建設業を一生の仕事にしたいと思った場合、施工管理技士はぜひとも取得しておきたい資格です。施工管理技士は資格試験を受けて合格すれば取得できますが、これまでは受験資格として一定の実務経験が必要でした。
しかし、令和6年度(2024年度)より受験資格が変更され、より広く門戸が開かれるようになったのです。本記事では、令和6年度より変更される施工管理技士の資格試験について解説します。
目次
令和6年度より変更される施工管理技士の受験資格とは?
はじめに、令和6年度(2024年度)より変更された施工管理技士の受験資格について解説します。
変更される受験資格は、施工管理技士の資格試験の一部です。全てが全く変わってしまうわけではありません。まずは、変更点を把握しましょう。
令和6年度からの変更点
令和6年度実施分より変更された施工管理技士の受験資格は、以下のとおりです。
令和6年度以降実施分 施工管理技士 受験資格 |
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1級施工管理技士 |
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1級施工管理技士 |
1級一次合格後の場合
2級二次合格後の場合
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令和6年度以降実施分 施工管理技士 受験資格 |
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2級施工管理試験 |
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最も変わったのは、1級施工管理技士の受験資格です。
これまでは、一次試験の受験資格を得るために、最低3年以上の実務経験が必要でした。しかし、令和6年度からは19歳以上であれば、誰でも受験が可能になったのです。
また、第二次検定の受験資格を得るまでの実務経験も大幅に短縮されました。この条件だと、最短で21歳で1級施工管理技士の資格が取得できます。
2級は、一次試験の受験資格は変わりません。しかし、2級二次試験の受験資格を得るために必要な受験資格は、大幅に短縮されました。
そのため、2級施工管理技士の資格と1級施工管理技士の資格を連続して短期間で取得することも可能です。
例えば、高校在学中に2級施工管理指揮の一次試験を合格しておき、大学生になったら1級施工管理技士一次試験を合格しておけば、大学卒業後1年間の実務経験で2級施工管理技士試験、二次試験の受験資格を得られます。
その後、1~3年の実務経験で1級施工管理技士二次試験の受験資格が得られます。
旧受験資格の場合、1級施工管理技士の資格を取得するのは、大学で指定学科を卒業しない限り、30代が一般的でした。
しかし、新しい受験資格の条件ならば、20代で1級施工管理技士の資格を取得しやすくなります。
なお、令和6年度から令和10年度までの間に経過措置期間が設けら、第二次検定に関しては、以前までの受検資格と今回の新しい受検資格との選択が可能です。
特定実務経験に関して
特定実務経験とは、請負金額4,500万円(建築一式工事は7,000万円)以上の建設工事において、監理技術者・主任技術者(当該業種の監理技術者資格者証を有する者に限る)の指導の下、または自ら監理技術者・主任技術者として行った経験のことを指します。
受験資格が変更された背景
施工管理技士の受験資格が変更された背景には、人手不足があります。
施工管理技士は、必ず工事現場に配置しなければなりません。少子高齢化により、施工管理技士の有資格者の減少が急速に進むと考えられています。そのため、有資格者を早急に増やす必要があります。
旧来の受験資格では、1級施工管理技士の資格を取得するために最低で3年、2級施工管理技士を取得していたとしても5年の実務経験が必要でした。
仕事をしながら受験勉強を行って資格を取得するには、なみなみならぬ努力が必要です。受験資格が緩和されれば、資格取得もチャレンジしやすくなるでしょう。
受験資格の変更は全ての施工管理技士に適応される
施工管理技士の資格区分は7種類あります。受験資格の変更は全ての施工管理技士に適応されます。
また、2級施工管理試験二次試験の受験資格は機械のみ2年と短くなっているので、より挑戦しやすくなるでしょう。
受験資格が変更される影響やメリットとは
ここでは、令和6年度より施工管理技士の受験資格が変更される影響やメリット、注意点などを紹介します。これから施工管理技士の資格取得にチャレンジしたい方は、参考にしてください。
1級施工管理技士の資格を20代で取得できる
前述したように従来の1級施工管理技士の受験資格だと、受験資格を得るまでに最低で3年の実務経験が必要でした。受験資格を得るために長い実務経験が必要だと、「資格を取得しよう」というモチベーションも下がりがちです。
また、大学や専門学校、高等専門学校で、専門学科に通って知識をつけていても、実務経験を積んでいる最中に忘れてしまう方も多いでしょう。
施工管理技士になれば、出世の道が開けたり年収が上がったりします。そんな資格を20代のうちに取れれば、モチベーションも上がるでしょう。
学生のうちに一次試験に挑戦できる
施工管理技士の一次試験は学科試験です。知識を問われる問題なので、学生のうちに挑戦できれば、合格もしやすいでしょう。
2級施工管理技士の一次試験受験資格は、17歳以上です。高校在学中に挑戦できるので、例えば工業高校や工業専門学校に2級施工管理技士の一次試験に合格しておけば、卒業後3年の実務経験で2級二次試験の受験資格を得られます。
また、今回最も大きな変更点である1級の一次試験が19歳で挑戦できるようになれば、大学在学中に受験資格が得られます。
例えば、土木や電気、建築などの専門学科に通っていれば、学科試験であれば施工管理技士の取得もそう難しくはないでしょう。しかも、1級の一次試験に合格すれば、専門学科以外でも1年の実務経験で2級の二次試験が挑戦できます。
2級施工管理技士の資格を取得すれば、監理技術補佐の仕事につけるため、1級の二次試験により早く挑戦できるようになるでしょう。
試験の難易度が下がるわけではない
施工管理技士の受験資格が緩和されたからといって、試験の難易度が下がるわけではありません。
施工管理技士の一次試験の合格率は、資格区分によっても異なりますが、おおよそ45~50%くらいです。
かなり高めの合格率ですが、実務経験がある方でも50%は不合格になると考えると、決して易しい試験ではありません。
17歳~19歳で一次試験に挑戦する場合、実務経験はない方がほとんどです。学科試験ですから、実務経験がなくても合格は可能です。しかし、易しい試験とは思わないほうがいいでしょう。しっかり勉強して試験に臨みましょう。
実務経験が積める職場に就職する必要がある
1級・2級とも二次試験の受験資格を得るには、一定の実務経験が必要です。
特に、1級は監理技術補佐など、実務経験の内容も指定されます。せっかく一次試験に合格したのですから、二次試験にも挑戦したいものです。そのためには、就職先は十分に吟味して選びましょう。
施工管理技士の1級・2級の違い
施工管理技士には1級と2級があり、以下のような違いがあります。
施工管理技士の1級と2級の違い
1級 主任技術者・専任技術者・監理技術者の選任を受けられる
2級 主任技術者・専任技術者の選任を受けられる
施工管理技士の資格区分によっては、2級の場合は主任技術者・専任技術者の選任を受けられる工事の範囲も決まってきます。
また、1級のみが選任を受けられる監理技術者は、外注総額4,500万円以上となる工事を発注者から直接請け負う場合、現場に配置しなければならない技術者です。
つまり、1級施工管理技士を取得したほうが仕事の幅が広がり、より需要も高くなります。ぜひ、1級取得を目指しましょう。
まとめ:令和6年度より1級施工管理技士の受験資格を得る条件が緩和された
令和6年度より、1級施工管理技士の一次試験は、19歳以上であれば実務経験がなくても受験資格を得られるようになりました。
この緩和により、専門学校生や大学生でも1級施工管理技士の一次試験に挑戦できます。また、一次試験に合格ですれば、施工管理技士補となり、工事現場でより専門的な施工管理が行なえます。
1級施工管理技士の二次試験も挑戦しやすくなりました。建築業界で一生働いていこうと思うなら、ぜひ資格取得にチャレンジしてみましょう。