格制度を上手く利用することで勉強方法も明確になりやすく、試験に対する緊張も緩和されるでしょう。「合格できるかどうか」というところに深く関わる制度ですので、この記事を通して科目合格制度を理解し、合格率をグッと上げましょう!
目次
電験三種の「科目合格制度」とは
科目合格制度とは、「4科目のうちの1つの科目を合格した場合、合格した科目は2年間だけ合格扱いになる」という制度です。
以前は、電験三種の試験科目は6科目あり、全て一発合格しなければならないという超難関試験でした。
更に、科目の一つ一つが簡単ではないため、合格者が少なかったのでしょう。科目が4つに減り、「科目合格制度」が導入されたのです。
電気技術者センターは、HPより、下記のように述べています。
”試験の結果は科目別に合否が決まり、4科目すべてに合格すれば第三種電気主任技術者試験合格となりますが、一部の科目だけ合格した場合には科目合格となって、翌年度及び翌々年度の試験では申請によりその科目の試験が免除されます。
つまり、3年間で4科目の試験に合格すれば第三種電気主任技術者免状の取得資格が得られます。”
(参考:電気技術者試験センター『科目合格制度について』)
この科目合格制度を上手く利用することで、試験合格の可能性はグッと上がります。「何年かけても合格できない」という苦痛を味わう必要もないのです。
電験三種の科目合格制度の活用例
それでは、科目合格制度の上手な活用方法について見ていきましょう。
3年間での合格を狙ったパターンと、5年間での合格を狙ったパターンについて解説します。
戦略的に受験を考えておくことで、勉強方法のメドもつきやすく、楽な気持ちで受験に挑むことが可能です。ぜひ、参考にしてみてください。
3年間で合格するパターン
1年目→理論と電気を合格
2年目→機械を合格(この時点での合格扱い科目:理論、電気、機械)
3年目→法規を合格(この時点での合格扱い科目:全ての科目)
上記が科目合格制度を一番上手く利用した流れになります。得意・不得意の科目に置き換えて、自分なりの3年で合格するパターンを作ってみましょう。
再受験にならないように注意をする
先ほどお伝えしたように、科目合格制度は、「一度合格した科目は2年間合格扱いになる」という精度です。そのため、他の科目に合格しないままうっかり2年間を過ぎてしまうと、再受験が必要となってしまいます。
合格と不合格を繰り返すことで、負のスパイラルに陥るリスクがある
合格した科目の再受験は気持ち的にしんどくなる
勉強してから年数が経っているため、内容を全然思い出せない
受験料が余分にかかる
このように、再受験には様々なデメリットがあり、できるだけ避けた方が良いでしょう。それに、受験期間が長くなるほど、負担が大きくなってしまいますよね。そのため、電験三種はできるだけ、3年以内に合格するようにしましょう。
電験三種の科目合格制度を利用した取得スケジュール
科目合格制度を利用するうえで、おすすめの取得スケジュールを紹介します。
機械と法規は優先しましょう!
まず、機械と法規は、1年か2年以内に合格しておきましょう。
なぜなら、この2つの科目は年度によって難易度のバラつきがあり、4科目の中で突出して難しいためです。
機械と法規をいかに合格できるかが、合格の鍵となることを知っておくとよいでしょう。それぞれの科目の特徴と対策方法を紹介します。
【機械】出題の範囲が広く、4科目の中で最も難しいとされています。出題頻度の高い範囲に絞って勉強するのもありです。
また、変圧器関連、回転機関連(直流機、誘導機、同期機)の問題の出題傾向が高いのも特徴の一つ。このあたりに問題をしぼるのがおすすめです。
【法規】他の科目と比べ、4問ほど少ないです。つまり、1問に対する配点が高くなっているということ。山が外れた場合のダメージは計り知れません。
また、計算問題が40点分あるというのもポイントです。ここの配点を落としてしまうと、不合格は免れないでしょう。法規の合格率を上げるためには、電技(電気設備技術基準・会社)を読むことです。電技を読みこむことで、論説や空白問題に対応できるようになります。
電験三種の科目合格制度は油断禁物
これまで科目合格制度についてお伝えいたしましたが、電験三種を受験するうえで油断は禁物です。
2年間、科目の受験が免除されるというのは確かに魅力的ですよね。しかし、その制度に頼り切ってしまうと、かえって合格から遠のいてしまう可能性があります。
「合格できた科目は来年も免除だから余裕だろう」と油断してしまい、前年度より勉強の質や量を減らしてしまう受験者もいるからです。
肩の力を抜くのは大切なことですが、油断して勉強しないとあっという間に2年が経ってしまい、再受験になるというのはよくあります。先ほども説明したように、再受験になると忘れてしまっていることが多く、一度合格しているとやる気も出てきません。全体の勉強をするためのモチベーションも下がってしまうでしょう。
さらに、免除→不合格→免除取り消し→合格→免除→不合格→免除取り消し…という負のスパイラルに陥るリスクが何より怖いです。
3年で合格するパターンを計画するのは良いことですが、計画した通りになるよう、その年の受験は精一杯取り組むようにしましょう。
3年でしっかり合格することで、他の試験に対する自信も生まれます。
まとめ
この記事では、電験三種における科目合格制度について解説してきました。
科目合格制度は、2年の期間、合格した科目の受験が免除になるという受験者のための制度です。上手く利用することで、比較的、楽に合格することができるということについても解説しました。
また、科目の中でも法規と機械が難しく、合格は容易ではありません。そのため、法規、機械を記事で紹介した「3年間で合格するパターン」に上手く当て込むことが重要になります。ぜひ、利用方法を上手く活用してください。
科目合格制度があるということに油断することなく、戦略的な勉強と努力を重ねていきましょう。
制度を上手に利用し、努力を重ねることで、難関といわれる電験三種も突破できるはずです。