足場の組立等特別教育

足場の組み立て作業にも資格が必要?足場の組立て等特別教育とは

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家やマンションなどを建設したり、塗装をし直すなどの高所作業では、作業をするための足場を前もって組み立てておく必要があります。

そして足場の組み立て作業をするためには、足場の組立て等特別教育を受講し、また足場の種類によっては足場の組立て等作業主任者を選任する必要があります。(作業主任者の技能講習は労働局登録教習機関である労働安全衛生管理協会等が実施)

ここでは、足場の組立て等特別教育に関しての基本情報などを解説していきます。

1 足場の組立て等特別教育の概要

足場の組立て等特別教育とは、平成 27 年 7 月 1 日より施行された、足場の組み立てや解体、変更の作業に係わる直接作業者・指揮監督者に求められる教育資格です。

建設業界では足場からの転落や墜落などによる事故が近年でも多く発生していて、そうした背景から労働安全衛生規則が改正され、平成27年7月1日より施行されることになった法令です。

これによって、平成 27 年 7 月 1 日からの適用に伴い、指定された講習学科を指定された時間、受けることが義務付けられました。

つまり、この足場の組立て等特別教育を受けないことには、現場での足場の組立と解体、変更の作業をすることができないのです。足場の組み立てと解体を管理する指揮監督者はもちろん、それを組み立て・解体を行う作業者もこの足場の組立て等特別教育を受けることによって、初めて足場の組み立てと解体ができるようになります。

あくまでも特別教育であるため、実技訓練等はなく学科のみの講習という点もこの教育の特徴と言えます。

立場によって講習内容が異なる

足場の組み立ての講習内容は受講者の立場によって異なります。

・受講者が足場の組み立てや解体を行う直接的な作業者の場合は、特別教育で指定されている学科科目の講習を規定時間受ける必要があります。

・足場の組立て等作業主任者の場合は、作業主任者技能講習の学科科目の講習を規定時間受けることが必要です。

足場の組立て等特別教育(直接作業者)の主な学科科目と時間数

以下の講習の受講が完了すれば、後日に修了証(資格証)が発行されます。当方の講習では、講習終了後には簡単な確認テストが実施されます。

学科科目

時間数

足場及び作業の方法に関する知識

3時間

工事用設備、機械、器具、作業環境等に関する知識

30分

労働災害の防止に関する知識

1時間30分

関連法令

1時間

 

合計6時間

 

足場の組立て等作業主任者技能講習(指揮監督者)の主な学科科目と時間数

つり足場や、高さ5m以上の足場の組み立て、解体作業を行ったり変更する場合は、足場の組立て等作業主任者技能講習を修了した者の中から、足場の組立て等作業主任者を選任しなければなりません。

また、足場の組立て等作業主任者技能講習には受講要件があり、足場の組立て等の作業を定められた期間従事した経験が必要となります。

受講が完了すると後日に、技能講習修了証が発行されます。

以下は、指揮監督者に必要とされている主任者技能講習の主な学科科目と時間数です。

学科科目

時間

作業の方法に関する知識

7時間

工事用設備、機械、器具、作業環境等に関する知識

3時間

作業者に対する教育等に関する知識

1時間30分

関連法令

1時間30分

修了試験

1時間

 

受講時間13時間

修了試験1時間

 

2 受講までの流れは?

足場の組立て等特別教育を受講するためには、労働安全衛生管理協会が管轄する各機関や協会などに申し込みを行う必要があります。

一般財団法人が運営する研修期間や、中小企業を対象とした建築教育協会などで行われているので、それらのホームページから直接エントリーを行えば受講することができます。

受講内容や受講時間などは、法令により上記のカリキュラムで統一されているので、最寄りの機関や協会などを調べて、ガイダンスに従ってエントリーし受講しましょう。

短縮講習を実施している機関もある

短縮講習では、科目の一部を短縮し通常6時間必要となる受講時間を3時間にすることができます。

短縮講習には受講条件が設けられており、「経験者の相応の知識・技能を認め、平成27年7月1日(適用日)現在対象となる作業を行っている方」が対象となっています。

つまり、もともと足場組み立てや解体作業の知識や経験があり、平成27年7月1日(適用日)以前から足場の組み立て・解体作業を行っていて適用日を過ぎた現在も引き続き業務を行っている方が該当します。

年齢条件について

足場の組立て等特別教育は、年少者労働基準規則で18歳未満の者は足場の組立て等の業務に就くことができない」とされているので、足場の組立て等特別教育は、満18歳以上であることが条件となっています。

ですが、18歳未満であっても要望次第では受講できる場合があり、その場合は受講を前もって完了させておき、修了証は18歳になってから発行されます。

費用について

東京労働局登録教習機関である「技術技能講習センター」によると、足場の組立て等特別教育の受講にかかる6時間講習の費用は、「受講料6,800円+テキスト料金900円=7,700円」とされています。

ですが同じ東京労働局登録教習機関であっても、テキストと受講料込みで10,300円必要など、申し込みを行う場所によって費用が異なりますので、申し込みの際は事前に足場の組立て等特別教育を実施している機関や協会をチェックして、自分に合った予算や内容で受講する機関や協会を選びましょう。

3 受講せず作業すると取締りの対象に

足場の組立て等特別教育を受講しない事には足場の組み立てができないわけですから、仮に受講をせず足場の組み立てや解体を行った場合は違法行為となり、平成29年6月30日以降からは取締りの対象となっています。

ですので、この教育を受けなければ、万が一災害が発生してしまった場合は、法令違反となり労働災害保険が適用されなかったり、作業者・使用者・現場責任者等が書類送検されてしまうこともあります。

平成27年7月1日から平成29年6月30日までは、猶予期間が設けられていましたが、猶予期間が過ぎた現在では今後さらに安全性を守るためにも労働基準監督署による臨検などの取締りは強化されることが予想され、また何より足場の組立て等の作業を安全に行うために、現在足場に関する仕事をされている方や、これらから新たに事業の一つとして検討されている方などは、足場の組立て等特別教育を必ず受講しましょう。

受けることによって信頼を得られるのはメリット

建設業では、家やマンション、施設などを建設する際、さまざまなの専門工事を必要とします。専門工事を行う際にも足場が必要となる機会は多く、例えば脚立を連結して使用する場合にもこの特別教育が必要になります。また、法令の改正により足場の組立て等特別教育が義務付けられたため、その付加価値は上がっていると言えます。

例えば、大規模な建設工事を大手建設会社が受注した場合、下請け業者を選定するにあたって、

足場の組み立てや解体を伴う工事では「既に社員の足場の組立て等特別教育が修了している業者」と「足場の組立て等特別教育が修了していない、もしくはこれから足場の組立て等特別教育を受講する業者」とでは、選ぶ側にとっても大きな違いです。

元請け企業からの信頼を得ると言う意味でも、自社の社員が足場の組立て等特別教育を修了しているという事は大きなメリットであると言えます。

受講していない方は今がチャンス

平成27年7月1日から平成29年6月30日までの執行猶予期間では、多くの方が足場の組立て等特別教育を受講し、特に執行猶予期間の終了間近では駆け込み受講が多発し定員オーバーによって受講できない方が多くおられたようですが、現在では執行猶予期間も終了し、受講者数も落ち着きの傾向にあるようです。

受講者数が落ち着いた現在であれば、より計画的に組立て等特別教育を受講することができるので、プロジェクトのプランの一部にも入れやすく、受講を検討されている方はある意味今がタイミングよく受講できるチャンスと言えます。

また、法改正によりフルハーネス型墜落制止用器具特別教育も追加された今、足場の組立て等特別教育もセットで受講されてはいかがでしょうか。

4 まとめ

今回は足場の組み立て及び解体作業などに必須となる足場の組立て等特別教育について解説しました。この特別教育の必要性からもわかるように、建築業界ではより安全性の高い仕組みやルールが求められていると言え、それは今後さらに強化されていることも予想できます。

法改正に対応するためには、事前準備をしっかりと行わないと、法改正に対応できず業務に支障を与えてしまう可能性が高くなってしまうので、今後さらに法改正がされることを踏まえて、管轄行政の動向チェックを怠らないことが迅速な対応には大事です。

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