フルハーネス型墜落制止用器具特別教育

高所作業の安全管理に欠かせないフルハーネス特別教育とは?受講時間も解説

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電気工事や樹木伐採など、高所作業に従事する人は特別教育を受講することが義務となっています。2018年に改正された労働安全衛生規則では、高所作業について、より安全を考慮した厳格なルールが提示されています。ここでは、そのルールの一つとして掲げられている、フルハーネスを用いて安全に高所作業をするために必要な特別教育について解説します。受講時間や免除を受けられる対象に関しても併せて紹介します。

高所作業をする人が必携となったフルハーネス特別教育とは

フルハーネス特別教育は、「墜落制止用器具のうちフルハーネス型のものを用いて行う作業の業務に係る特別教育(フルハーネス型安全帯使用作業特別教育)」という正式名称がありますが、広く「フルハーネス特別教育」と省略されて呼ばれています。

この教育は、建設業に関する団体などが定期的に全国主要都市で開催しています。これは、フルハーネスを正しく使うための講習で、内容は厚生労働省が公表する「墜落制止用器具の安全な使用に関するガイドライン」に基づいて行われます。

高所作業によって墜落した場合、体に大きなダメージを受けてしまいます。このような労災事故を防ぐべく着用する安全帯に関して、2018年6月に労働安全衛生規則の一部が変更されました。要点をまとめると、次の項目が柱となります。

安全帯は墜落制止用器具へと名称変更

従来は安全帯と呼ばれていたものが、「墜落制止用器具」へと名称が変更されます。原則として、フルハーネス型の使用が義務化されますが、作業の状況に応じて1本吊り型胴ベルトの使用も可能です。これに伴い、これまで使われてきた「U字吊り胴ベルト」は墜落制止用器具として使用することができなくなりました。

ただし2019年8月1日以前に製造された安全帯に限り、2022年1月1日までは使用可能といった猶予期間を設けています。猶予期間に余裕がありますが、なるべく速やかに新規格の墜落制止用器具の使用に切り替える必要があります。また、2019年2月以降は、特別教育修了者のみが高所作業に携わることができます。

特別教育の受講修了が義務づけられる作業とは

特定の作業に携わる人は、フルハーネス特別教育を修了することが義務付けられています。

1.高さ2m以上の箇所において作業床を設けることが困難な場所で高所作業を行う人
2.墜落防止器具のうちフルハーネス型の墜落制止器具を用いて行う作業

原則的にフルハーネス型の墜落制止器具を用いることとされているため、作業床を設けている場所での作業を行う場合を除き、2m以上の高さで高所作業に携わるすべての作業員は、特別教育を修了しなければいけません。ただし、作業床の定義については関係法令でも明確化されていません。そのため、自身が行っている作業に作業床が該当するか否かに関しては、労基署に相談することをおすすめします。

フルハーネス特別教育の受講資格と受講時間

先述したように、高所作業を行う場所でフルハーネス型の墜落制止器具を用いて作業を行う人は、特別教育の受講と修了が義務付けられています。では、この特別教育に受講資格はあるのでしょうか?ここからは受講資格や受講時間などの、特別教育を受講するにあたっての知識について解説してまいります。

受講資格はある?

フルハーネス特別教育に関して、特別な受講資格はありません。ただし、高所作業は危険作業とみなされますので、労働基準法第62条によって18歳未満は受講できません。高齢者に関しては、健康診断などの結果によって制限させることはできますが、18歳以上というだけで、年齢の上限はありません。

また、講習終了後は有効期限や再教育受講などの義務はありません。そのため現状、高所作業に該当しない働き方をしている人でも、将来的に高所作業の可能性があれば事前に受講しておくと安心です。

フルハーネス特別教育の受講時間は?

講習時間は、学科が4.5時間、実技が1.5時間の合計6時間になります。学科では、作業やフルハーネスに関する知識や、労災防止につなげるための知識のほか、労働安全衛生法などの関係法令を学びます。講習や実技は、1日で修了しますので、高所作業を行う業務についている人は積極的に受講しましょう。受講時には実技でフルハーネスの装着を行いますので、作業着を持参することをおすすめします。

従事者必見!教育(学科)が免除されるケースとは?

安全帯を用いた高所作業従事者のうち、一定の条件を満たした人は学科の一部受講が免除されます。法改正以前の従事履歴が対象になりますので早めにチェックしましょう。

1.フルハーネス特別教育受講の義務が課される以前から、「2m以上の高所で、かつ作業床の設置が困難な場所において、墜落制止用器具のうちフルハーネス型を着用しての作業」に6ヶ月以上の従事経験があれば、フルハーネス特別教育の学科のうち「関係法令」のみの受講でよいとされています。

2.墜落制止用器具として胴ベルト型をしていた場合は、「墜落制止用器具に関する知識・墜落制止用器具の使用法等・関係法令」の受講となります。

3.「足場の組立て等特別教育」もしくは「ロープ高所作業特別教育」の修了者は、「作業に関する知識・墜落制止用器具(フルハーネス型のものに限る)に関する知識・関係法令」の受講となります。

これらの受講免除を受けるには、受講修了証や実務経歴を証明できる書類等の提示が必要になるので、事前に準備をしましょう。

受講時間は6時間程度!高所作業に従事する可能性がある人はぜひ受講を

高所作業は危険を伴う作業です。法改正により、墜落制止用器具としてフルハーネス型の使用が一般化されるようになりました。一定の条件下における高所作業に従事する場合は、事前にフルハーネス特別教育を受講することが義務化されています。

受講の義務を負わない作業床がある場所での高所作業がメインの場合でも、将来性を考えて受講することをおすすめします。また、受講時間は学科と実技合わせて6時間ですので、短時間で受講修了可能です。将来的に高所作業に従事する可能性がある人は、早めに特別教育を受講することが大切です。

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