酸素欠乏・硫化水素危険作業特別教育

酸欠特別教育の講師になるためには?資格は必要?

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酸素欠乏症に関する業務は、人体に危険を及ぼす可能性が高いため、業務に従事する方には酸欠特別教育の受講が義務づけられています。

特別教育の受講方法はいくつかありますが、企業で実施する場合には自分の会社で特別教育を開催するといった方法もあります。

ただし、講師は誰にでも務まるものではなく、講習内容についてもいくつか注意点があるため、適当に実施したのでは全く意味がありません。

特別教育を正しく実施するために、特別教育の講師を務めるための方法と自社で行う際の注意点について把握しておきましょう。

そこで今回は、酸欠特別教育の講師に必要な資格と自分の会社で行う場合の方法について解説します。

自分の会社に合った特別教育の実施方法を確認してください。

酸欠特別教育の講師の資格はない

まず始めに、酸欠特別教育の講師に必要な資格についてです。
特別教育の講師を務めるために、必要な資格や実務経験は存在するのでしょうか?

結論からお話しすると、特別教育の講師に必要な資格や実務経験はありません。
どんな人でも特別教育の講師を務めることはできます。

しかし、特別教育について労働安全衛生法では、次のように定められています。

・労働安全衛生法第59条第3項
事業者は、危険又は有害な業務で、厚生労働省令で定めるものに労働者をつかせるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該業務に関する安全又は衛生のための特別教育を行わなければならない

上記にあるとおり、特別教育は、労働者が酸欠の恐れのある業務に就く際に発生する労働災害の防止を図るために実施されるものです。

そのため、講師を務める人は、酸素欠乏症に関わる作業についての十分な知識や経験を持っている人だけにしてください。

上位資格である作業主任者の資格を持っているだけでは、特別教育を行うだけの知識は経験が十分とは言えません。

次のセクションで紹介する「酸欠特別教育の講師になる方法」のどちらかを実践できる人が特別教育の講師を務めましょう。

酸欠特別教育の講師になる2つの方法

続いては、酸欠特別教育の講師になる2つの方法について紹介します。
どちらも難しくはないので、自分に合った方法を選択しましょう。

インストラクター養成講習を受ける

まず1つ目の方法が、酸欠特別教育のインストラクター養成講習を受講するといった方法です。

養成講習を開催している機関は、次のとおりです。

・講習機関
1.東京安全衛生教育センター
(https://www.jisha.or.jp/tshec/course/k8620_sanketsu.html)
2.大阪安全衛生教育センター
(https://www.jisha.or.jp/oshec/course/o8620_sanketsu.html)
3.建設業労働災害防止協会
(https://www.kensaibou.or.jp/safe_tech/leaflet/files/2019_kousyu_koushiyousei.pdf)

次に講習会の詳細について、安全衛生教育センターを参考に見ていきましょう。

受講対象者 酸素欠乏危険作業特別教育の講師となる方
研修期間 3日間
定員 20名
教育内容 ・労働衛生概論
・関係法令
・救急処置
・救急処置の実習
・酸素欠乏症等の発生原因・病理
・酸素欠乏事故等の防止対策
・保護具に関する知識
・教育方法(指導案の作成、役割演技)
受講料 64,900円(税込、テキスト代込)
備考 受講後、修了証が交付される

上記の講習に参加することで、酸欠特別教育の講師を務めるための必要な知識を得ることができます。

開催場所が限定されており、受講料も安くないため、講師を務める可能性がある必要最低限の人数だけ受講を検討しましょう。

Webサイトなどで購入した教材に沿って講義をする

酸欠特別教育の講師になるもう一つの方法が、Webサイトなどで購入した教材に沿って講義を進めるといった方法です。

インターネット上では、下記にある酸欠特別教育用の教材が販売されています。

・酸欠特別教育用の教材
1.酸素欠乏症等の防止~特別教育用テキスト~
2.酸欠ココが危ない!!~酸素欠乏症・硫化水素中毒を防ぐためには~

上記のテキストを用いて講義をすることで、初心者でも順序立てて特別教育を進めることができます。

ただし、特別教育の講師をするのであれば、酸素欠乏症について必要な知識や経験を持っておきましょう。

上位資格である作業主任者の資格を有している人が講師をする場合は、こういった特別教育用のテキストに基づいて実施しましょう。

ただし、社内で実施するのであれば、いくつか注意点があります。
次のセクションでは、社内で酸欠特別教育を行う際の注意点について解説します。

どういった注意点があるのか見ていきましょう。

社内で酸欠特別教育を行う際の注意点

前回のセクションでは、インストラクター養成講習の受講や特別教育用の教材に沿って講義をすることで社内でも酸欠特別教育を実施できることを解説しました。

では、実際に社内で実施する際に注意点などはあるのでしょうか?

注意点は2つあります。
まず1つ目は「特別教育の記録の保存」についてです。

酸欠特別教育の記録の保存について、労働安全衛生規則では、次のように定められています。

労働安全衛生規則
事業者は、特別教育を行った時は、当該特別教育の受講者、科目等の記録を作成して、これを3年間保存しておかなければならない

何も記録せずに特別教育を実施するだけではダメなので注意しましょう。

次に注意するのが、「実施時の労働時間」についてです。
社内で実施する場合、特別教育を受けている時間は労働時間となります。

そのため、特別教育は原則として所定労働時間内に実施するものとされており、労働時間外に行われた場合には割増賃金を支払う必要があるので注意してください。

これら2つに気をつけながら自社で酸欠特別教育を実施しましょう。

また、特別教育に有効期限などはありません。

ただし、酸欠の恐れがある業務に就いている労働者には、時代の流れの変化に応じて安全衛生教育を一定期間ごとに実施することが通達で示されています。

まとめ

今回の記事では、酸欠特別教育の講師に必要な資格と自分の会社で行う場合の方法について解説しました。

記事の内容について簡単にまとめます。

・酸欠特別教育の講師に必要な資格や実務経験はない
⇒ただし、講師を務められるだけの十分な知識と経験は持っておいた方が良い
・酸欠特別教育の講師になる2つの方法
⇒インストラクター養成講習の受講又は特別教育用の教材に沿って講義を進める
・自社で特別教育を行う場合には、記録を3年間保存しなければならない
⇒特別教育の時間は労働時間の扱いになるので注意

酸素欠乏症は、人体に危険を及ぼすため細心の注意を払う必要があります。

特別教育を行う際には、労働者の災害防止を図るためにも、事業者が責任を持って実施しましょう。

今回の記事で紹介した方法で、特別教育の講師を確保し、自社で酸欠特別教育を実施してから、酸欠に関わる作業に従事してください。

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