小型車両系建設機械とは、機体質量が3t未満の車両系建設機械です。
車両系建設機械の扱いは労働安全規則第36条9号によって、特別教育が必要な業務とされています。特別教育は、所有している免許や勤続年数などにかかわらず、車両系建設機械を扱う方はすべて受講しなければなりません。
ここでは、小型車両系建設機械〔整地・運搬・積込み用及び掘削用〕運転者特別教育の概要や受講の方法について紹介します。
目次
小型車両系建設機械と種類について
はじめに、小型車両系建設機械の概要と種類について解説します。
小型車両系建設機械には複数の種類があるので、自分が受講しなければならない特別教育についてしっかりと把握しておくことが重要です。
小型車両系建設機械の概要
小型車両系建設機械とは、動力を用いて不特定多数の場所に自走できる建設機械のうち、機体質量が3t未満のものを指します。
一例を挙げると、ブルドーザーやショベルカーなどが該当します。建設工事において、小型車両系建設機械はなくてはならないものです。 小型車両系建設機械の操作は、労働安全規則第36条9号によって、特別教育が必要な業務とされています。
したがって、どんな小型車両系建設機械でも扱う従業員は特別教育を受けなければなりません。
なお、小型車両建設機械の自走とは工事現場を走らせて業務に当たることを指します。したがって、小型車両建設機械で道路を走行して移動させるだけの業務を行う場合は、特別教育は必要ありません。
小型車両系建設機械の種類
小型車両系建設機械の種類には、以下のような種類があります。
整地・運搬・積み込用機械:ブルトーザー・トラクターショベルなど
掘削用機械:パワーショベル・ドラグショベル・バケット掘削機など
基礎工事用機械:杭打ち機・杭抜き機・アースドリルなど
解体用機械:ブレーカー・鉄骨切断機・コンクリート圧砕機・解体用つかみ機など
なお、油圧ショベルの機体(アタッチメント)を交換すると、積み込み用機械が解体用の機械になります。
したがって、整地・運搬・積込み用及び掘削用の小型車両系建設機械運転者特別教育しか受けていない方が、アタッチメントを交換して解体用機械となった油圧ショベルを扱うことはできません。
例えば、解体から整地まですべてを引き受けている会社の場合、従業員に特別教育も複数受けてもらうと仕事の幅が広がります。
小型車両系建設機械運転者特別教育の種類
小型車両系建設機械運転者特別教育の種類は、「解体用機械」と「整地・運搬・積込み用及び掘削用」と「基礎工事用」の3種類です。いずれも学科と実技の2つの講習が実施されます。
小型車両系建設機械〔整地・運搬・積込み用及び掘削用〕運転者特別教育の内容
小型車両系建設機械〔整地・運搬・積込み用及び掘削用〕運転者特別教育の内容は、以下の表のとおりです。
学科/実技 | 科目名 | 時間 |
---|---|---|
学科 | 走行に関する装置の構造及び取扱いの方法に関する知識 | 3時間 |
作業に関する装置の構造及び取扱いの方法に関する知識 | 2時間 | |
運転に必要な一般的事項に関する知識 | 1時間 | |
関係法令 | 1時間 | |
実技 | 走行の操作 | 4時間 |
作業のための装置の操作 | 2時間 |
学科の合計が7時間、実技の合計が6時間で合計13時間となっています。
なお、小型車両系建設機械〔解体用〕の運転者特別教育と科目はほぼ共通しています。講習の内容が、整地や運搬、積み込み用の建設機械であるか、解体用の建設機械であるかの違いです。
特別教育を受けなかった場合の罰則
小型車両系建設機械〔整地・運搬・積込み用及び掘削用〕の運転は、労働安全規則第36条9号によって、特別教育を受けないと業務に就いてはいけない仕事にさだめられています。
受講しなければ業務に就けない決まりである特別教育を受けずに終業させた場合、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
また、特別教育は安全に小型車両系建設機械を扱うために必要です。受講させないと労働災害が発生しやすくなる恐れもあります。それに加えて、必要な教育を受けさせない会社だとわかれば、信頼も失う恐れがあります。
先ほども紹介しましたが、小型車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)運転者特別教育の受講時間は13時間です。未受講の従業員を雇い入れた場合は必ず受講してもらいましょう。なお、一度特別教育を受講すれば転職しても有効です。
小型車両系建設機械〔整地・運搬・積込み用及び掘削用〕運転者特別教育の受講方法
ここでは、小型車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)運転者特別教育の受講方法を紹介します。特別教育は学科と実技の2種類があります。
学科の受講方法は、対面受講・出張受講・Web受講の3種類があり、受講者の都合の良い方法で受講が可能です。それぞれのメリット・デメリットも紹介するので、洗濯の参考にしてください。
対面講習の方法とメリット・デメリット
対面講習は、教習所や労働技能教習センターなどで実施している講座を受講する方法です。
実施機関は全国にあるので、各都道府県で受講できます。「お住まいの自治体・車両系建設機械運転者特別教育」でインターネット検索すれば、実施機関を調べられます。
対面講習の費用は実施団体によって異なりますが、1万円台が相場です。通年行われているので、都合の良いときに受講しましょう。インターネットから申し込める団体も多いです。
対面講習のメリットは、実施場所に行きさえすれば受講できるうえ、学科と実技の両方をセットで受講できることです。
一方、デメリットとしては「受講場所を探すのが大変」「受講する時間を確保しづらい」といった点が挙げられます。地方によっては受講場所に行くまでに時間がかかるところもあり、場合によっては宿泊場所を確保しなければならないケースもあるでしょう。
また、初めて特別教育を受ける場合は2日がかりなので、時間の確保も大変です。
出張講習の方法とメリット・デメリット
出張講習は、講師に会社まで来てもらって学科を受講する方法です。
なお、実技ができる場所や車両を用意すれば実技の受講も可能ですが、学科だけ受講して教習所などで実技を改めて受講するのが一般的です。
受講人数が多い場合や対面講習を実施する場所が会社の近くにない場合は、会社に講師が来てくれるので便利です。また、複数の会社が協力して講師を招くケースもあります。
出張講習のメリットは、受講日を受講する側に都合が良い日に決められ、移動時間が必要ないことです。繁忙期にどうしても受講日を設けたい場合などに出張講習は適しています。
一方、デメリットは講師の確保が大変、受講人数によっては対面講習より費用がかかることです。また、講師を自社に招く場合、自社で講習を受ける部屋、講師の控え室、講師の飲食物などを用意する必要もあります。受講する側のほうが負担が多いのもデメリットです。
Web講習の方法とメリット・デメリット
Web講習は、インターネット配信で講習を受講する方法です。会社にあるパソコンなどで受講が可能なので、都合がいい時間に講習を受けられるのが最大のメリットです。
しかし、Web講習では以下のようなデメリットもあります。
- インターネットをスムーズに受信できる環境がないと実施が難しい
- Web動画が大画面で視聴できる環境が整っていないと人数分のノートパソコンなどのデバイスが複数必要
- 監督者を置かないと受講したと認められない場合がある。
特に、監督者が必要な場合は受講者を一か所に集めなければならず、Web講習のメリットが感じられない場合もあるでしょう。
一方、SATのWeb講座は、以下のようなメリットがあります。
- 24時間365日、オンラインでの受講が可能
- 端末のカメラで受講状況をしっかり担保
- スマホアプリで修了証が即日自動発行(プラスチックカードの修了証も発行可能)
SATでは、労働局に確認済みのAI顔認証システムにより、受講が担保されています。
監視者を別途用意しなくても、受講が無効になることはありません。したがって、受講者が好きな時間に所有しているスマホやタブレットで講習が受けられます。
なお、実技の講習は別所で受講が必要ですので、必ず実技実施責任者と同一場所で対面にて実施するようにしてください。それでも学科だけでもオンラインで受講ができるので、講習に関わる時間を大幅に短縮することが可能です。
小型車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)運転者特別教育はWeb受講がオススメ
小型車両系建設機械〔整地・運搬・積込み用及び掘削用〕運転者特別教育は、車両系建設機械を扱うならば必ず受講が必要な教育です。例外はないので、受講していない方は必ず受講してください。
なお、同時に解体用の特別教育を受講すると仕事の幅が広がります。
SATが主催するオンライン講座は24時間365日いつでも受講できるうえ、顔認証システムによって管理者がいなくても大丈夫です。修了証も即日発行できるので、仕事が忙しい職場ほどおすすめです。