低圧電気取扱業務特別教育は、開催している講習機関に申し込み、会場に足を運んで受講する方法が一般的ですが、場合によっては県外の出張となることがあります。
長い移動時間を要するケースもあり、特別教育を社内で実施したいといった企業や隙間時間を活用して受講したいといった作業者は少なくありません。
インストラクター養成講習やWeb講座を使うことで特別教育を効率的に受講できるので、講習機関に申し込む前にそれぞれの情報について集めておきましょう。
目次
低圧電気取扱業務特別教育とは
まず、低圧電気取扱業務特別教育について解説をします。
概要と対象者
現在、低圧の電気は事業者や工場などの一般作業者が用いる周辺の電気機器にて使用されていますが、多くの感電災害が発生しています。
一般作業者の認識不足が要因とされていますが、これらは絶縁保護具を着用し、停電作業を徹底するといった知識を身に付けることで防止できる事故です。
作業者の安全と健康の確保、電気工事の欠陥による災害を防止するために、労働安全衛生規則では低圧電気取扱業務を「危険又は有害な業務」に指定しています。
そのため、低圧電気取扱業務に従事する方は、特別教育を受講しなければいけません。
次の2つの業務に従事する方は低圧電気取扱業務特別教育の受講対象者です。
No | 対象業務 |
---|---|
1 | 低圧の充電電路の敷設もしくは修理の業務 |
2 | 配電盤室、変電室など区画された場所に設置する低圧の電路のうち充電部分が露出している開閉器の操作の業務 |
カリキュラム
低圧電気取扱業務特別教育は、学科と実技の2つ実施されます。学科のカリキュラムは、次のとおりです。
項目 | 受講時間 |
---|---|
低圧の電気に関する基礎知識 | 1時間 |
低圧の電気設備に関する基礎知識 | 2時間 |
低圧用の安全作業用具に関する基礎知識 | 1時間 |
低圧の活線作業及び活線近接作業の方法 | 2時間 |
関係法令 | 1時間 |
合計 | 7時間 |
上記が学科のカリキュラムです。
一方、実技については、作業者が行う業務によって内容が異なるため注意してください。
業務内容 | 項目 | 受講時間 |
---|---|---|
充電部分が露出している開閉器の操作の業務 | 低圧の活線作業及び活線近接作業の方法 | 1時間以上 |
充電電路の敷設もしくは修理の業務 | 7時間以上 |
上記が実技のカリキュラムです。作業者は、従事する業務の講習時間について、必ず確認しておきましょう。
受講料
受講料金は、受講する講習機関によって異なりますが、基本的には、学科のみであれば10,000円前後、実技講習も行う場合はその2倍程度の受講料金が必要です。
全国の地域ごとに低圧電気取扱業務特別教育の講習会が実施されているので、場所や日時等が都合の良い講習機関を選択してください。
低圧電気取扱業務特別教育を社内で実施することはできる?
低圧電気取扱業務特別教育は、社内でも実施できます。その際には、自社で講師を確保して実施しなければいけません。
ここでは、低圧電気取扱業務特別教育を社内で実施するための方法と注意点について解説します。
社内で実施する方法
特別教育の講師を確保すれば、社内で講習を実施できます。
講師は「知識と経験を十分に有している人」と会社が判断すれば問題ありませんが、該当者がいない場合には「特別教育インストラクター養成講習」を受講して講師となる人材を育成しましょう。
ただし、低圧電気取扱業務特別教育よりも受講料金が高いため、特別教育の講師になる方だけ受講をおすすめします。
電気の感電災害を防止するためにも、責任感を持って講習に臨みましょう。
使用するテキスト
社内で特別教育を実施する場合、使用するテキストは通販サイトなどで販売されている市販の特別教育用テキストで問題ありません。下記がその例になります。
No | テキスト名 | 出版社 |
---|---|---|
1 | 低圧電気取扱特別教育テキスト | 日本電気協会 |
2 | 低圧電気取扱者安全必携-特別教育用テキスト- | 中央労働災害防止協会 |
上記が特別教育の講習用テキストです。
講師になる方は、講習用のテキストを用いて解説することで、順序よく進められるでしょう。
社内で実施する際の注意点
特別教育を社内で実施する場合、事業者は2つのことに注意しましょう。
まず1つ目が講習を実施する時間についてです。
講習は通常の労働時間内に行うことが規定されていますが、時間外に行う場合はその分、賃金を支払う必要があります。講習の実施内容についても定められた科目と時間に沿った内容で実施してください。
2つ目が記録の保管についてです。
特別教育を社内で実施した場合、その記録は3年間保管する必要があります。実施記録を捨てないよう十分に注意してください。
低圧電気取扱業務特別教育はWebでも受講できる
低圧電気取扱業務特別教育は、社内で受ける以外にもWeb講座を受講する方法があります。ここでは、SATの講座を参考にしてWebで受講するメリットを見ていきましょう。
メリットは以下の3つです。
No | メリット |
---|---|
1 | 場所を選ばずに好きなタイミングで受講できる |
2 | 図や説明が丁寧でわかりやすい |
3 | 何度も見直しができる |
詳しく解説していきます。
1.場所を選ばずに好きなタイミングで受講できる
SATのWeb講座は、動画講義を用いた受講となるため、場所を選ばずに自分の好きなタイミングで講習を受講できるのがメリットです。
通常の特別教育では、講習会場や会社などに足を運ぶ必要があり、受講場所は選べません。
しかし、Web講座であれば、通勤途中の交通機関や会社の隙間時間、自宅での時間を動画講義の閲覧に使用できます。
毎日の隙間時間を有効活用できるため、仕事が忙しい方でも自分の好きなタイミングで計画的に受講を進められるのがWeb講座のメリットと言えるでしょう。
2.図や説明が丁寧でわかりやすい
SATのWeb講座では、豊富な知識と経験を基に実践的な内容を専門の講師が解説するため、現場での安全知識を効率よく学習できます。
動画解説では、図や写真などを用いているため、現場の状況がより具体的に伝わり、実際の事故事例などから危険を予測し予防する能力を高められます。
単純に講義を受講するのではなく、実践で必要な知識を学びたい方にはおすすめです。
低圧の電気を取扱う際に必要な知識を効率的に学習していきましょう。
3.何度も見直しができる
SATのWeb講座は、受講期間内であれば動画の見直しが何度でも可能です。そのため、わかりにくい項目も効率的に理解できます。
一般的な特別教育であれば、講習は一度だけなので常に集中して取り組まなければいけませんが、Web講座であれば、好きな場所やタイミングで受講できるため、常に集中する必要はありません。
特別教育の実施目的は、作業者の安全を確保するためです。
何度でも見直せる動画講義は、必要な知識を身に付けるうえで非常に効率的と言えるでしょう。
低圧電気取扱業務特別教育はWeb受講が効率的!
今回の記事では、低圧電気取扱業務特別教育の概要と社内で実施するための方法、Webで受講するメリットについて解説しました。
電気の感電災害は死亡事故にも繫がるため、作業者自身が必要な知識を身に付け、安全を意識して従事しなければいけません。
講習用テキストやインストラクター養成講習を受講すると社内でも実施できるため、作業者が多い場合は、社内での実施も検討しましょう。
また、仕事が忙しく日々の隙間時間を活用したい方はWeb講座の受講もおすすめです。好きな場所とタイミングで動画講義を受けられるため、効率よく進められます。