QC検定(品質管理検定)とは、品質管理の考え方や手法、具体的な実践方法の知識を問う検定試験です。
QC検定には1級~4級があり、2級は自ら品質管理の問題を解決できるレベルが求められます。
QC検定2級の受検を検討するにあたり、気になるのが試験の難易度と合格率です。そこで今回は、QC検定2級の試験内容、難易度と合格率、合格に向けた勉強法について解説します。
目次
QC検定2級の概要
まずはQC検定の概要、QC検定2級の試験範囲について見ていきましょう。
そもそも、QC検定とは?
QC検定とは、品質管理に関する知識を評価する民間の検定試験です。品質管理とは、顧客に満足してもらえる製品やサービスを提供するため、製品の問題を分析、検証、改善する取り組みを指します。
QC検定2級はQC七つ道具を活用し、品質の問題を自ら解決・改善できるレベルに該当します。
QC検定2級の対象者は、品質管理部署のリーダーや管理職など、改善活動をリードできる人です。
QC検定2級の試験範囲
QC検定の試験範囲は、すべての等級で「品質管理の実践・品質管理の手法」の2つで構成されています。QC検定2級における試験範囲の内容は次のとおりです。
QC検定2級の試験範囲 | |
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■QC的ものの見方・考え方 ・応急対策,再発防止,未然防止,予測予防・見える化《管理のためのグラフや図解による可視化》,潜在トラブルの顕在化 ■品質の概念 ・品質の定義 ・要求品質と品質要素 ・ねらいの品質とできばえの品質・品質特性,代用特性 ・当たり前品質と魅力的品質・サービスの品質,仕事の品質 ・顧客満足(CS),顧客価値【定義と基本的な考え方】 ■管理の方法 ・維持と管理 ・継続的改善 ・問題と課題 ・課題達成型QCストーリー ■品質保証:新製品開発【定義と基本的な考え方】 ・結果の保証とプロセスによる保証 ・保証と補償 ・品質保証体系図 ・品質機能展開 ・DRとトラブル予測,FMEA,FTA ・品質保証のプロセス,保証の網(QAネットワーク) ・製品ライフサイクル全体での品質保証・製品安全,環境配慮,製造物責任・初期流動管理 ・市場トラブル対応,苦情とその処理 ■品質保証:プロセス保証【定義と基本的な考え方】 ・作業標準書 ・プロセス(工程)の考え方 ・QC工程図,フローチャート ・工程異常の考え方とその発見・処置 ・工程能力調査,工程解析 ・変更管理,変化点管理 ・検査の目的・意義・考え方(適合,不適合) ・検査の種類と方法 ・計測の基本 ・計測の管理 ・測定誤差の評価 ・官能検査,感性品質 ■品質経営の要素:方針管理 ・方針(目標と方策) ・方針の展開とすり合せ【定義と基本的な考え方】 ・方針管理のしくみとその運用【定義と基本的な考え方】 ・方針の達成度評価と反省【定義と基本的な考え方】 ■品質経営の要素:機能別管理【言葉として】 ・マトリックス管理 ・クロスファンクショナルチーム(CFT)・機能別委員会 ・機能別の責任と権限 ■品質経営の要素:日常管理・業務分掌,責任と権限 ・管理項目(管理点と点検点),管理項目一覧表 ・異常とその処置・変化点とその管理【定義と基本的な考え方】 ■品質経営の要素:標準化【定義と基本的な考え方】 ・標準化の目的・意義・考え方 ・社内標準化とその進め方 ・産業標準化,国際標準化 ■品質経営の要素:小集団活動 ・小集団改善活動(QCサークル活動など)とその進め方 ■品質経営の要素:人材育成【定義と基本的な考え方】 ・品質教育とその体系 ■品質経営の要素:診断・監査【定義と基本的な考え方】 ・品質監査・トップ診断 ■品質経営の要素:品質マネジメントシステム【定義と基本的な考え方】 ・品質マネジメントの原則 ・ISO9001 ・第三者認証制度【言葉として】 ・品質マネジメントシステムの運用【言葉として】 ■倫理・社会的責任【言葉として】 ・品質管理に携わる人の倫理 ・社会的責任 ■品質管理周辺の実践活動【言葉として】 ・顧客価値創造技術(商品企画七つ道具を含む) ・IE,VE ・設備管理,資材管理,生産における物流・量管理 |
■データの取り方とまとめ方・サンプリングの種類《2段,層別,集落,系統》と性質 ■新QC七つ道具 ・親和図法 ・連関図法 ・系統図法 ・マトリックス図法 ■統計的方法の基礎 ・正規分布(確率計算を含む) ・二項分布(確率計算を含む)・ポアソン分布(確率計算を含む) ・統計量の分布(確率計算を含む) ・期待値と分散 ・大数の法則と中心極限定理【定義と基本的な考え方】 ■計量値データに基づく検定と推定 ・検定・推定とは ・1つの母分散に関する検定と推定 ・1つの母平均に関する検定と推定 ・2つの母分散の比に関する検定と推定 ・2つの母平均の差に関する検定と推定 ・データに対応がある場合の検定と推定 ■計数値データに基づく検定と推定 ・母不適合品率に関する検定と推定 ・2つの母不適合品率の違いに関する検定と推定 ・母不適合品数に関する検定と推定 ・2つの母不適合品数の違いに関する検定と推定 ・分割表による検定 ■管理図 ・X−s管理図 ・X管理図 ・p管理図,np管理図 ・u管理図,c管理図 ■抜取検査 ・抜取検査の考え方 ・計数規準型抜取検査 ・計量規準型抜取検査 ■実験計画法 ・実験計画法の考え方 ・一元配置実験 ・二元配置実験 ■相関分析 ・系列相関《大波の相関,小波の相関》 ■単回帰分析 ・単回帰式の推定 ・分散分析 ・回帰診断《残差の検討》【定義と基本的な考え方】 ■信頼性工学 ・品質保証の観点からの再発防止,未然防止・耐久性,保全性,設計信頼性【定義と基本的な考え方】 ・信頼性モデル《直列系,並列系,冗長系,バスタブ曲線》 ・信頼性データのまとめ方と解析【定義と基本的な考え方】 |
なお、QC検定試験は一般的な検定試験と異なり、下位の等級の試験範囲も含まれます。
QC検定2級の難易度と合格率
それでは、試験の特徴と合格率を踏まえ、QC検定2級の難易度をみていきましょう。
QC検定2級試験の特徴と難易度
QC検定試験はマークシート式で、2級に合格するには手法分野・実践分野でそれぞれおおむね50%以上、総合でおおむね70%以上の得点が必要です。
実践問題は言葉の穴埋め形式で、読解力と知識が求められます。難易度の高い長文問題は、過去問で慣れておくことが大切です。
また、実践問題では3級のQC七つ道具も出題されるため、必要に応じて復習する必要があります。
手法問題では計算問題や統計学の問題が出題されるため、過去問で演習をくり返し、解き方をしっかり覚えましょう。
QC検定2級の合格率
QC検定2級における、近年の合格率は以下の通りです。
QC検定2級の合格率(第25回~第37回) | |
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第25回(’18.03) | 17.26% |
第26回(’18.09) | 24.89% |
第27回(’19.03) | 26.59% |
第28回(’19.09) | 22.96% |
第30回(’20.09) | 27.63% |
第31回(’21.03) | 48.43% |
第32回(’21.09) | 44.33% |
第33回(’22.03) | 23.77% |
第34回(’22.09) | 25.23% |
第35回(’23.03) | 25.08% |
第36回(’23.09) | 23.92% |
第36回(’24.03) | 29.99% |
第1回の合格率は82.25%と比較的高かったものの、翌年以降は60%~50%、第17回以降は20~30%台を推移しています。ただし、第24回、第31回、第32回のように、特定の回の合格率が特に高くなるケースもあるようです。
QC検定2級の合格者の年齢層は、25~29歳が最も多く、30代以降は合格者が徐々に減少していきます。なお、ごく少数ですが、60代以上の合格者も見受けられます。
QC検定2級の勉強法
QC検定2級に受かるためには、どのような勉強法を実践すべきなのでしょうか。
最後に、基本的な勉強法と、効率的に受検対策ができる通信講座について紹介します。
過去問をくり返し解く
基礎を身につける前に、まずは過去問を解いてみて現状のレベルを把握しましょう。一度問題を解き、自分に何が足りていないかを理解したうえで勉強を始めたほうが、知識が定着しやすくなります。
テキストである程度知識をインプットしたら、再度過去問を解き、間違えた問題やわからない部分はテキストに戻るというパターンをくり返しましょう。
QC検定の試験は独特な問題が多い傾向にあります。過去問を解いて問題に慣れることも、受検対策として大切なことです。
統計学を重点的に勉強する
2級で出題される計算問題を解くには、統計学の知識が欠かせません。統計学の知識がない場合、最初はテキストで統計学の基礎を勉強しましょう。
また、計算問題は公式を使用するため、公式をノートなどにまとめておくと便利です。
QC検定は一般電卓を持ち込めるので、併せて電卓の使い方にも慣れておいてください。
通信講座で効率よく勉強する
QC検定を仕事上で受検する必要がある場合、勉強と仕事の両立が課題となるでしょう。時間を有効に使い、効率よく勉強するには通信講座が大いに役立ちます。
通信講座は動画で勉強できるため、通勤時間などを有効活用できます。さらに動画なら、プロの講師のわかりやすい解説付きで、テキストベースより理解しやすいのが大きな魅力でしょう。
さらに、Eラーニングシステムにより学習状況の把握が可能で、独学よりもモチベーションを保ちやすいというメリットもあります。
QC検定2級は、合格率・難易度を把握したうえで対策を!
QC検定2級はQC七つ道具を利用し、自ら品質管理の問題解決や改善ができるレベルの試験です。試験範囲は品質管理の実践、手法の分野に加え、3級の範囲も含まれます。
特に対策が必要なのは、手法分野では統計学・計算問題、実践分野では品質管理の知識と読解力が求められる長文問題です。
過去問をくり返し解く勉強法も効果的ですが、時間を効率的に使いたい場合は通信講座をおすすめします。通信講座ならいつでも空いた時間で動画を視聴できるため、通勤時間や移動時間でも無駄なく勉強ができます。視覚と聴覚を使う動画はテキストよりも理解しやすく、苦手分野の勉強に最適です。
市販のテキストでは理解しにくい方や、早く検定に合格したい方は、通信講座をぜひ利用してみてください。