安全管理者選任時研修

【保存版】安全管理者の届出マニュアル!記入方法や届出の方法を解説

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一定規模以上の工場を稼働・維持するためには、労働安全衛生法第11条に定められた手続きに沿って安全管理者を選任し、労働基準監督署へ所定の書類を届け出なくてはいけません。

しかし、事業者の中には、申請手続きの流れや用意すべき書類、具体的な手続きの内容、注意事項についてわからず悩んでいる方もいるかと思います。

ここでは、安全管理者の届出をする方法や流れや、届出前の注意事項や準備などを解説します。

届出を出す前の必須事項

安全管理者の資格を取得するためには、厚生労働大臣が定める研修を修了もしくは労働安全コンサルタント試験に合格しなければいけません。

まずは、安全管理者の届出前に必要な研修および試験の概要や特徴、メリットとデメリットについて詳しく解説します。

自社の従業員を安全管理者にする方法は、2種類あります。

自社の従業員を安全管理者にする方法!
  • 厚生労働大臣が定める研修や講習を受ける方法
  • 労働安全コンサルタント試験を受ける方法

以下にそれぞれの概要と特徴、実施団体について解説します。

方法1 厚生労働大臣が定める研修や講習を受ける方法

厚生労働大臣が定める研修や講習を受けるためには、実施団体を確認して、「安全管理者選任時研修」の受講申し込み手続きを行う必要があります。

例えば、「公益社団法人労務管理教育センター」が厚生労働大臣が定める安全管理者選任時研修を実施しているように、全国のさまざまな講習機関等が安全管理者選任時研修を行なっています。

また最近では、オンラインによる安全管理者選任時研修も実施されています。オンライン講座も厚生労働大臣が定めるカリキュラムに準拠しており、修了証を交付してもらえます。

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実施団体によって日程や講習会場は異なるため、よく確認しておきましょう。

厚生労働大臣が定める研修や講習は、どの実施団体でも最低の講習時間があります。安全管理に関する講習3時間、安全衛生水準の向上を目的とした自主的安全活動に関する講習3時間、安全教育90分、関係法令に関する講習90分のカリキュラムで構成されています。

また、講習時間は合計9時間以上という長時間の講習でもあるため、2日に分けて研修・講習を実施しているケースもあれば、1日にまとめているケースもあります。

このような安全管理者選任時研修は、試験不要という点もメリットといえます。研修・講習は、所定のカリキュラムを修了したのちに修了証を発行してもらい完了です。そのため、試験対策の時間を確保できない方などには、メリットがある方法です。

一方デメリットとしては、研修・講習受講のみで安全管理者の届出ができない点でしょう。

厚生労働大臣が定める研修・講習を選択した場合は、以下実務経験も必要となっています。

No. 実務経験と年数
(1) 学校教育法による大学、高等専門学校における理科系統の正規の課程を修めて卒業した者で、その後2年以上産業安全の実務に従事した経験を有するもの
(2) 学校教育法による高等学校、中等教育学校において理科系統の正規の学科を修めて卒業した者で、その後4年以上産業安全の実務に従事した経験を有するもの
(3) 学校教育法による大学、高等専門学校における理科系統の課程以外の正規の課程を修めて卒業した者で、その後4年以上産業安全の実務に従事した経験を有するもの
(4) 学校教育法による高等学校、中等教育学校において理科系統の学科以外の正規の学科を修めて卒業した者で、その後6年以上産業安全の実務に従事した経験を有するもの
(5) 7年以上産業安全の実務に従事した経験を有するもの
(6) その他(職業訓練課程修了者関係)

試験対策にかける時間を確保できない場合は、労働安全コンサルタント試験よりも安全管理者専任時研修のほうがよい場合もあります。
実務経験と試験対策のスケジュール、実施日などから、研修を選択するか検討してみるのも大切です。

方法2 労働安全コンサルタント試験を受ける方法

国家試験の労働安全コンサルタント試験は、公益財団法人安全衛生技術試験協会で実施しています。試験内容は、択一式の産業安全一般と産業安全関係法令、記述式の3科目に分かれていて、記述式の科目については「機械安全」、「電気安全」、「化学安全」、「土木安全」、「建築安全」のうちいずれか1種類を選択します。

そして筆記試験合格者は、口述試験を受験し合格できれば労働安全コンサルタントの資格が取得でき、安全管理者の届出を行うことができます。

それぞれの試験時間は以下の通りです。

科目 試験時間
産業安全一般 10:00~12:00
産業安全関係法令 13:00~14:00
「機械安全」、「電気安全」、「化学安全」、「土木安全」、「建築安全」 14:30~16:30 (試験の区分のうちいずれか1科目を選択)
口述試験 受験者にあらかじめ日時を指定する
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筆記試験の試験場所は、全国の各安全衛生技術センターで実施していますので、各センターの中から受験しやすい場所を確認してみるとよいでしょう。

各科目の合格点については、公益財団法人安全衛生技術試験協会で明示していません。

なお、労働安全コンサルタント試験には、以下受験資格があるため申し込む前に確認が必要です。

受験資格 添付書類
1 学校教育法(昭和22年法律第26号)による大学(短期大学を除く。)若しくは旧大学令(大正7年勅令第388号)による大学又は旧専門学校令(明治36年勅令第61号)による専門学校において理科系統の正規の課程を修めて卒業した者で、その後5年以上安全の実務【注1】に従事した経験を有するもの ・卒業証書の写し又は卒業(修了)証明書の原本
・経歴証明書
2 学校教育法による短期大学(同法による専門職大学の前期課程(以下「専門職大学前期課程」という。)を含む。)又は高等専門学校において理科系統の正規の課程を修めて卒業した者(専門職大学前期課程にあっては、修了した者)で、その後7年以上安全の実務に従事した経験を有するもの
3 学校教育法による高等学校(旧中等学校令(昭和18年勅令第36号)による中等学校を含む。)又は中等教育学校において理科系統の正規の学科を修めて卒業した者で、その後10年以上安全の実務に従事した経験を有するもの
4 技術士法(昭和58年法律第25号)第4条第1項に規定する第二次試験に合格した者(以下「技術士試験合格者」という。) ・登録証の写し若しくは合格証の写し又は登録証明書の原本
5 電気事業法(昭和39年法律第170号)第44条第1項第1号の第1種電気主任技術者免状の交付を受けている者(以下「第1種電気主任技術者」という。) ・免状の写し
6 建設業法施行令(昭和31年政令第273号)第27条の3の規定による1級の土木施工管理技術検定に合格した者(以下「1級土木施工管理技士」という。)及び1級の建築施工管理技術検定に合格した者(以下「1級建築施工管理技士」という。) ・合格証明書の写し、登録証の写し又は合格書の写し
7 建築士法(昭和25年法律第202号)第12条の1級建築士試験に合格した者(以下「1級建築士試験合格者」という。) ・免許証の写し、登録証の写し又は合格通知書の写し
8 労働安全衛生法第11条第1項の規定による安全管理者として10年以上その職務に従事した者 ・経歴証明書
9 厚生労働大臣の登録を受けた者が行う安全に関する講習【注2】を修了し、かつ、15年以上安全の実務に従事した経験を有する者 ・講習修了証の写し
・経歴証明書
10 旧高等学校令(大正7年勅令第389号)による高等学校高等科、旧大学令(大正7年勅令第388号)による大学予科又は旧師範教育令(昭和18年勅令第109号)による高等師範学校において理科系統の正規の課程を修めて卒業した者で、その後7年以上安全の実務に従事した経験を有するもの ・卒業証書の写し又は卒業証明書の原本 ・経歴証明書
11 独立行政法人大学改革支援・学位授与機構により学士の学位を授与された者(理科系統の正規の課程を修めた者に限る。)又はこれと同等以上の学力を有すると認められる者で、その後5年以上安全の実務に従事した経験を有するもの
12 労働災害防止団体法(昭和39年法律第118号)第12条第1項の安全管理士(以下「安全管理士」という。)又は安全管理士であった者 ・経歴証明書
13 労働安全衛生法第93条第1項の産業安全専門官(以下「産業安全専門官」という。)又は産業安全専門官であった者で、8年以上安全の実務に従事した経験を有するもの
14 職業能力開発促進法施行令(昭和44年政令第258号)別表第1に掲げる検定職種のうち次のものに係る1級又は単一等級の技能検定に合格した者〔金属溶解、鋳造、鍛造、金属熱処理、粉末冶金、機械加工、放電加工、金型製作、金属プレス加工、鉄工、建築板金、工場板金、アルミニウム陽極酸化処理、溶射、金属ばね製造、仕上げ、金属研磨仕上げ、切削工具研削、製材のこ目立て、機械検査、ダイカスト、機械保全、電子回路接続、電子機器組立て、電気機器組立て、半導体製品製造、プリント配線板製造、産業車両整備、複写機組立て、内燃機関組立て、空気圧装置組立て、油圧装置調整、建設機械整備、農業機械整備、木工機械整備、機械木工、プラスチック成形、強化プラスチック成形(筆記試験において積層成形法を試験科目として選択した者に限る。)、建築大工、とび、左官、ブロック建築、コンクリート積みブロック施工、配管、型枠施工、鉄筋施工、コンクリート圧送施工、ウエルポイント施工、化学分析、金属材料試験、産業洗浄〕 ・技能検定合格証書の写し
15 職業能力開発促進法施行規則(昭和44年労働省令第24号)第9条に定める普通課程の普通職業訓練のうち同令別表第2に定めるところにより行われるもの(職業能力開発促進法施行規則等の一部を改正する省令(平成5年労働省令第1号)による改正前の職業能力開発促進法施行規則別表第3に定めるところにより行われる普通課程の養成訓練並びに職業訓練法施行規則及び雇用保険法施行規則の一部を改正する省令(昭和60年労働省令第23号)による改正前の職業訓練法施行規則別表第1の普通訓練課程及び職業訓練法の一部を改正する法律(昭和53年法律第40号)による改正前の職業訓練法第9条第1項の高等訓練課程の養成訓練を含む。)(当該訓練において履習すべき専攻学科又は専門学科の主たる学科が工学に関する科目であるものに限る。)を修了した者で、その後10年以上安全の実務に従事した経験を有するもの ・職業訓練修了証の写し
・経歴証明書
職業能力開発促進法施行規則第9条に定める専門課程又は同令第36条の2第2項に定める特定専門課程の高度職業訓練のうち同令別表第6に定めるところにより行われるもの(旧能開法規則別表第3の2に定めるところにより行われる専門課程の養成訓練並びに訓練法規則別表第1の専門訓練課程及び旧訓練法第9条第1項の特別高等訓練課程の養成訓練を含む。)(当該訓練において履習すべき専攻学科又は専門学科の主たる学科が工学に関する科目であるものに限る。)を修了した者で、その後7年以上安全の実務に従事した経験を有するもの
職業能力開発促進法施行規則第9条に定める応用課程の高度職業訓練のうち同令別表第7に定めるところにより行われるもの(当該訓練において履習すべき専攻学科の主たる学科が工学に関する科目であるものに限る。)を修了した者で、その後5年以上安全の実務に従事した経験を有するもの
16 労働基準法(昭和22年法律第49号)第99条第1項(現行=第97条第1項)の労働基準監督官(以下「労働基準監督官」という。)として8年以上その職務に従事した者 ・経歴証明書
17 森林法(昭和36年法律第249号)第187条第1項の林業専門技術員として5年以上その職務に従事した者
18 外国において学校教育における16年の課程を修了した者のうち、その最終の学校において理科系統の正規の課程を修めて卒業した者で、その後5年以上安全の実務に従事した経験を有する者 ・卒業証書の写し又は卒業証明書の原本
・経歴証明書  
19 外国において学校教育における14年の課程を修了した者のうち、その最終の学校において理科系統の正規の課程を修めて卒業した者で、その後7年以上安全の実務に従事した経験を有する者
20 次に掲げる教育施設を卒業した者で、その後5年以上安全の実務に従事した経験を有する者 教育施設(水産大学校、防衛大学校、気象大学校、海上保安大学校)
21 次に掲げる学校その他の教育施設を卒業した者で、その後7年以上安全の実務に従事した経験を有する者 教育施設(都道府県農業講習所、航空大学校、海技大学校本科、旧中央気象台気象技術官養成所の研究科又は本科、旧国立工業教員養成所、旧東京農業教育専門学校、旧水産講習所又は旧函館水産専門学校、旧高等農業講習所本科、旧商船学校、旧陸海軍の学校等、旧海軍技手養成所)
22 学校教育法による大学(短期大学を除く。以下同じ。)若しくは旧大学令による大学又は旧専門学校令による専門学校を卒業した者で、その後大学又は公共的な研究機関において7年以上専ら労働安全に関する研究に従事したもの ・卒業証書の写し又は卒業証明書の原本
・経歴証明書
23 日本国有鉄道が設置する教習機関において工学に関する課程(学校教育法による大学における工学に関する学科に準ずるものに限る。)を修めて卒業した者で、その後7年以上安全の実務に従事した経験を有するもの
24 日本国有鉄道が設置する教習機関において工学に関する課程(学校教育法による高等学校における工学に関する学科に準ずるものに限る。)を修めて卒業した者で、その後10年以上安全の実務に従事した経験を有するもの

引用元:公益財団法人 安全衛生技術試験協会

受験資格を満たしていて、安全管理者に関する知識を基礎からしっかり学びたい方は、労働安全コンサルタント試験を選択するのもいいでしょう。また、試験のほうが集中できる方も、労働安全コンサルタント試験のほうがメリットのある選択です。

他にも試験対策を行うことによって、安全管理者に求められる知識を身に付けやすい側面もあります。

一方、受験資格を満たしていないと受験できない点は、人によってデメリットでもあります。

また、自分の会社が安全管理者の資格が必要かどうかもしっかり確認しておきましょう。

届出の際の注意事項・準備するもの

安全管理者の届出を行う際は、以下の5つのポイントを確認しておくことが大切です。

安全管理者の届出時のポイント

  • 安全管理者の選任に関する申請および提出は義務である
  • 安全管理者選任後、14日以内に届出を提出する
  • 安全管理者の届出時には、修了証などはじめとした書面や写しが必要
  • 届出用紙は、厚生労働省のHPからダウンロード、印刷可能
  • 届出先は事業場を管轄している労働基準監督署

これから安全管理者の選任を行うための準備を始めている事業者、そして安全管理者となる予定の従業員どちらも上記の項目を確認しておきましょう。

安全管理者届出の3ステップ

続いては、安全管理者届出の流れを3ステップに分けて紹介します。

ステップ1. 用紙を入手する

まずは、厚生労働省のHPへアクセスし、「総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医選任報告様式」という用紙をダウンロードし印刷します。
なお、安全管理者届出に使用する用紙は、どの業種でも共通しています。

厚生労働省

総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医選任報告

「総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医選任報告様式」を印刷する用紙は、A4サイズで白色80%以上という点にも注意が必要です。印刷部数は2部で、1部は控えとして使用します。

どうしても自社で印刷が難しい場合は、最寄りの労働基準監督署で用紙をもらうことも可能です。

ステップ2. 記入する

「総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医選任報告様式」を印刷できた後は、必要事項を記入作業へ進みます。

用紙上部には社名や事業場の住所、電話番号、事業の種類、従業員数を記入します。事業の種類は、「労働安全衛生法施行令第2条第1号又は第2号の業種」に定められている業種から選択する必要があります。

用紙中央部から下部には、安全管理者の氏名と生年月日、選任の年月日、職務や経歴、その他選任や専属に関する選択項目があるので、それぞれ記入します。

最下部には提出先の労働基準監督署名と自社の代表者名や押印もしくは署名が必要です。

詳しくは、下記の記入例を確認してみてください。

安全管理者選任報告 記入例 – 厚生労働省

ステップ3. 事業場を管轄する監督署に提出する

最後は、事業場を管轄している労働基準監督署へ、必要事項を記入した「総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医選任報告様式」と、安全管理者であることを示す修了証や免許証の写しを提出できれば手続き完了です。

安全管理者の届出の内容を変更する方法

安全管理者を解任する、別の従業員を選任するなど、届出の内容を変更したい場合は、再度「総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医選任報告様式」に必要事項を記入し、管轄の労働基準監督署へ申請書と修了証の写しなどを提出する必要があります。

安全管理者の選任後は必ず届出を行おう

安全管理者の申請を行うためには、選任予定の従業員に安全管理者の資格を取得させる必要があります。安全管理者を選任した場合は「総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医選任報告様式」に必要事項を記入し、同申請書と安全管理者であることを示す修了証や免許証の写しを管轄の労働基準監督署へ提出します。

安全管理者の選任が必要な事業者および安全管理者を目指す従業員は、まず安全管理者選任時研修もしくは労働安全コンサルタント試験について確認するのも重要です。

安全管理者を選任したときは、届出が義務づけられているので、この記事を参考に14日以内に届出を済ませるようにしましょう。

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