職長・安全衛生責任者

職長とは?職長の職務や役割について詳しく解説!

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現場作業などにおいて、必ず見かける職長ですが、意外と知られていない職長の職務や役割、また、安全衛生責任者とは何が違うのかなどなど職長に関する様々な疑問に詳しく解説していきます

1 職長とは

職長とは、事業場や作業所(屋外の事業所)で労働者に対して指揮監督する者を指します。建設、製造、電気、ガス、機械修理、自動車整備の現場等において直接、作業員に対して指揮監督する職長は、作業員の健康や安全を確保するためにも重要な立場にあります。

作業現場では、様々な事業者が集まり一つのゴールに向かって作業を進めています。
また、人・物・資機材が常に動いており、危険有害要因も常に変化しています。

常に危険と隣り合わせである作業現場で、自身の作業に集中してしまい、周りの動きに対する認識が薄くなることで、事故が発生します。

そういった事故などを防ぐためにも、また、現場作業が円滑に進めていくためにも、作業員への指示出しや、能力・体調を把握し適切な人員配置を行う必要があります。

このように現場の指揮監督をする職長は各現場に必ず一人は必要になるのです。

職長になるには職長教育の受講が必須

安衛法60条の定めにより、職長資格を有しない者は職長になることはできません。つまりは、部下である作業員に対し指揮監督することを認められていません。

職長は必ず職長教育を受けて、職長教育修了証を交付されている必要があります。

また、一人の職長が何人の作業員を管理できるなどの明確な基準は設けられていません。しかし、大規模な工場、現場等で、同じ会社同じ職種であっても、いくつかのグループに別れて異なる作業を行う場合などは、それぞれ各グループに職長が一人就かなければいけない場合があります。

 

2 職長の役割

職長は現場作業において、作業者に対して安全かつ効率的に作業を進めるために指揮監督を行うのが主な役割です。現場・品質・人間関係など様々なものを管理することになります。

・安全衛生管理
作業員が安全に作業を進められるように管理を行う。

・品質管理
より良い物を作るために成果物の確認や作業員に対して指揮監督を行う。

・工程管理
工程を把握し、適切な人員配置などを行い、現場が円滑に回るように管理を行う。

・原価管理
現場管理を通じてムダ・ムリ・ムラを無くし不要なコストを発生させない、効率的な作業を推進し、より安く材料を仕入れる努力を怠らない。

・環境管理
作業場内外の影響を考慮し、不要物の処理、危険有害物の取り扱い、産業廃棄物などの適正処理の管理を行う。

・人間関係管理
作業員の体調などを把握し、適切な人員配置を行うとともに、作業が円滑に行われるよう、やる気が出る明るい雰囲気づくりなどを行う。

 

3 職長の実際の職務

先ほどは職長の役割(使命)について確認しましたが、次は安全衛生法の職長教育の中で期待されている職長の実際の職務について見ていきましょう。

・作業手順を正しく定める
安全かつ効率的に作業が進むように手順を確認し、定期的に見直しなども行う。

・作業方法を改善する
常に問題意識を持ち、問題を発見した場合には、直ちに改善する。

・作業員を適正に配置する
作業員の能力や体調、資格などを把握し作業がいかに効率よく進むかを考え人員配置を行う。

・作業者に対して教育指導を行う
安全かつ正しい作業が行えるように必要な知識や技能を身に付けさせる。また、部下である作業員のやる気を起こさせるように努める。

・作業者に対して指示・監督を行う
作業員の能力を把握し、具体的な指示を出し、その後も指示をした作業がしっかりできているかどうか監督する。

・危険性及び有害性を評価し、対策を実施する
機械などを使用する際に、事前に確認を行い危険性や有害性について評価を行う。また、危険性や有害性が発生している場合には改善をし、安全を確認できてから作業を行う。

・環境の改善。保持に努める
常に4S(整理・整頓・清掃・清潔)を心がけ快適な職場環境の維持に努める。

・安全衛生点検を繰り返し行う。
機械設備等は始業前のみならず定期的に点検を行い、異常の早期発見に努める。

・異常時の措置は適切に行う
現場内での異常には早期に気付き、適切な措置を行うとともに、再発防止に努める。

・災害発生時の措置は適切に行う
火災発生時には被災者の救助を優先し、二次災害の防止に努める。また、再発防止対策を行う。

・作業員の安全意識の高揚に努める
労働災害を防ぐためには、作業員それぞれが高い安全意識を持つ必要があります。職長は作業員の安全意識高揚のために、安全活動の実施を計画し、継続的に行う。

・創意工夫を引き出す
部下である作業員に対して、作業方法や作業改善方法などの提案や工夫を出させる。

 

4 職長と安全衛生責任者の違いは?

職長とよく比較されるのが「安全衛生責任者」です。その違いを簡潔に表すと「現場管理など対内的な業務を行うのが職長。統括安全衛生責任者との連絡などの対外的な業務を担うのが安全衛生責任者ということになります。

 

職長

安全衛生責任者

役割

職長は現場内でのリーダーであり、部下である作業員に対して指示や監督を行う人

 

関係請負人の中で、元方事業者と連絡調整を行う人。

・元方事業者側の調整役(統括安全衛生責任者)

・関係請負人側の調整役(安全衛生責任者)

職務

・作業手順を正しく定める

・作業方法を改善する

・作業員を適正に配置する

・作業者に対して教育指導を行う

・作業者に対して指示・監督を行う

・危険性及び有害性を調査し、対策を実施する

・環境の改善。保持に努める

・安全衛生点検を繰り返し行う。

・異常時の措置は適切に行う

・災害発生時の措置は適切に行う

・作業員の安全意識の高揚に努める

・創意工夫を引き出す

・統括安全衛生責任者との連絡や、連絡を受けた場合には関係者に連絡を行う。

・統括安全衛生責任者からの連絡に関する管理

・計画書の確認や他業者との調整

・混在作業における危険要因の有無の確認

・2次3次と下請けがいる場合には下請けとの連絡や調整

 

 

5 職長になるには?

職長になるために年齢制限や必要な資格はありませんが、必ず職長教育を受ける必要があります。

2日間かけて合計12時間様々な事柄について学び、職長教育修了証を受けることで、職長になれます。さらに2時間の安全衛生責任者の教育を受けることで、安全衛生責任者の資格が追加されます。全国各地で講習会が実施されていますが、講習会に参加するのが難しい場合はSATのWEB講座でも同様の効力を発揮します。

職長は部下である作業員に対して指揮監督を行うことから、安全かつ効率的に作業が進むように工夫もできなければいけません。教育を受けるのみならず、現場経験も豊富に持っていることが大切になります。

また、厚労省の通達により、職長教育終了後、概ね5年毎に職長教育の再教育を行い、能力向上を充実することが義務付けられています。建設業界に対しても同様に職長・安全衛生責任者の教育後、概ね5年毎に職長・安全衛生責任者能力向上教育(再教育)を行うことを指示する通達が出ています。

 

6 職長教育で学ぶ内容

作業方法の決定及び労働者の配置に関すること(2時間)

業務の要件と作業者の能力・資格から適性配置を行い、標準的な手順を設定し、それに基づいて安全に作業を進めていくために必要な知識を学びます。

労働者に対する指導又は監督の方法に関すること(2.5時間)

作業開始前に作業員に対する正しい作業の実施方法を指導教育し、作業中は現場を監督し、必要に応じて指示を出すことを学びます。部下を育てるための指導方法を学びます。

危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置等に関すること(4時間)

現場作業における危険を事前に抽出し、災害発生を未然に防ぐことが職長の職務の一つです。過去の災害事例にとどまらず、これから行う作業に予見される危険源と作業者のその危険源への接近状況などから事前にリスクを算定し、対策を講じる手法を学びます。

異常時における措置に関すること(1.5時間)

労働災害発生時の初動対応や被災者に対する救命処置などについて学びます。

その他現場監督者として行うべき労働災害防止活動に関すること(2時間)

日々の安全作業は、職長一人で作り出せるものではありません。各作業員がそれぞれ安全に対する高い意識を持つことが重要です。

したがって、各作業員の安全に対する意識を向上させるためにはどうすれば良いのかなどについて学びます。

また、建設関係の混在作業場の職長は、職長教育とともに、安全衛生責任者に関する教育も受けます。

・安全衛生責任者の職務等       (1時間)
・統括安全衛生管理の進め方   (1時間)

安全衛生管理教育に関する2時間も含めて合計14時間です。

これらを2日間かけて学びます。特別なテストなどはありませんが、実技形式での練習などがあります。

 

7 職長になるなら併せて受けたい教育科目

担当職場が、 有害物取扱い作業や 危険な設備を取り扱う作業であるならば、職場のリーダー的役割であることから 職長は 作業主任者の資格を取得したり、事業者は 職長を作業指揮者に選任したりするべきです。

作業主任者

作業主任者の資格は、特定の危険有害職場で労災が起きないように 環境、設備、作業者を管理し、指導監督する現場のリーダーです。

安全関連で、ボイラー取扱作業主任者、プレス機械作業主任者など 22種類。
衛生関連で、有機溶剤作業主任者など10種類あります。

都道府県の労働局に登録した教育機関の研修に参加し講習最後の試験に合格することで資格を取得できます。

 

作業指揮者

作業指揮者は 23種類の危険有害職場の現場で作業者を指揮する役割です。 こちらも研修機関で教育がありますが 教材で独自に学習することも可能です。

また、危険有害作業を実際に行う作業者は、 法令で指定された就業制限の教育 あるいは特別教育を 受講しないといけません。 当然職長も現場で指揮監督する関係上 受講が必要です。 その特別教育で話題になっているのが2019年2月から法改正で 着用が義務付けられたフルハーネス墜落制止用器具の特別教育です。

 

まとめ

今回、職長・安全衛生責任者教育について紹介してきました。
職長の職務は多く大変なことも多いですが、日々の安全作業には必ず職長が必要になります。

ゼロ災害を目指して、多く豊富な知識や経験を持った職長が増えることを願います。

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