建築施工管理技士

1級建築施工管理技士【実地試験】の出題傾向や勉強方法を解説

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一級建築施工管理技士の学科試験が終わり、合格発表までの間に次の試験について気になる方も多いでしょう。実地試験は結果が出てからの対策もできますが、なるべく早めに対策をして確実に合格をもらいたいですよね。

また、1級建築施工管理技士の試験内容について気になり、ページにアクセスした方もいるでしょう。今回はそんなあなたのために、1級建築施工管理技士の実地試験の概要や対策方法を解説していきます。

1級建築施工管理技士免許取得の流れ

実地試験の概要に入る前に、1級建築施工管理技士の流れを整理します。実地試験が全体の中でどのような位置づけなのかを確認する参考にしてください。

1級建築施工管理技士の試験は大きく2つに分かれています。はじめに受験するのが学科試験。学科試験は、マークシート方式で解答するのが特徴です。出題内容としては、建築学や施工管理法、法規の3分野から出題されています。2019年度の試験は、6月上旬に行われました。また、結果発表はおよそ1ヶ月後の7月19日となっています。

学科試験を合格した人だけが受けられる試験として「実地試験」があります。実地試験は、施工管理法に関する筆記試験です。この2つの試験に合格することではじめて、1級建築施工管理技士となることができます。実地試験は、筆記試験の合格発表からおよそ3ヶ月後の10月20日に行われました。合格発表は試験からおよそ3ヶ月後の2020年1月31日です。

なお、実地試験に不合格であった場合や、実地試験を受験しなかった場合には、次回の試験で「学科試験免除」として受けることが可能です。

ちなみに、それぞれの試験の合格率は、筆記試験が36.6%で、実地試験が37.1%となっています。どちらの試験も3分の1程度の合格率なので、難しい試験といえます。

1級建築施工管理技士【実地試験】とは

出題内容

ここでは実際に実地問題の出題内容を大問ごとに解説していきます。ここで紹介するのは、過去問をもとにした問題例です。試験の年度ごとにパターンや内容は変わる可能性があるので注意してください。

問題全体は大問6問で構成されており、試験時間は180分です。はじめにも紹介したように、記述式の試験となっています。

大問1は、施工経験について記述をするものになっています。あなたが実際に経験した施工経験について、工事名や工事場所、工期などを含めて具体的に記述していく問題です。テーマの例としては、施工の合理化に関することがあります。そのほかにもいくつかのパターンから出題されることが多く見受けられます。

大問2は、仮設物の設置計画や、安全に設備を使用するための計画などについての問題です。各小問について、留意点とともに検討すべきことを記述していきます。

大問3は躯体工事についてです。ここでは、大問2のような留意点を記述していく場合と、小問中の誤りを指摘していく場合の2パターンがあります。試験の実施年によってどちらかが出題されます。

大問4は、建築施工の仕上げ工事について出題されます。大問3のように、留意点か誤り指摘の2パターンの形式で出題されていることが多く見受けられます。

大問5は、施工管理についてです。ネットワーク工程表やバーチャート工程表に関する問題が出題されます。これまでバーチャート工程表の出題が多く、ネットワーク工程表に関する出題は少ない傾向があります。

大問6は、法規に関する出題です。建築業法などをはじめとした法規について、空所を補充する問題が出題されます。

以上のような出題内容を3時間で解かなければならないため、万全の対策で試験に臨む必要があるといえるでしょう。

合格率

記事のはじめには、2019年度の合格率について紹介しました。実は、実地試験をはじめとした1級建築施工管理技士の試験は、年度によって合格率のばらつきがあります。そのため、2007年から2019年までの合格率を平均してみました。すると、平均合格率は38.8%。実施年度によっては40%を超える場合もありますが、基本的に合格率は高くないといえるでしょう。

1級建築施工管理技士【実地試験】の出題傾向

ここでは、実地試験の出題傾向をさらに細かく見ていきます。要となる施工体験記述問題と、その他の問題にわけて解説していくので参考にしてください。

建築工事における施工体験記述問題

施工体験記述では、大きく3つのテーマが出題される傾向にあります。1つ目は工程管理です。施工の合理化などに関する問題を経験に基づいて回答します。2つ目は品質管理です。ここでは、品質管理に関わる留意点などを経験に即して記述します。3つ目は、建設による副産物への対策についてです。環境対策と言い換えてもよいでしょう。これら3つが多く取り扱われているテーマとなっており、それぞれの視点で事例を振り返っておくことが大切です。また、過去の傾向をつかむためにも過去問題に取り組むのがおすすめです。

最近では、3つのテーマを横断する形の問題が出題されたこともあります。そのため、それぞれのテーマについて自分なりの経験談と留意点などを考えておく必要があります。また、工事名などを書く場面もあるため、自分が経験している工事を日時とともに覚えておくことも求められます。そして、事例は複数必要な場合がある点にも注意が必要です。施工体験記述問題は以上のような内容といえます。

穴埋め、語句説明などの記述問題

それ以外にも、さまざまな種類の記述問題があります。大問6によく出る法規の問題については、法律などの空所を補充する穴埋め問題が多いです。そのため、暗記していれば解ける問題もあるのが特徴といえます。

それ以外には問題で指定されたキーワードに関する検討事項や留意点を記述する問題もあります。これは具体的に検討事項などを考えるため、穴埋め問題よりは難易度があがるでしょう。主に、仮設物に関する留意事項や、災害ごとの留意事項などが近年の傾向となっています。

さらに、誤りを指摘したり、訂正語句を書いたりする問題も出題されます。誤りの可能性がある場所は、各設問につき3カ所用意されています。そこから1つ誤りのものを選び、訂正語句を書くという形式での回答方法です。最後に、記述問題の中ではハードルの高い論述問題も出題されています。論述問題では、指定の工法や提示された工程表に関する論述が取り扱われる傾向にあるようです。

以上のように、記述問題にもさまざまなパターンがあります。過去問を通じて形式に慣れておくのがおすすめです。

1級建築施工管理技士【実地試験】の勉強方法

最後に、実地試験の効果的な勉強方法について2つに分けて紹介していきます。

過去問題を繰り返し解く

効果的な勉強方法は、とにかく過去問を解くことです。過去問は試験で実際に出された問題でもあるので、繰り返し解くことで問題形式や時間配分についての対策もできます。

また施工体験記述問題などは、はじめて問題を解くときにはうまくまとめられないこともあるでしょう。そのような場合には、回答例の軸を踏まえながらじっくりと回答をつくってみるのがおすすめです。

「その場でできなかったから」と解きっぱなしにするのはおすすめしません。自分なりに記述ができると、自信もつく上に類似問題に対応できる力もつくでしょう。

過去問題は試験実施団体のサイトやインターネット上でも入手できます。しかし、確実な情報や回答例が欲しい場合には、書籍を購入して取り組むのがおすすめです。

添削をしてもらう

また、過去問を解いて自分で答えを確かめるだけでなく、添削をしてもらうのがおすすめです。「自分なりにはよくかけている」と思っていても、他の人から見ると要素が欠けている場合もあります。すでに資格を持っている人や、添削サービスを受けてフィードバックをもらうと良いでしょう。

ただし、添削を何度も受けただけでは合格に結びつかない可能性もあります。さらに確実に合格を目指すのであれば、フィードバックのポイントを受けて、ふたたび問題を解くとよいでしょう。すると、添削してもらったものが、より自分の力になります。

まとめ

今回は、1級建築施工管理技士の実地試験についてご紹介しました。合格率は平均3割前後と決して高くありませんが、傾向を知り対策をすれば合格への可能性は高まるでしょう。

本記事でおおまかな試験内容をつかんだら、過去問を解き添削を受ける中で自身の弱点を補強していきましょう。実地試験を受けるということは、学科試験に合格をしているということです。その点に自信をもって、着実に勉強を積み重ねていくことをおすすめします。

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