有機溶剤とは、他の物質を溶かす性質を持っている化合物の総称です。様々な事業所で使用されており、用途は主に塗装・洗浄・印刷業など多岐に渡ります。
一般的に有機溶剤は揮発性があり、その蒸気を吸い込むと急性中毒にかかる可能性があり、最悪の場合は死に至るケースもあります。
今回は、そのような有機溶剤の特別教育を自社でどのように行えばいいのか、その方法をご紹介します。
有機溶剤特別教育ってどんなもの?
有機溶剤特別教育で学ぶ内容は、労働安全衛生法であらかじめ制定されています。有機溶剤は取り扱いを間違えたり、無知な人が作業を行ったりすると健康に害を及ぼす恐れがあるため、その危険性・健康管理についてしっかりと学ぶ必要があります。
実際、有機溶剤による労働災害もゼロにはなっていません。これは、有機溶剤の危険性を知らない人が意外に多いということです。
有機溶剤中毒予防規則の対象となる有機溶剤は54種類もあります。全てを覚える必要はありませんが、少なくとも自分が取り扱っている有機溶剤は該当するのかどうかを把握しておくことはとても大切です。
講習でどのような内容を学ぶのかまとめてみましたので、ご覧ください。
講習科目 | 講習時間 |
---|---|
作業環境管理 | 1.5時間 |
作業管理 | 1時間 |
健康管理 | 1.5時間 |
災害事例及び関係法令 | 2時間 |
(合計) | 6時間 |
まず、どのような業務が有機溶剤業務に当たるのかを知る必要があります。講習の中で該当する業務を学びますが、意外と幅広い業務が該当し、どのような作業場で取り扱う機会があるかを学びます。そして、有機溶剤はなぜ危険なのかを災害事例をもとに学習します。
有機溶剤の危険性を知った後は、それをどのようにして予防するのかを実際の業務に合わせて学ぶことができます。換気方法、点検方法、気を付けなければならない点はたくさんありますが、注意する点は基本的には決まっています。この講習で要点を押さえましょう。ここで、保護具の使用方法をあわせて学びます。命を守る大切なことですので、しっかりと学習しましょう。
以上の講習内容計4科目を6時間かけて学びます。学科講習のみで、実技はありません。
有機溶剤特別教育を自社で行う方法
有機溶剤特別教育は自社でも行うことが可能です。方法はいくつかありますが、自分の会社に適した教育方法があるはずです。今回紹介する中で最適だと思う方法があれば、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
知識と経験のあるスタッフが講義を行う
知識と経験があるスタッフが自社にいれば、その方を講師として特別教育を実施することが可能です。外部委託するわけではないので、自社でスケジュールを組みやすいはずです。
講習内容や時間も厚生労働大臣が定めた規定に沿っていれば、問題ありません。
講習に使うテキストは各講習機関からあらかじめ取り寄せるなど、用意をしておくとよいでしょう。
ただし、注意点もいくつかあります。受講される方はあくまでも労働者ですので、講習は必ず労働時間に実施しましょう。必要な時間を確保できないからという理由で、お昼休みや就業後に実施してはいけません。
また、特別教育を実施したという記録を忘れずに作成しておきましょう。この記録は受講者名や科目を記しておき、少なくとも3年間の保存が必要となります。
出張講習を利用する
専門的な講師に依頼して、しっかりと教育を受けたいという場合には出張講習を利用する方法があります。出張講習であれば、近くに講習会場がない場合にも、会社で講習会を実施できるので便利です。出張講習は全国各地どこでも対応しており、土日でも利用可能です。繁忙期は予約を取りにくいこともありますので注意しましょう。
料金面も各講習機関によって違いますので、詳しくはホームページまたは電話で問い合わせてみてください。
通信講座を使う
自社で実施する場合、出張講習を利用する場合、どちらにしてもデメリットがあります。ですが、両者のデメリットを補ってくれるのが通信講座です。
最近では、通信講座で有機溶剤特別教育を修了される方も増えてきており、自社でも自宅でも受講可能です。
通信講座のメリットは何といっても場所と時間を選ばないという点です。動画での視聴となりますので、パソコン、タブレット、スマートフォン、いずれかの機器があればスキマ時間に視聴できます。万が一、不明な点があっても動画を停止して何度でも視聴することができますし、料金は受講費のみで出張費をかけずに修了することができます。
まとめ
今回、有機溶剤特別教育を自社で行う方法について紹介してきました。
有機溶剤を取り扱ううえで必ず受講しておくべき内容ですので、作業に従事される方は自分の身を守るためだけでなく周りの労働者を守るためにも受講することをおすすめします。
自社で行う方法もいくつかありますが、仕事をしながらですと、なかなか時間を取れない方も多いでしょう。そんな方のために通信講座もあるのでぜひ活用してみてはいかがでしょうか。