「フルハーネス特別教育の対象者の条件が複雑で分かりにくい…」「自分の業務はフルハーネス特別教育を受ける必要があるの?」 このような疑問や不満をお持ちではないでしょうか。 この記事では、フルハーネス特別教育の対象について詳しく解説し、特別教育に対しよくある質問をまとめました。 分からないからと言ってうやむやにしてしまっていると、違法になるケースも多々あります。 複雑で分かりにくい条件を簡単に解説しているので、これを機会に理解し、安心して業務にあたれるようにしましょう。
目次
フルハーネス特別教育の対象者はどんな人?
「安衛則第36条第41号」に定められている対象業務に該当する人がフルハーネス特別教育の対象者となります。
安衛則第36条第41号には、「高さ2m以上の箇所であって作業床を設けることが困難なところにおいて、墜落制止用器具のうちフルハーネス型のものを用いて行う作業に係る業務」と規定されており、具体的な作業内容は下記となっています。
・ 高さが2m以上の箇所であり、作業床を設けることが困難なところにおいて、フルハーネス型を用いておこなう作業
・ 一連の作業の過程において一部、作業床を設けることが困難な箇所があり、フルハーネス型を使用する作業 上記が対象業務です。
さらに具体的な作業については下記を参考にしてください。
・ 送電線架線作業 ・ 柱上での作業(電気、通信柱など) ・ 木造家屋など、低層住宅における作業
・ 建築鉄骨や鉄塔の組み立て・解体・変更作業 ・ 屋根面を作業床とみなされない急勾配(勾配6/10以上)での作業
・ 滑りやすい材料の屋根下地であり、屋根足場を設けることができない屋根上作業
・ 足場の組立て・解体・変更作業において、つり棚足場の足場板の設置・撤去などの作業
・ スレート屋根上作業で踏み抜きによる墜落防止対策のために、歩み板を設置・撤去する作業
注意すべき点は、作業の全てが特別教育の対象となる場合もあれば、作業過程の一部が対象となる場合もあるという点です。
その他、フルハーネス特別教育を対象とした疑問がある方は次項を参考にしてください。
フルハーネス特別教育の対象についてよくある疑問
対象となる条件について説明されただけでは、自分の業務が条件に当てはまるか分からないという方もいるでしょう。そこで、フルハーネス特別教育の対象についてよくある疑問と回答を以下にてまとめました。
どの様な場合にフルハーネス型が必要なのでしょうか?
原則は、「高さ2m以上の作業床等のない高所作業ではフルハーネス型を着用すること」です。 ただし、ガイドラインによると一般的な建設作業では5m以上。その他の作業では6.75m以上を超える作業において、フルハーネス型の着用が義務付けられています。
山林斜面の立木調査業務でフルハーネス型を使用する場合
2m以上の高さで転落・墜落をする可能性があり、フルハーネス型を使用する場合は特別教育が必要です。 なお、のり面等で親綱を使用して行う「ロープ高所作業」に当てはまる業務は、フルハーネスではなく「安衛則第36条第40号のロープ高所作業」にかかる特別教育を実施する必要がある点に留意しておきましょう。
フルハーネス型を使用することがある車体のドライバー
「作業床を設けることが困難なところにおいて堕落制止用器具のうちフルハーネス型の物を用いて行う作業に係る業務」という規定があります。フルハーネス型を使用する車体のドライバーは、この規定により特別教育が必要かどうかを判断しましょう。 なお、「作業床」と見なされるのは幅40cm以上の足場です。貨物車の荷台部分も「作業床」とみなされるでしょう。
現在使用しているフルハーネス型・胴ベルト型の使用期限は?
2022年1月1日までです。 メーカーが出している耐用期間はロープ部分で2年、その他の部分で3年となっています。 当然ながら、耐用期間内であっても廃棄基準に達している場合は使用できませんのでご注意ください。
高所作業車のバケット・バスケット・デッキ内は作業床として認められますか?
労働局は、「認められる」と判断しているようです。 ただし、下記の場合は特別教育の受講が望ましいとも示しています。
・6.75mを超える作業(高所作業車の能力が6.75mを超える能力の作業車)でフルハーネス型を使用し、初めてフルハーネスを着用する場合
自己の判断だけでなく、労働局や法規を基準にするようにしましょう。
実技の詳しい内容についてお聞きしたいです
実技につきましては、「墜落制止用器具の使用方法」について1.5時間のカリキュラムを実施します。 具体的には、「墜落制止用器具のフルハーネスの装着の方法」「ランヤードの取付け設備等への取付け方法」「点検・整備の方法」などです。
法的にはいつから実施されますか?
実施(施行)は、平成31年2月1日からです。 告示が平成30年6月22日となっているため、間違いのないように認識しておきましょう。 ただし、特別教育については施行日前に実施した場合も有効と認められます。そのため、各講習機関・団体等でそれ(施行日)以前に講習会が実施されていたところもあります。
作業床がある場合は特別教育を受講しなくてよい
足場上で作業をする方のほとんどは「フルハーネス型安全帯の特別教育」を受講する必要はありません。 さらに端的に説明すると、手すりがなくて墜落の危険があった場合でも、作業床がある場所で作業する方は受講が不要です。 ちなみに、フルハーネス型安全帯の特別教育が必要となるのは、「作業床を設けるのが実質的に不可能であり、フルハーネス型安全帯を着用して作業する方」となっています。 上記の特別教育の対象者については、旧規定に示されている「安全帯の使用義務範囲」と混同している方が多く見受けられます。注意しておきましょう。
まとめ
この記事では、フルハーネス特別教育の対象について詳しく解説してきました。不安な点や疑問の解消になりましたら幸いです。 特別教育の対象は、細かく区切られています。 一連の作業全てが該当となる場合もあれば、一部の作業にて、限定的に対象となっている場合もあります。 対象者となる方は、特別教育が義務付けられていますので、分からないまま放置してしまうことのないようにしましょう。