冷凍機械責任者の資格は、ビル管理の仕事で求められる資格の1つです。
第一種から第三種までありますが、冷凍機械責任者の試験難易度はしっかり対策をすることで、そこまでこう難易度の試験ではありません。
規定の講習会を受け試験科目を一部免除する方法もあり、受験方法によっても難易度が大きく変わります。
この記事では、冷凍機械責任者のおすすめの受験方法や難易度・合格率、勉強方法について解説していきます。
目次
冷凍機械責任者のおすすめの受験方法
冒頭でも紹介した通り、冷凍機械責任者には第一種、第二種、第三種の三種別に分かれています。そしてこれらすべての種別で受験方法が2種類あります。
冷凍機械責任者の受験方法は全科目受験と講習受験の2種類ある
冷凍機械責任者の受験方法には、以下の2種類です。
・国家試験で全科目を受験する
・事前に高圧ガス保安協会の講習を受け、科目の一部免除を受け、国家試験を受験する。
講習を受ける場合、資格取得までの流れは下記のとおりです。
冷凍機械責任者 資格取得までの流れ
① 5日間の講習受講する
② 講習の最後に行われる検定試験に受かり、本試験科目が一部免除される
③ 本試験(国家試験)で法令科目のみ受験し、合格する。
講習は冬と春に(第一種は春のみ)行われます。拘束期間が5日間あるので、仕事を休めない場合には講習を受講できません。また、高圧ガス保安協会の講習を受ける場合は別途費用がかかります。それぞれの特徴は、以下の通りとなります。
項目 |
事前に講習を受講 |
国家試験で全科目受験 |
必要な日数 |
5日間 |
1日間 |
講習と受験料の合計 |
第一種 29,000円 |
第一種 17,800円 |
講習終了時の |
学識(第一種・第二種のみ) |
|
国家試験の受験科目 |
法令 |
学識(第一種・第二種のみ) |
講習受講によりメリットとデメリット
一方で講習の受講による科目の一部免除は以下のようなメリットがあります。
- 講習修了時に行われる「検定試験」に出題される可能性が高いポイントを講義のなかで教えてくれるので合格しやすい。
- 国家試験の法令科目について、対策のポイントを教えてくれる
- 検定試験に一度でも合格すれば、本試験での科目免除は無期限になる
講義では検定試験のポイントを、「ここは大事です」といったような形で教えてもらえるので、テキストにマーカーなどで印をつけて重点的に学習し、検定試験に備えましょう。
検定試験の合格率はおよそ70%以上で、本試験で法令のみ受験した場合の合格率もおよそ80%以上のため、法令のみの受験者はほぼ確実に合格していることがわかります。より確実に合格したい方は、講習を受けるのも手段の一つでしょう。
講習受講の際の注意点は、講習で遅刻や早退をすると、検定試験を受けられなくなり、国家試験の科目免除を受けられません。講習時間内の長時間離席も同様の扱いとなりますから、体調管理には十分に注意しましょう。
全科目受験によるメリットとデメリット
全科目受験により資格を取得した場合は費用が安く、講習を受講した場合と比べると、約3分の1の費用で済みます。また、試験勉強のための時間は講習の受講よりも多くなりますが、知識がしっかりと身につきます。
このため、以下のような方におすすめです。
- 受験費用を節約したい方
- 独学で合格できる自信がある方
- 仕事が忙しく、講習を受けるまとまった日数を確保できない方
一方、試験は当日の一発勝負となりますので、注意しましょう。
冷凍機械責任者の難易度と合格率の推移
冷凍機械責任者の試験の難易度
冷凍機械責任者の難易度は、それぞれ以下のように表されています。
・第一種:大学工学部卒業程度
・第二種:工業高校卒業程度
・第三種:第二種よりもやや易しい
冷凍機械責任者の試験科目には「保安管理技術」「法令」「学識」という科目があります。このうち、学識は難易度が高く、試験の合格率に大きな影響を与えています。学識の試験問題は、試験の種別ごとに以下の通り異なります。
試験の種別 |
学識の試験内容 |
第一種 |
記述式(計算式を答案に記入) |
第二種 |
択一式 |
第三種 |
試験なし |
学識の計算問題は暗記では解けず、スピーディーに進める必要があります。また、応用化学や機械工学の知識も必要であるため、学識の科目がある第一種・第二種の試験は難しくなっています。
一方で他の試験科目である「保安管理技術」と「法令」については、暗記と内容の理解が主体となります。但し、試験では正確に覚えていないと解けない「ひっかけ問題」が出るので、単純に暗記するだけでは合格できません。
このため「なぜその回答になるのか」という理由を含めて、正しく理解することが必要です。
冷凍機械責任者の合格率(全科目受験・法令受験別)
冷凍機械責任者の合格率は、試験の種別により異なります。こでは試験別に、以下の2つに分けて合格率の推移と平均の合格率をみていきます。
・国家試験で全科目を受験した場合の合格率
・高圧ガス保安協会の講習を受け、国家試験では法令だけを受験した場合の合格率
また、どの試験でも合格率が低い年度があるので、確実に合格するためには、その年が低い年度であることを想定して対策をしましょう。
第一種の場合
第一種冷凍機械責任者の合格率は、以下の通りとなっています。
年度 |
全科目受験者 |
法令だけの受験者 |
令和元年度 |
28.6% |
80.4% |
令和二年度 |
20.0% |
87.5% |
令和3年度 |
33.2% |
89.6% |
令和4年度 |
36.6% |
93.7% |
令和5年度 |
35.9% |
93.4% |
第一種は全科目受験なら約20%~30%、法令だけの受験なら約80%~90%の合格率です。
さらに、第一種の試験は学識が記述式になることや、保安管理技術の試験内容も難しくなるので、難易度が高い試験といえるでしょう。
法令だけの受験の場合は合格率は高いですが、第一種の受験者は第二種・第三種と比べて受験者のレベルが高いので、油断してはいけません。
第二種の場合
第二種冷凍機械責任者の合格率は、以下の通りとなっています。
年度 |
全科目受験者 |
法令だけの受験者 |
令和元年度 |
31.3% |
79.1% |
令和2年度 |
26.9% |
85.9% |
令和3年度 |
36.7% |
85.2% |
令和4年度 |
32.6% |
83.5% |
令和5年度 |
33.2% |
83.1% |
第二種では全科目受験なら約20%~30%、法令だけの受験なら約80%の合格率です。
3種類のなかで最も合格率が低い試験となっています。また、前述しましたが、第二種から選択式の学識が試験科目に加わります。
第三種に比べて試験の難易度も高くなっているので、しっかりと対策をしましょう。
第三種の場合
第三種冷凍機械責任者の合格率は、以下の通りとなっています。
年度 |
全科目受験者 |
法令だけの受験者 |
令和元年度 |
32.4% |
78.0% |
令和2年度 |
18.3% |
79.9% |
令和3年度 |
40.5% |
86.2% |
令和4年度 |
22.8% |
88.3% |
令和5年度 |
39.9% |
84.6% |
第三種では全科目受験なら約35%前後、法令だけの受験なら約80%の合格率です。この資格はビル管理の基本資格にあげられていますが、3人に2人は落ちる試験です。
おすすめの勉強方法と、合格までに必要な学習時間
冷凍機械責任者を取るためにおすすめする勉強方法は、本試験のみで受験する場合と高圧ガス保安協会の講習を受ける場合で異なります。また、独学の場合でも、テキストは講習で指定されているテキストがおすすめです。
受験種別 |
分類 |
テキスト名 |
第二種 |
必須 |
・上級冷凍受験テキスト(第9次改訂版) |
推奨 |
・高圧ガス保安法概要(一・二・三種冷凍機械編) 第2次改訂版 |
|
第三種 |
必須 |
・初級冷凍受験テキスト(第8次改訂版) |
推奨 |
・高圧ガス保安法概要(一・二・三種冷凍機械編)第2次改訂版 |
上記は高圧ガス保安協会のHPの講習案内のページに記載されているので参考にしましょう。
上記以外のおすすめの過去問は下記のとおりです。
・日本冷凍空調学会「試験問題と解答例 」
・第三種の場合は、電気書院「第3種冷凍機械責任者試験模範解答集」
本試験のみで受験する場合の勉強法
独学で学ぶ場合は、以下のサイクルで学習を進めていきましょう。
- 基礎知識を動画教材で効率よくインプットする
- アウトプットとして、過去問題集には繰り返し取り組む
- 解答を読み(間違った選択肢についてその理由を理解する)わからない点についてテキストで確認する
過去問の学習は試験対策として重要ですが、一方で本番の試験では過去問にない問題が出題される場合もあります。
このため過去問の答え合わせをしただけで満足すると、新しい傾向の問題が出た場合に対応できません。実際にこのような問題が出題された場合、その年の合格率は下がる傾向があります。
新しい問題に対応するために、正解した問題でも他の選択肢がなぜ誤答なのかまで理解しておきましょう。
講習を受ける場合の勉強法
講習を受ける場合は、以下の方法で学習を進めることがおすすめです。
- 講習で指定されるテキストを購入し、事前に学習しておく。
- 講習では復習として、講師の指示に従い重要な箇所をマークする。
- マークした箇所を重点的に復習し、検定試験に合格する。
- 本試験に備えて過去問を解く
講習会の最後には検定試験がありますが、試験は指定されたテキストから出題されます。講習では重点ポイントを解説してくれるので、テキストに印をつけたところを重点的に復習しておきましょう。
また、講習から検定試験までの期間は、長い場合でも3~4週間程度しかありません。講習の地域によっては、講習が終わってすぐに検定試験という場合もあります。
仕事をしながら勉強をする方などはあらかじめ講習の前にテキストを入手しておき、一通り学習を進めておきましょう。
まとめ:冷凍機械責任者の試験対策は計画的に行おう
冷凍機械責任者はどの種別においても計画的な試験対策が必要です。過去問を活用し、効率的な学習をこころがけて、しっかりと学習していきましょう。
また、学習の際にはなぜ誤答なのかという理由も含めて理解することが重要です。しかし、冷凍機械責任者は入念に準備を進めれば合格できる試験なので、気を引き締めて学習を進めていきましょう。