電験三種は難しい試験です。しかし学習方法を工夫することで、合格を手にすることは可能です。これまで何度も落ちている方でも、あきらめる必要はありません。
本記事ではこれから電験三種を目指す方に対して、最短距離で合格を目指せる攻略方法を解説していきます。
目次
電験三種の試験内容を押さえよう
電験三種を攻略するには、試験内容を知ることが重要です。ここでは出題範囲や配点、合格基準、合格率について、解説していきます。
出題範囲や配点
電験三種の試験を実施する「電気技術者試験センター」によると、出題範囲は以下のとおりとなっています。
理論、電気理論、電子理論、電気計測及び電子計測
科目名 | 科目の内容 |
---|---|
電力 | 発電所及び変電所の設計及び運転、送電線路及び配電線路(屋内配線を含む。)の設計及び運用並びに電気材料 |
機械 | 電気機器、パワーエレクトロニクス、電動機応用、照明、電熱、電気化学、電気加工、自動制御、メカトロニクス並びに電力システムに関する情報伝送及び処理 |
法規 | 電気法規(保安に関するものに限る。)及び電気施設管理 |
配点は以下のとおりです。各問題の配点は、問題用紙に記載されています。
問題の種類 | 問題の概要 | 配点 |
---|---|---|
A問題 | 小問なし。一問一答形式 | 1問につき5~6点 |
B問題 | 1問につき、2つの小問がある | 1小問につき5~7点 |
B問題は1問で10~14点と、配点が多くなっています。したがって、B問題の攻略が合否を分けるポイントといえるでしょう。なおB問題には選択問題がありますから、問題の指示をよく読むことも重要です。
合格基準
原則として合格基準は、各科目とも60点以上となっています。ただし、合格点は引き下げられる場合も多いです。ここ5年間の合格点は、おおむね以下のとおりです。
科目 | 合格点 |
---|---|
理論 | 55点 |
電力 | 55~60点 |
機械 | 55~60点 |
法規 | 49~55点 |
もちろん60点以上取れれば、それに越したことはありません。しかし自己採点で50点台でも合格できる可能性はありますから、あきらめないことが重要です。
合格率
電験三種の合格率は、平成27年から令和元年までの5年間で7.7%~9.3%です。10人に1人も合格しない難関試験といえるでしょう。
電験三種には科目合格の制度があり、合格した科目は翌々年まで科目免除が受けられます。しかしこの科目合格率も、以下のとおり高くありません。
科目 | 科目合格率 |
---|---|
理論 | 11.6%~15.5% |
電力 | 8.7%~17.8% |
機械 | 6.2%~20.1% |
法規 | 6.6%~13.7% |
電験三種は各科目そのものが、難関試験に相当します。このため試験を受ける方は、十分な事前準備が必要です。
まずは電験三種の勉強スケジュールを立てよう
電験三種の勉強は、やりやすいところから手当たりしだいに進めても合格できません。事前にどの程度の勉強時間が必要か把握したうえで、スケジュールを立てましょう。
勉強する順番
電験三種を効率的に勉強するには、以下に示す順番で進めることがおすすめです。理由も含めて、以下の表にまとめました。
順番 | 科目 | 理由 |
---|---|---|
1番目 | 理論 | 全ての科目の基礎となるため、最初に取り掛かる必要がある |
2番目 | 電力 | 出題傾向があまり変わらず、学習範囲もある程度絞れるため、機械よりも学習を進めやすい |
3番目 | 機械 | 学習すべき範囲が広いため、電力の後がおすすめ。ただし得意な方は、機械→電力の順番で学習してもよい |
4番目 | 法規 | 問題の4割が計算を必要とする問題。一方で暗記も多いため、試験前のラストスパートが有効 |
理論は全ての基礎であるため、理論がわかっていないと他の科目の学習が進みません。これは法規も例外ではなく、法令のなかにも計算式が書かれているものは多いです。そのため、法規を学習する前に理論を学ぶ必要があります。
勉強時間
電験三種の勉強時間は、720時間必要です。単純計算で1日2時間として、およそ1年かかる計算です。これだけ見ても、膨大な労力を要する試験ということがわかります。
みなさまのなかには仕事が忙しく、「平日に2時間も勉強時間を取れない」方も多いでしょう。また電気の職場は駅に近い場所にあるとは限らず、車での出勤となる場合もあります。このような方は、通勤時間を使って勉強するわけにはいきません。
もし平日の勉強を1時間にとどめるならば、土日で4.5時間ずつの学習が必要です。休日を返上する必要があるため、強い意志が求められます。
また2年間に分けて、2科目ずつ試験を受ける方法もあります。この場合は1年あたり360時間で済みますから、毎日1時間の学習が目安となります。この程度ならば取り組みやすいと考える方も多いでしょう。
自分の得意・苦手分野によってスケジュールは変わる
電験三種の学習では、中学や高校の数学・理科の知識があるかどうかによりスケジュールが変わります。特に三角関数やベクトル、複素数の知識は、事前にチェックしておきましょう。もし不安がある方はあらかじめ上記の学習を行っておくと、電験三種の試験勉強をスムーズに進められます。
また多くの方は、4科目のどれかに苦手な科目があるものです。ご自身の得意・苦手分野を把握した上で、時間配分を調整するとよいでしょう。学習を始める前、または理論の学習が終わった後に電験三種の過去問を一通り解いて、その結果により時間配分を考えることも1つの方法です。
電験三種を攻略するための勉強方法
さきに説明したとおり、電験三種はただでさえ膨大な学習時間を要する試験です。出題範囲も広いため、ポイントを絞らないといつまでたっても合格に近づけません。ここでは電験三種の攻略に役立つ勉強方法を3つ取り上げ、解説していきます。
出題傾向を把握して、効率的に学習する
電験三種に合格するには、事前に出題傾向を把握したうえで、効果的に学習を進めることが欠かせません。このため、学習には以下の方法がおすすめです。いずれもプロが出題傾向を徹底的に研究し、合格に向けた問題や解説が準備されていますので、効率的な学習が可能です。
1 | 過去問 |
---|---|
2 | テキストや問題集 |
3 | 通信講座 |
科目ごとの学習ポイント
ここからは4科目それぞれについて、合格に向けた勉強方法のポイントを解説します。
理論は、電気を理解するうえで必要な知識を学ぶ科目です。直流や交流、三相交流、静電気、電磁気などに加えて、電子工学や電子回路についても出題されます。計算問題が多いため、単に公式を覚えるだけではなく、練習問題を数多く解いて公式を使いこなせるようにしましょう。
電力は難易度が高い送配電のボリュームが約半分のため、重点的に取り組む必要があります。計算問題と知識を問う問題は半々です。出題傾向はあまり変わらないため、過去問で慣れておきましょう。
機械は「直流機・同期機・変圧器・誘導機」の4つの分野の出題率が5~7割と高く、同時に出題範囲が広いことが特徴です。4分野をマスターした後に、パワーエレクトロニクスや照明などを学習しましょう。
法規は暗記問題と思ってはいけません。合格には全体の4割を占める、計算問題への対策が必須です。また法令に関する問題は細かい数字まで、1字1句きちんと覚えることが求められます。
出題されない分野もある
電験三種は電気に関する幅広い分野から出題されますが、全ての分野が出題対象ではありません。なかには以下のとおり、出題されない分野もあります。
出題されない主な分野 | 備考 |
---|---|
電流や電圧、抵抗を計測する機器の使い方 | – |
職場によって方法が異なる作業 | KY、施工前の打ち合わせなど |
回路図や配線変更に関する問題 | – |
契約書や品質保証書など | – |
このため合格に近づくには、できるだけ出題されやすい問題に時間をかけることがおすすめです。
まとめ
電験三種は4つの科目それぞれが難関資格といえる難しい試験です。この試験を攻略するには効率的に学習を進めることが欠かせません。なかでも、試験で重点的に出題される項目を優先して学習することが大切です。
効率的・効果的な試験勉強には、テキストや過去問、通信講座などが有効です。専門家のノウハウを可能な限り活用し、合格を勝ち取りましょう。