建築施工管理技士

建築施工管理技士とは?仕事内容や資格概要まとめ!

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建築施工管理技士とは簡単にいうと、建築現場での監督を行えるようになる国家資格です。工事の工程表を作成したり、品質を管理したりと重要な役割を果たします。

この記事では建築施工管理技士を取得するメリットや実際の仕事内容、受験概要について説明します。

1 建築施工管理技士とは

建築施工管理技士とは、建築現場での監督を行う人の一人です。

そもそも建築施工管理技士とは、建設業法で定められた「施工管理技術検定」の1級または2級に合格した者のことを指し、一般的に現場監督か設計事務所で仕事をしている方が取得するケースが多くなっています。

中には、知識向上のために職人さんが建築施工管理技士を取得することもあります。
建築のエキスパートになるために必要な資格ということですね。

1-1 建築施工管理技士を取得するメリット

「建築施工管理技士」がないと建設業の仕事に就けないということはありませんが、資格取得すると様々なメリットがあります。

知識を体系的に得られる

無資格でも建設業に就くことは可能ですが、部分的な知識では現場の管理はできません。基本的に無資格の方は部分的・特化した知識しかないものとみなされ、現場全体の知識のある有資格の方の部下として現場作業をします。

体系的な知識を学ぶことで、ひとつひとつの作業のつながりが理解でき「なぜこんな鉄筋が必要なのか」などの「なぜ」を解決することができるようになります。

現場所長になれる

建築施工管理技士を保有していると現場監督として活躍することができます。2級は一般的な住宅が対象ですが、1級であればあらゆる建築現場で指揮を取れます(詳しくは後述)。建築に携わるのであれば、街のシンボルとなるような建物を建てたいと思うようになりますし、所長として活躍したいと意思のある方は必ず取得するべきです。

信頼感が得られる

社外の建築関係の方と打ち合わせをする際に、無資格の方と有資格の方とどちらに建物を依頼したいかと問われると、当然有資格の方でしょう。資格の有無は、仕事を発注してもらう際にも非常に大切な要素なのです。

 

2 建築施工管理技士の仕事内容はQCDSE!

建築業で働く建築施工管理技士には「QCDSE」という業務が求められます。

「QCDSE」とはQuality(品質)Cost(原価)Delivery(工程、工期)Safety(安全)Environment(環境)の5つを指す言葉です。それぞれについて詳しく見ていきましょう。

① Quality(品質)
例えば「きれいな打ちっぱなしコンクリート」や「汚れていない外壁」などが建築物の品質にあたります。

建築施工管理技士は、日々、品質に問題がないかを確認をしながら時には業者さんへ「手直し」や「追加」を依頼しなければなりません。

② Cost(原価)
同じ建物を建てる場合でも、建てる会社によって掛かる費用が変わってきます。品質に影響を来さず、可能な限りコストを下げる工夫をすることも、建築施工管理技士の仕事の1つです。

③ Delivery(工程、工期)

現場監督は「工程表」を書くことで工程や工期を管理することが求められます。

仮に工期が1年ある場合、1年間の全体の工程を考える必要がありますが、それで終わりではありません。天候などの影響で工事が前後することもあるため、「1ヶ月工程表」「1週間工程表」など細分化した工程表を作ることもあります。

④ Safety(安全)
「QCDSE」の中でもSafety(安全)が一番大切であり、「安全は全てに優先する」という言葉は建設業では常識です。危険と隣り合わせの現場の中で、建築施工管理技士は「職人さんが安全に作業できるのか」を確認しなければなりません。

⑤ Environment(環境)

環境問題への対策も現場監督の大切な業務です。

環境に影響の出る事項については、役所に「こんな仕事をしますが、環境に影響の出ないようにこんな対策を講じています」という書類を提出する必要があります。この書類を怠ると工事が中断、最悪工事中止となるケースもあるのです。

 

3 1級建築施工管理技士と2級建築施工管理技士の違い

2級建築施工管理技士と1級建築施工管理技士では、仕事内容に大きな違いはありませんが、扱うことのできる建物規模に制限があります。

 

1級建築施工管理技士の場合は、工事を請け負うことができる規模は制限がなく、街中によく見かける大型商業施設や高層マンションなどが施工可能です。東京スカイツリーも1級建築施工管理技士があれば現場所長として管理できます。

 

2級建築施工管理技士の場合は、主に中小規模(請負金額4,000万円以下)の建設工事を扱うことになり、一戸建て住宅などを主に請け負う会社に勤めている場合は、2級建築施工管理技士があれば十分でしょう。

 

4 建築施工管理技士に必要な能力

建築施工管理技士にとって一番必要な能力は、「管理する能力」です。例をあげると、工程管理では、予測ができない悪天候による作業の中止や遅れなどのトラブルが必ず生じます。竣工日は決まっているため工程を守るために先を見越した柔軟な対応が求められます。

そのため、建築施工管理技士は、応用力があり、機転の利く人が向いているといえます。建築現場では、予定通りに業務が進まないことが多いため、いかに竣工日に間に合わせられるかが重要になります。

また、建築現場には幅広い年齢層の職人さんがいるため、コミュニケーション能力も求められます。

かといって、元気の良い体育会系タイプでないと適さない、ということはなく、穏やかな性格であっても周りとの調和がとれる方が向いています。仲間を大切にし、職人さんやお客さまからの信頼を得られるようなコミュニケーションができる方は強いといえるでしょう。また、朝の挨拶や休憩時間の「お疲れ様です」などの声掛け、気遣いができる方や、どんな問題にも前向きに取り組む方が多い傾向にあります。

5 2級建築施工管理技士の資格試験の詳細

5-1 試験は前期と後期の年に2回

「施工管理技術検定」は国家資格となっており、年に2回行われます。前期試験日は6月に行われ、7月に合格発表があります。後期試験日は11月に行われ、翌年1月に合格発表があります。

5-2 受験方法と費用

新規受験者は願書を取り寄せることから始まります。ネット申し込みができるのは再受験者のみとなっています。

一般財団法人建設業振興基金のホームページでネットから取り寄せることができるので早めに取り寄せるようにしましょう。

また、大学の卒業証明書が必要になるのでこちらもお早めに取り寄せるようにしてください。

 

受験費用は9,400円必要になります。(学科試験のみ:4,700円、実地試験のみ:4,700円)

5-3 試験は学科試験と実地試験に分かれている

2級建築施工管理技士の試験は、学科試験と実地試験に分かれています。

学科試験はマークシート形式の問題で、学科試験の合格者のみ、実地試験を受験することが可能になります。

5-4 試験内容は3つの種別に分かれている

2級建築施工管理技士の資格試験は「建築」「躯体」「仕上げ」の3つに分かれており、いずれか1つの学科試験・実地試験を受けることになります。
合格すれば2級建築施工管理技士として合格種別に該当する工事ができるようになります。

建築

建築の資格を有していれば大工工事、内装工事、電気工事を含む専門工事を一式に請け負うことが可能です。

躯体

躯体とは建物の基礎に当たる部分のことで構造部分の工事を請け負うことができる資格です。鉄筋・型枠・コンクリート・鳶工事などが施工可能です。

仕上げ

構造部以外の内装工事や外装工事などが主です。
内装工事を専門とするリフォーム会社に勤めている方は必須の資格ですね。

5-5 受験資格がないと受けられない

2級建築施工管理技士は誰でも受けられる試験ではありません。2級建築施工管理技士の受験には、指定学科を受講した大学を卒業した後、1年の実務経験を積むことが必須条件です。最終学歴が高等学校の方は、3年の実務経験で受験資格を得ることができます。

引用:一般財団法人建設業振興基金 施工管理技術検定

5-6 2級建築施工管理技士の難易度

2級建築施工管理技士の令和元年度の合格率は、学科試験が31.6%、実地試験が27.1%と難易度が高い試験といえます。

次に1級建築施工管理技士の試験について紹介します。

6 1級建築施工管理技士の資格試験の詳細

1級建築施工管理技士の試験は2級と重なる部分が多いですが、試験範囲が広く、受験資格においても厳しい条件が決められています。

6-1 試験は年に一回

1級建築施工管理技士の試験は年に一回行われます。学科試験日は6月に行われ、7月に合格発表があります。実地試験は10月に行われ、翌年1月に合格発表があります。

6-2 受験方法と費用

2級建築施工管理技士と同じく、新規受験者は願書を取り寄せましょう。ネット申し込みができるのは再受験者のみです。

受験費用に関しては学科も実地試験も9,400円です。

6-3 1級建築施工管理技士の試験内容

学科試験は、建築学(環境工学、各種構造、構造力学、施工共通、躯体工事、建築材料、仕上げ工事)、施工管理法、法規があります。

午前の部2時間30分、午後の部2時間の試験です。学科試験はすべて四肢択一形式の出題です。実地試験は実務経験における建築全般の応用力が求められる記述式の試験です。

6-4 1級建築施工管理技士の受験資格

1級建築施工管理技士の受験には、指定学科を受講した大学を卒業した後、3年の実務経験を積むことが必須条件です。最終学歴が高等学校の方は、10年の実務経験で受験資格を得ることが出来ます。

6-5 1級建築施工管理技士の難易度

1級建築施工管理技士の令和元年度の合格率は、下記の通り、学科試験は42.7%、実地試験は46.5%です。

2級建築施工管理技士の合格率は30%台なので、数値だけで比べると、2級建築施工管理技士の方が難しいように見えますが、1級は受験資格である実務経験も長く、試験範囲も広いので、順番に2級から挑戦しましょう。

 

7 まとめ

建築施工管理技士は、建築現場において監督を行う建築のエキスパートです。

現場全体の知識をつけたい、責任感の感じられる仕事がしたいという方は是非資格取得にチャレンジしてみましょう。

1級・2級で仕事内容に大きな違いはありませんが、監督できる現場の規模や、試験の受け方が異なります。

違いをよく確認して、ご自身に合った資格を取得してくださいね。

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