技術士試験対策講座

対策と学習スケジュール

第一段階 一次試験で抑えるべきポイント

技術士第一次試験は技術士になるための第1段階の試験と位置付けられています。
試験の内容は、大学のエンジニアリング課程(工学、農学、理学等)程度です。また、年齢・学歴・国籍・業務経歴等による制限はありませんので、多くの技術者・学生が技術士を目指すことを期待されています。

一次試験は、以下の3つの試験で構成されています。

  1. 基礎科目として、科学技術全般にわたる基礎知識
  2. 適性科目として、技術士法第4章(技術士等の義務)の規定の遵守に関する適性
  3. 専門科目として、受験者があらかじめ選択する一つの技術部門に係る基礎知識及び専門知識
一次試験 / 例年のスケジュール
受験申込書の配布開始 6月中旬頃
受験申込書の受付 6月下旬~7月初旬頃
筆記試験 10月中旬頃
合格発表 12月中旬頃

引用 : 日本技術士会

01

基礎科目

試験の内容。1群(設計・計画)、2群(情報・論理)、3群(解析)、4群(材料・化学・バイオ)、5群(環境・エネルギー)それぞれに関する5つの択一問題群から6問ずつ出題されます。そのうち3問ずつ、計15問選択します。

つまり、30問中15問選択して解答します。そして、50%以上の正答が求められます。問題レベルは大学専門課程程度です。

02

適性科目

第四章 技術士等の義務

適性科目は技術者倫理について、具体的には、技術士法第4章に記された「3義務2責務」などが問われます。
15問中15問全問を解答し、50%以上の正答が求められます。

この3義務2責務とは、以下のとおりで、二次試験の筆記試験でも口頭試験でも、意識した解答をします。早い段階から、アタマに叩き込んでおきましょう。

技術士法第4章

信用失墜行為の禁止

第44条 技術士又は技術士補は、技術士若しくは技術士補の信用を傷つけ、又は技術士及び技術士補全体の不名誉となるような行為をしてはならない。

技術士等の秘密保持義務

第45条 技術士又は技術士補は、正当の理由がなく、その業務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。技術士又は技術士補でなくなった後においても、同様とする。

技術士等の公益確保の責務

第45条の2 技術士又は技術士補は、その業務を行うに当たつては、公共の安全、環境の保全その他の公益を害することのないよう努めなければならない。

技術士の名称表示の場合の義務

第46条 技術士は、その業務に関して技術士の名称を表示するときは、その登録を受けた技術部門を明示してするものとし、登録を受けていない技術部門を表示してはならない。

技術士補の業務の制限等

技術士補は、技術士を補助する場合を除くほか、技術士補の名称を表示して当該業務を行ってはならない。(一部省略)

技術士の資質向上の責務

第47条の2 技術士は、常に、その業務に関して有する知識及び技能の水準を向上させ、その他その資質の向上を図るよう努めなければならない。

03

専門科目

専門科目は、機械、船舶・海洋、航空・宇宙、電気電子、化学、繊維、金属、資源工学、建設、上下水道、衛生工学、農業、森林、水産、経営工学、情報工学、応用理学、生物工学、環境、原子力・放射線の20部門に分かれます。このうち1つの部門を選んで受験します。

35問中25問選択して解答し、50%以上の正答が求められます。

一次試験は、過去問の出題率が高いため、反復トレーニングが効果的です。
そのうえで、法改正や最近の技術情報についても押さえておきましょう。

合格を目指すカギ 二次試験で押さえるべきポイント

技術士となるのに必要な技術部門についての専門的学識及び高等の専門的応用能力を有するかどうかを判定する試験であり、幅広い知識と高等な専門技術の豊富な経験による総合的な判断能力が求められます。

二時試験 / 例年のスケジュール
受験申込書の配布開始 4月初旬頃
受験申込書の受付 4月中旬~7月下旬頃
筆記試験 7月中旬頃
筆記試験合格発表 10月下旬頃
筆記試験合格発表 11月下旬 ~ 翌年1月
合格発表 翌年3月上旬

引用 : 日本技術士会

01

受験申込書につける実務経験証明書を書くときのポイント

実務経験証明書では、「技術士に相応しい業務をしてきたこと」を示します。5つの業務経歴を挙げ、その内容を書くことが求められています。

そこで、実務経験証明書を作成するにあたり、技術士の定義を確認しておきましょう。

「技術士とは、科学技術に関する高等の専門的応用能力を必要とする事項についての計画、研究、設計、分析、試験、評価又はこれらに関する指導の業務を行う者をいう。」と技術士法第2条に定義されています。

また、5つの業務経歴のうち1つを取り上げ、「業務内容の詳細」として720字で説明します。そのときにも、「技術士に求められる資質能力」を示すようにします。

この資質能力は「コンピテンシー」(※)と呼ばれています。
※専門的学識、問題解決、マネジメント、評価、リーダーシップ、コミュニケーション、技術者倫理

技術士はこれら7つのコンピテンシーをもとに、今後、業務履行上必要な知見を深め、技術を修得し資質向上を図るように、十分な「継続研鑽」を行うことが求められています。

02

筆記試験のポイント

筆記試験は、必須科目Ⅰ、選択科目Ⅱ、選択科目Ⅲに分かれます。
それぞれ、600字の原稿用紙3枚で、すべて合わせて5400字の記述が求められます。

選択科目Ⅱは、さらに選択科目Ⅱ-1(600字×1枚)と選択科目Ⅱ-2(600字×2枚)に分けられます。ここで、各科目で試されているコンピテンシーが異なることを意識しておくことが重要です。

必須科目Ⅰでは、専門的学識、問題解決、評価、コミュニケーション、技術者倫理の各能力が試されています。

選択科目Ⅱ-1では、専門的学識とコミュニケーションの各能力が試されています。

選択科目Ⅱ-2では、専門的学識、マネジメント、リーダーシップ、コミュニケーションの各能力が試されています。

選択科目Ⅲでは、専門的学識、問題解決、評価、コミュニケーションの各能力が試されています。

そのため、受験生は「技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)」を詳しく理解しておく必要があります。

「技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)」

専門的学識

技術士が専門とする技術分野(技術部門)の業務に必要な、技術部門全般にわたる専門知識及び選択科目に関する専門知識を理解し応用すること。

技術士の業務に必要な、我が国固有の法令等の制度及び社会・自然条件等に関する専門知識を理解し応用すること。

問題解決

業務遂行上直面する複合的な問題に対して、これらの内容を明確にし、調査し、これらの背景に潜在する問題発生要因や制約要因を抽出し分析すること。

複合的な問題に関して、相反する要求事項(必要性、機能性、技術的実現性、安全性、経済性等)、それらによって及ぼされる影響の重要度を考慮した上で、複数の選択肢を提起し、これらを踏まえた解決策を合理的に提案し、又は改善すること。

マネジメント

業務の計画・実行・検証・是正(変更)等の過程において、品質、コスト、納期及び生産性とリスク対応に関する要求事項、又は成果物(製品、システム、施設、プロジェクト、サービス等)に係る要求事項の特性(必要性、機能性、技術的実現性、安全性、経済性等)を満たすことを目的として、人員・設備・金銭・情報等の資源を配分すること。

コミュニケーション

業務遂行上の各段階における結果、最終的に得られる成果やその波及効果を評価し、次段階や別の業務の改善に資すること。

海外における業務に携わる際は、一定の語学力による業務上必要な意思疎通に加え、現地の社会的文化的多様性を理解し関係者との間で可能な限り協調すること。

リーダーシップ

業務遂行にあたり、明確なデザインと現場感覚を持ち、多様な関係者の利害等を調整し取りまとめることに努めること。

海外における業務に携わる際は、多様な価値観や能力を有する現地関係者とともに、プロジェクト等の事業や業務の遂行に努めること。

技術者倫理

業務遂行にあたり、公衆の安全、健康及び福利を最優先に考慮した上で、社会、文化及び環境に対する影響を予見し、地球環境の保全等、次世代に渡る社会の持続性の確保に努め、技術士としての使命、社会的地位及び職責を自覚し、倫理的に行動すること。

業務履行上、関係法令等の制度が求めている事項を遵守すること。

業務履行上行う決定に際して、自らの業務及び責任の範囲を明確にし、これらの責任を負うこと。

なお、合格答案の作成のコツは、以下の3点です。

  1. 問題文をよく読み問題で求められていることを正確に把握すること
  2. 問題で求められていることに対応させて、道筋立てて答案構成を作成すること
  3. 問題で求められている事項に対して、過不足なく、簡潔な文を書くこと
03

口頭試験のポイント

筆記試験の合格者は、約20分間の口頭試験に進めます。口頭試験に不合格の場合には、また筆記試験から受けなおす必要があるため、なんとしても口頭試験一発合格を手にしたいところです。

口頭試験の合格には、試験官の質問に簡潔に回答できるスキルを身につけることに加えて、知識や見識を深める必要があります。このため、筆記試験の受験後や合格発表後にも、継続的に試験対策することが重要です。継続的に勉強するためには、技術士になりたいという決意や熱意を持続させることが大切です。

あなたに合わせた学習スケジュール 具体的な勉強スケジュール

技術士試験で合格に必要な時間は、人によって様々です。なぜなら、受験資格に実務経験が求められているためです。
これが、司法試験や税理士試験など法律系資格のように、合格まで何時間必要とはっきり言える資格との違いです。

例えば、大学院に修了して、専門的学識を十分に備えた経歴をもつ受験生は、300時間程度の対策時間で合格できるかもしれません。また、公務員で行政官庁が発行する白書や統計資料を見る機会が多い受験生も合格率が高くなる傾向があります。
ですから、次の具体的なスケジュールは、あくまでも目安とお考え下さい。

Aタイプ

1次試験 / 15ヶ月目標

400時間程度。一次試験合格後は、続けてBタイプの勉強を行います。
Bタイプ

電気の知識はないが数学は得意、あるいは電気の知識はあるが数学は苦手

1,200時間程度。9ヵ月前から勉強を始める方=実務経験が十分で、かつ、しっかり対策したい人
Cタイプ

電気の知識があり、数学も得意・あるいは苦手ではない

600時間程度。6ヵ月前から勉強を始める方=実務経験が豊富で、日常的に技術士に相応しい業務をしている人
1次/15ヶ月
2次/9ヶ月
2次/6ヶ月
1.5~4時間勉強 / 1日

1~2

ヶ月目

3~4

ヶ月目

5~6

ヶ月目

直前期

基礎科目の理解
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
適性科目の理解
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
専門科目の理解
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
過去問演習
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
基礎・適正・専門の復習
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
2~5時間勉強 / 1日

1~3

ヶ月目

4~6

ヶ月目

7~9

週間前

筆記

終了後
コンピテンシー理解
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
実務経験証明書作成
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
筆記試験対策
(論文作法の修得)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
筆記試験対策
(論文作成)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
口頭試験対策
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
1.5~5時間勉強 / 1日

1~2

ヶ月目

3~4

ヶ月目

5~6

週間前

筆記

終了後
コンピテンシー理解
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
実務経験証明書作成
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
筆記試験対策
(論文作法の修得)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
筆記試験対策
(論文作成)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
口頭試験対策
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

まとめ 忙しい社会人はEラーニング教材を活用すると効果的

技術士試験は、一次試験で大学のエンジニアリング課程程度の基礎知識が問われます。
また、技術士であれば当然に身につけているべき技術者倫理が試されます。さらに、二次試験を受けるにあたって必要な技術部門全般の知識が問われます。

また、難関である二次試験では、複合的なエンジニアリング問題の本質を明確にするスキルが問われます。そのうえで、調査・分析することによって、その解決策を導き出し、遂行できる能力を確認されます。

つまり、「技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)」が身についていることを試されます。

二次試験は筆記試験と口頭試験からなりますが、まずは、一次試験と同様にインプットが不可欠です。

ですから、忙しい社会人はEラーニング教材を活用すると効果的。

技術士の試験対策は、テキストをもとに、講師のアドバイスを聞いて、『技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)』を身につけ、過去問を含む問題演習をすることが有効です。

仕事で多忙な社会人にとって、自宅でじっくり勉強する時間を確保するのは難しい日も多いでしょう。

そこでおすすめなのは、時間も場所も選ばずに試験対策を行えるEラーニング教材の導入です。
スマホ一台だけで完結するので、テキストを広げにくい公共機関での移動中や、突然ぽっかり空いた待ち時間などで試験勉強を進めることが可能です。

「仕事から帰ってくると疲れて何もできない」「家ではゆっくり休みたい」という方は、ぜひEラーニング教材の導入を検討してみてください。