建築施工管理技士

活躍できる現場が多い1級建築施工管理技士とは?合格率・難易度も解説

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1級建築施工管理技士とは文字通り、建築系の施工管理を行う上級資格です。名前の似ている1級建築士の方がメジャーではありますが、実は1級建築施工管理技士の方が、活躍できる現場の数は広く、しかも1級建築士よりも取得しやすい資格なのです。

今回は、1級建築施工管理技士の役割や試験内容・合格率・勉強法について解説します。

1.1級建築施工管理技士とはどういう資格か

1-1. 1級建築施工管理技士の役割

1級建築施工管理技士は、施工過程における施工計画、工程管理、品質管理、安全管理を担います。1級建築士との違いとして、特にゼネコンにおいては、1級建築士は設計監理のスペシャリスト、1級建築施工管理技士は、施工管理のスペシャリスト(建築エンジニア)として認識されています。

施工計画、安全管理、品質管理、工程管理という時に相反する事項を達成しつつ、予定工期内に建築を完成させられる高度な技術的スキルやマネージメント力が求められます。また昨今の環境意識の高まりと共に3R(Reduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル)の3つのRの総称)を遵守することも要求されるため、高い倫理観も求められる資格です。

1-2.多くの現場で監理技術者として活躍できる資格

幅広く建設業を営む会社にとっては、1級建築施工管理技士が在籍する事が会社の経営上非常に重要です。逆に建設会社の社員としては、1級施工管理技士は必須取得資格という事がいえます。

500万円以上(建築一式工事の場合は1500万円以上)の建築工事を請け負うには建設業免許が必要です。この建設業免許を取得するには、営業所ごとに専任の技術者、並びに建設工事の現場には主任技術者及び監理技術者の有資格者を置かなければなりません。

1級建築施工管理技士であれば、1級建築士よりも遥かに多くの現場で監理技術者を務めることがでるのです。

資格名称 1級建築施工管理技師 一級建築士
土木    
建築
大工
左官  
とび土工  
石工事  
屋根工事
電気工事    
管工事    
タイルレンガブロック工事
鋼構造物
鉄筋工事  
舗装工事    
浚渫    
板金工事  
ガラス工事  
塗装工事  
防水工事  

2.1級建築施工管理技士の試験とは

それでは、1級建築施工管理技士の試験についてみていきましょう。

2-1.試験の概要

・学科試験

午前の部2時間30分、午後の部2時間00分の長丁場です。
学科試験において建築学(環境工学、各種構造、構造力学、施工共通、躯体工事、建築材料、仕上げ工事)、施工管理法、法規があります。学科試験はすべて四肢択一形式の出題で、正解または間違いを選択して解答します。1級建築士の方は学科試験を免除されるので、実地試験からの受験となります。

・実地試験

試験時間は3時間です。
学科試験と違って回答肢は用意されておらず、実務経験における建築全般の応用力が求められるという試験の観点より、解答は全て記述式です。 つまり、学科試験の四枝択一マークシート方式とは違い、文章、語句や数値などを実際に記述する試験です。

2-2.合格率の推移(学科、実地試験)

下の表を見ると合格率は、学科試験・実地試験ともおよそ30~40%総合では16%程度であることが分かります。

出展:総合資格学院ホームページの数字を基に筆者が計算

 

2-3.1級建築施工管理技士の難易度

関連する他の資格試験の合格率を見てみましょう。

1級建築士試験の合格率
学科:15~18%、製図:40%、総合:10~12%程度

1級土木施工管理技士の合格率
学科:50~60%、実地:30%台、総合:18~20%程度

合格率から単純に類推すると、1級建築施工管理技士は、1級土木施工管理技士よりやや難しく、1級建築士よりは簡単と言えます。やはり1級建築士は建築系試験の最難関試験といわれるだけはあるので、学科試験は計画、環境・設備、法規、構造、施工と学ぶ範囲が非常に幅広く、多様な知識が要求されるので学科の合格率が低くなっています。

2-4.1級建築施工管理技士試験のポイント

・学科試験

受験する人の多くは建設会社や専門業者の施工管理担当(現場係員)の方が多いです。その様な人は施工や建築材料についてある程度の知識はあり、勉強するにあたっても取っつき易さがあると思います。しかし、問われるのは細かい数値の基準、大小比較や正確な名称などですので、日常的にはあまり意識していない事でもあり、きちんと数値や名称を覚えることが必要となります。  

一方、構造力学や法規に関しては苦手意識があるかもしれません。しかし、構造力学は基本的な事項ですし、法規は建設業法、建築基準法や労働安全衛生法等の限られた範囲ですので、過去問題をマスターすることにより高得点を狙うべき学科です。

・実地試験

実地試験は、自分の建築施工管理経験に基づいた文書記述となります。ここで、最も大切なのは「文書記述力」です。試験採点者に自分の言いたいことを、分かりやすい文意と文字で伝えることが重要です。日常的に文書を書き慣れていない方は、やはり模試・添削の受講と採点からの改善を繰り返すしかありません。つまり、「どれだけ沢山文書を書く練習をしたか」が合格につながります。

他の学科では四肢マークシートなので、分からなくても勘で正解するかもしれませんが、、記述解答にはそれはありません。問題の主旨をしっかりくみ取った解答を記述する必要があります。一生懸命書いても、問の意図を外したら正答にはなりません。

 

3.1級建築施工管理技士に合格するための勉強法

合格するための手順

(1)過去問題集を購入
合格するには過去問題集には絶対に取り組む必要があります。

(2)動画教材で基礎知識を効率よくインプット
動画教材で基礎知識を短期間でインプットした後は、過去問題を繰り返し解く。

(3)模擬試験を受ける
本番を想定した模擬試験は非常に重要。ここで新たな「気付き」が必ずあります。  

この3段階です。大変なのはもちろん(2)です。要は「自信を持てるまで=問題集の問題はほとんど正解できるまで」勉強する必要があります。過去問題をほとんど正解するまで何回繰り返し解けばいいのかは人によって変わってきます。過去10年問題集を5回繰り返すとして、

1回目:1か月(1回目は全然進みません。それでも焦る必要はありません。)
2回目:3週間
3回目:2週間
4回目:1週間
5回目:3日 (ここまで約2.5か月)といった具合に、理解している問題が増えるにしたがって、自然とペースは速くなります。

上記のペースで5回繰り返すには、遅くとも本番の3か月前には過去問をスタートしなくてはなりません。

・10年分の過去問を1か月で解くには、毎日勉強して3日で1年分。
・学科で考えると、1年分は選択問題含め82問。
・1問解いて解説を理解するのに5分かかるとすると、5分×82問=410分=6.8時間

つまり、3日で1年分を終えるには毎日平均2時間以上は勉強する必要があります。

まとめると、遅くとも本番3か月前から、毎日2時間ペースで勉強しましょう。

働きながらの受験勉強となるため、独学が基本とは思いますが、最近は動画講座などで通勤時間でも効率よく勉強することもできます。「視覚で覚える」という事は非常に重要で、勉強をしていると、施工方法、施工手順、建築材料等文字では理解できないことがたくさん出てきます。これを文字だけで理解した気分にならずに、動画講座やネットで画像検索をして目で見て理解するのが一番です。

また、資格学校が開催している模擬試験も受験し、本番の雰囲気になれておきましょう。自分の解答ペースの把握、自分の弱い問題傾向、過去問題にはない新しい予想問題など、模擬試験では必ず新たな気づきがあります。

 前述しましたが、実地試験は記述式ですので、記述に自信がない方は通常の過去問題の勉強にプラスして、記述の練習が必須です。そして、記述した文書を他人に添削してもらうしか良し悪しの判断はつきません。通信講座や資格学校などの添削講座を受講するとよいでしょう。

 

4.試験時にわからない問題は飛ばしてOK

 分からない問題は後回しにして、分かる問題をどんどん進めることが大切です。分からない問題、自信のない問題につっかかっていては焦るだけです。60点取れば合格です。40点は間違えられるくらいの気持ちで次の問題に行きましょう。

 

5.おすすめの関連資格

1級建築施工管理技士の関連資格といえば、何と言っても1級建築士です。その他、1級管工事施工管理技士、1級電気施工管理技士、コンクリート主任技士等があればほぼ全ての建設現場で活躍できます。

 

6.最後に

どんな資格試験でも、自己を律して勉強時間を確保し、過去問題集を繰り返し解くことが合格への王道です。そのモチベーションは、「1級建築施工管理技士」を名乗りたい!という事につきます。建設会社の社員で施工現場に携わっている人にとって1級建築施工管理技士は必須取得資格です。設計事務所の1級建築士、不動産会社の宅地建物取引士、管理会社の管理業務主任者などと一緒です。

学科からはじまって実地が終わるまでの数か月は、限られた時間を全て合格に向けての試験勉強に費やしましょう。毎年受験することに全く意味はありません。必ず1発合格するつもりで勉強しましょう。まとまった勉強時間を確保し繰り返し問題集を解けば、必ず合格します。

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