建築物石綿含有建材調査者は、建築物における石綿の使用を事前調査するための資格です。
建築物石綿含有建材調査者になるには、所定の講習を受講することに加え、修了考査に合格する必要があります。
今回は、建築物石綿含有建材調査者の役割や事前調査の必要性をはじめ、建築物石綿含有建材調査者講習の内容や受講方法について解説します。
目次
建築物石綿含有建材調査者とは?
まずは、建築物石綿含有建材調査者の概要、種類の違いを見ていきましょう。
建築物石綿含有建材調査者の役割
建築物石綿含有建材調査者の役割は、建物の解体や改修の際に、石綿を含む建材等の有無を調査することです。2020年7月に石綿障害予防規則等が改正され、建築物石綿含有建材調査者が調査にあたることが義務付けられました。
2023年10月1日より、事前調査の調査が「義務化」となりました。
受講対象となる方は、なるべく早く建築物石綿含有建材調査者の講習を受けましょう。
建築物石綿含有建材調査者になるには、講習登録規定に基づく登録講習機関で講習を受講し、かつ修了考査に合格しなければなりません。講習会は規定を満たした様々な機関によって全国各地で開催されています。
<2023年10月から、有資格者の事前調査が義務化されました。受講をお急ぎください!>
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建築物石綿含有建材調査者の「一般」「一戸建て」「特定」の違い
建築物石綿含有建材調査者には、一般、一戸建て、特定という3つの種類があります。
一戸建ては文字通り、戸建て住宅の調査を専門とする資格です。また、共同住宅の住居箇所における、全ての材料の事前調査が可能です。
一戸建てでは住居箇所の調査のみにとどまり、廊下などの共用部分は対象外となります。
一般と特定は、一戸建ても含めた全ての建築物、構造物を調査できます。
現状では、一般と特定の業務内容に相違点はありません。
ただし、法改正があった場合は、両者が明確に区分される可能性がありますのでご注意ください。
なお、建築物石綿含有建材調査者講習において、2018年に新たな規定が施行されました。旧制度の講習を受講していた場合、「特定建築物石綿含有建材調査者」とみなされます。
【建築物石綿含有建材調査者】石綿の使用有無について調査が必要な理由
石綿の概要と健康被害のメカニズム、調査の必要性について解説します。
石綿とは?
石綿とはアスベストとも呼ばれる、繊維が極めて細い天然の鉱物繊維です。石綿の6種類のうち、クリソタイルがほとんどの石綿製品に使われていました。
石綿は熱や摩擦、酸、アルカリなどに強く、変質しにくい性質があります。断熱性、防音性、耐腐食性などに優れており、かつてはさまざまな工業製品に使用されていました。
石綿の用途は、防音材や断熱材などの建設資材、保温断熱目的による建物内の吹き付け、ブレーキパッドなど多岐にわたります。
石綿による健康被害と調査の必要性
石綿を使用した製品の生産、建物の解体などで石綿を切断、研磨すると、石綿の繊維が飛散します。石綿は丈夫で変化しにくい性質があるため、飛散した繊維を吸い込むと肺に沈着します。
肺に石綿の繊維が滞留することが原因で、肺がん、悪性中皮腫、石綿肺などの重大な病気を引き起こします。
石綿の健康被害は、数十年という長い潜伏期間を経て発症するのが大きな特徴です。石綿鉱山、石綿製品製造工場、建設業など、職業上の石綿ばく露で健康被害が発生しています。
現在、石綿を使用する製品の製造、使用は禁止されています。しかし、石綿の使用のピークは70年代~90年代であるため、石綿を使用した建物は未だに存在しているのです。
2014年時点で石綿を含む可能性がある建物は約280万棟と推計されており、解体のピークは2028年前後とされています。
建築物の解体だけでなく、建物の経年劣化や損傷も石綿が飛散する原因の一つです。
事前調査で石綿の有無を把握することで石綿の飛散を防止し、健康被害を未然に防ぐ必要があります。
建築物石綿含有建材調査者講習の概要
建築物石綿含有建材調査者になるために必要な、講習の受講内容を見ていきましょう。
建築物石綿含有建材調査者講習が誕生した背景
先に述べたように、建築物石綿含有建材調査者になるには、建築物石綿含有建材調査者講習の受講、かつ修了考査に合格する必要があります。
以前は国土交通省、厚生労働省、環境省ごとに、石綿含有建材の使用状況調査を周知していました。しかし、各省の調査に必要な知識や技能に共通点が多いことから、3省共管の新たな建築物石綿含有建材調査者講習制度が制定されたのです。
次章より、建築物石綿含有建材調査者講習の受講資格、カリキュラムについて解説します。
建築物石綿含有建材調査者講習の受講資格
建築物石綿含有建材調査者講習を受講するには、以下の資格を満たす必要があります。
建築物石綿含有建材調査者の受講資格 | ||
---|---|---|
区分 | 学歴等 | 実務経験年数 |
1 | 学校教育法による大学(短期大学を除く。)において、建築に関する正規の課程またはこれに相当する課程を修めて卒業した者 | 卒業後の建築に関する 実務経験年数:2年以上 |
2 | 学校教育法による短期大学(修業年限が3年であるものに限り、同法による専門職大学の3年の前期課程を含む。)において、建築に関する正規の課程またはこれに相当する課程(夜間において授業を行うものを除く。)を修めて卒業した者(専門職大学の前期課程にあっては、修了した者) | 卒業後の建築に関する 実務経験年数:3年以上 |
3 | 「2」に該当する者を除き、学校教育法による短期大学(同法による専門職大学の前期課程を含む。)または高等専門学校において、建築に関する正規の課程又はこれに相当する課程を修めて卒業した者 | 卒業後の建築に関する 実務経験年数:4年以上 |
4 | 学校教育法による高等学校または中等教育学校において、建築に関する正規の課程またはこれに相当する課程を修めて卒業した者 | 卒業後の建築に関する 実務経験年数:7年以上 |
5 | 「1~4」に該当しない者(学歴不問) | 建築に関する 実務経験年数:11年以上 |
6 | 建築行政または環境行政(石綿の飛散の防止に関するものに限る。)に関わる者 | 実務経験年数:2年以上 |
7 | 7-a 特定化学物質等作業主任者技能講習(※1)を修了した者 7-b 第一種作業環境測定士(※2)または第二種作業環境測定士(※3) |
石綿含有建材の調査に関する 実務経験年数:5年以上 |
8 | 石綿作業主任者技能講習(※4)を修了した者(実務経験年数不問) | |
9 | 産業安全専門官もしくは労働衛生専門官、産業安全専門官もしくは労働衛生専門官であった者(※5) | |
10 | 労働基準監督官として従事した経験を有する者 | 従事経験年数:2年以上 |
11 | 11-a 建築物石綿含有調査者で、建築物石綿含有調査者として石綿含有建材の調査に関する実務経験年数が2年以上の者(※6) | |
11-b 建築物石綿含有調査者で、受講資格区分番号「1~7、8-b~10」に該当する者(※6) |
※1 労働安全衛生法等の一部を改正する法律(平成十七年法律第百八号)に規定する改正前の労働安全衛生法別表第十八第二十二号
※2 作業環境測定法(昭和五十年法律第二十八号)第二条第五号
※3 作業環境測定法(昭和五十年法律第二十八号)第二条第六号
※4 労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)別表第十八第二十三号
※5 労働安全衛生法第九十三条第一項
※6 実地研修の際に必要な要件
出典:一般財団法人 日本環境衛生センター
石綿作業主任者技能講習を受講している場合、上記の実務経験が不問になります。
石綿作業主任者とは、石綿取り扱い作業において労働者の指揮、排気装置の点検、保護具の使用状況の監視などを行う責任者のことです。
石綿作業主任者技能講習は受講資格の定めがないため、先に講習を受講してもいいでしょう。
建築物石綿含有建材調査者講習のカリキュラム
建築物石綿含有建材調査者講習のカリキュラムは、一戸建て、一般の区分で講習内容と時間が異なります。
建築物石綿含有建材調査者講習(一戸建て等)
建築物石綿含有建材調査者講習(一戸建て等) | ||
---|---|---|
No. | 科目等 | 時間 |
1 | 建築物石綿含有建材調査に関する基礎知識1 | 1時間 |
2 | 建築物石綿含有建材調査に関する基礎知識2 | 1時間 |
3 | 一戸建て住宅等における石綿含有建材の調査 | 1時間 |
4 | 現場調査の実際と留意点 | 3時間 |
5 | 建築物石綿含有建材調査報告書の作成 | 1時間 |
建築物石綿含有建材調査者講習(一般)
建築物石綿含有建材調査者講習(一般) | ||
---|---|---|
No. | 科目等 | 時間 |
1 | 建築物石綿含有建材調査に関する基礎知識1 | 1時間 |
2 | 建築物石綿含有建材調査に関する基礎知識2 | 1時間 |
3 | 石綿含有建材の建築図面調査 | 4時間 |
4 | 現場調査の実際と留意点 | 4時間 |
5 | 建築物石綿含有建材調査報告書の作成 | 1時間 |
以上が建築物石綿含有建材調査者講習のカリキュラムとなっています。
なお一戸建て、一般ともに全講習が修了した後に修了考査が実施されます。
修了考査を合格することで、建築物石綿含有建材調査者として認定を受けることができます。
建築物石綿含有建材調査者講習の受講方法
建築物石綿含有建材調査者講習の受講方法は、講習会に参加することです。ここでは、講習会の概要について解説します。
登録講習機関の講習会に参加する
「建築物石綿含有建材調査者講習登録規程」に基づく登録講習機関で、建築物石綿含有建材調査者講習が開催されています。
先に紹介したカリキュラムのとおり、講習会は2〜3日で実施されることが多いですので、受講する場合はまとまった日数を確保する必要があるので注意しましょう。
建築物石綿含有建材調査者は、石綿の健康被害防止を担うスペシャリスト
石綿を使用した建築物の解体や改修で石綿が飛散すると、肺がんなどの健康被害を招くおそれがあります。石綿の使用状況を専門的な観点から調査するため、講習で事前調査や使用材料などの知識を学びます。
建築物石綿含有建材調査者講習は登録講習機関による講習会で受講が可能ですので、しっかりと学んで建築物石綿含有建材調査者の資格を取得しましょう。
<2023年10月から、有資格者の事前調査が義務化されました。受講をお急ぎください!>
SATの建築物石綿含有建材調査者講習は合格率95%以上!
- 一般は45,000円(税込)、一戸建ては33,000円(税込) ※テキスト代等、全てを含めた金額
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建築物石綿含有建材調査者の講習まとめ
[sc_fs_multi_faq headline-0=”h3″ question-0=”建築物石綿含有建材調査者講習の必要性とは?” answer-0=”建築物石綿含有建材調査者講習は、石綿含有建材の調査に関する知識・方法を学ぶ講習です。石綿に関する知識や調査時の注意点などを重点的に学びます。
石綿は、肺に線維が滞留することで肺がんや石綿肺などの重い病気につながる危険な繊維です。 そのため作業従事者は、健康被害を防止することを目的に講習会の受講が2023年10月1日より義務化されました。” image-0=”” headline-1=”h3″ question-1=”建築物石綿含有建材調査者講習の講習内容は?” answer-1=”建築物石綿含有建材調査者講習は、一戸建て・一般・特定建築物の3つにわかれている講習です。 それぞれで、建築物石綿含有建材調査に関する基礎知識や作業方法について詳しく学習します。
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