危険物取扱者

危険物取扱者の甲種、乙種、丙種は何が違う?それぞれの特徴が3分でわかる!

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危険物取扱者は短時間で合格できる国家資格で、就職先が多く有資格者には手当てが支給されるという魅力あふれる資格です。危険物取扱者の資格には甲種、乙種、丙種の3種類があり、それぞれで取り扱える危険物の範囲が異なります。

この記事では、甲乙丙種の違いについて詳しくお伝えします。

危険物取扱者とは?資格を取得するメリット

危険物取扱者とは

ガソリンなどの可燃性物質・高圧ガス・高圧電流など危険なものは身近に多くあります。危険物取扱者は、これらの中でも「消防法で指定された危険物」を取り扱うことのできる国家資格です。

石油・ガソリン・灯油などは取り扱いを間違えると大規模な火災を招きかねないため、一定量を超える危険物を製造・貯蔵・取り扱う施設では、正しい知識を持った危険物取扱者の配置が義務付けられています。さらに、甲種・乙種では保安監督や点検業務も担うことができます。

危険物取扱者を取得するメリット

危険物取扱者は国家資格の中でもメリットの多い資格です。具体的にどのようなメリットがあるのか、大きく3つのポイントに絞ってご紹介していきます。

① 就職・転職のチャンスが広がる!
先に触れたとおり、消防法で定められた規定量を超える危険物を製造・貯蔵・取り扱う施設は、危険物取扱者の「配置義務」があります。そのため、こういった施設を管理する企業では危険物取扱者の有資格者を必要としています。求人案件も多いので、就職・転職のチャンスが広がります。

②国家資格の中では“取りやすい”資格
化学や物理の知識がある程度必要とされる危険物取扱者なので、理系国家資格の登竜門と呼ばれています。理系資格と聞くと文系の方は二の足を踏まれるかもしれませんが、ポイントを押さえて勉強すれば、1カ月もかからず十分に合格を狙える資格です。

③昇給・奨励金の対象になりやすい
危険物取扱者の配置義務がある企業では、有資格者を確保するために資格手当を支給する場合が多くなっています。また、入社時に資格を持っていなくても、危険物を取り扱うメーカーなどでは資格取得者に奨励金を支給する場合もあります。

危険物取扱者 甲乙丙種でできることの違い

消防法で定められた危険物は、さらにその危険度によって第1類~第6類に分類されています。同じ危険物取扱者であっても、甲乙丙種で取り扱うことのできる危険物は異なりますので、それぞれの資格で取り扱える危険物と、できることを見てみましょう。

甲種で取り扱える危険物とできること

甲種では第1類~第6類の危険物全てを取り扱うことができます。加えて、危険物取扱者としての実務を6カ月以上経験すると、「危険物保安監督者」になることもできます。また、危険物保安監督者になると、甲種防火管理者の有資格者としても認められるので、危険物取扱者資格の最上位に位置することになります。

乙種で取り扱える危険物とできること

乙種では第1類~第6類の中で、資格を取得できた類(の危険物)のみ取り扱うことができます。

免状の種類 取扱いのできる危険物
乙種 第1類 塩素酸塩類、過塩素酸塩類、無機過酸化物、亜塩素酸塩類、臭素酸塩類、硝酸塩類、よう素酸塩類、過マンガン酸塩類、重クロム酸塩類などの酸化性固体
第2類 硫化りん、赤りん、硫黄、鉄粉、金属粉、マグネシウム、引火性固体などの可燃性固体
第3類 カリウム、ナトリウム、アルキルアルミニウム、アルキルリチウム、黄りんなどの自然発火性物質及び禁水性物質
第4類 ガソリン、アルコール類、灯油、軽油、重油、動植物油類などの引火性液体
第5類 有機過酸化物、硝酸エステル類、ニトロ化合物、アゾ化合物、ヒドロキシルアミンなどの自己反応性物質
第6類 過塩素酸、過酸化水素、硝酸、ハロゲン間化合物などの酸化性液体

引用元:一般財団法人 消防試験研究センター

乙種は甲種と取り扱える危険物が違うだけでなく、できることも少し異なります。

例えば、危険物保安監督者に選任される条件が、「乙種危険物取扱者の取得している類において、製造所等で実務を6カ月以上経験すること」といったように、できることが限定されてきます。

また、危険物保安監督者になっても、甲種防火管理者の学識経験者として認められることはありません。

丙種で取り扱える危険物とできること

具体的には、ガソリン・灯油・重油・軽油・潤滑油・引火点130℃以上の第3石油類・第4石油類、動植物油類のみになります。甲種>乙種>丙種の順に取り扱うことのできる危険物が限定されるイメージですね。

さらに、無資格者への立ち合いができず、危険物保安監督者になることもできません。できないことだらけで不便な印象を持たれた方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。ガソリンスタンドなど丙種で取り扱える危険物の製造所等では活躍することができます。

危険物取扱者 甲乙丙種の試験内容の違い

受験資格が違う

乙種と丙種については、年齢や学歴などの受験資格がないので、誰でも受験することができます。

甲種は以下のいずれかの条件を満たすことが受験条件です。

【甲種危険物取扱者試験の受験資格】

対象者 大学等及び資格詳細 願書資格欄記入略称 証明書類
〔1〕
大学等において化学に関する学科等を修めて卒業した者
大学、短期大学、高等専門学校、専修学校、高等学校の専攻科、中等教育学校の専攻科、防衛大学校、職業能力開発総合大学校、職業能力開発大学校、職業能力開発短期大学校、外国に所在する大学等 大学等卒 卒業証明書又は卒業証書(学科等の名称が明記されているもの)
〔2〕
大学等において化学に関する授業科目を15単位以上修得した者
大学、短期大学、高等専門学校(高等専門学校にあっては専門科目に限る)、大学院、専修学校、大学、短期大学、高等専門学校の専攻科、防衛大学校、
防衛医科大学校、水産大学校、海上保安大学校、気象大学校、職業能力開発総合大学校、職業能力開発大学校、職業能力開発短期大学校、外国に所在する大学等
15単位 単位修得証明書又は成績証明書(修得単位が明記されているもの)
〔3〕
乙種危険物取扱者免状を有する者
乙種危険物取扱者免状の交付を受けた後、危険物製造所等における危険物取扱いの実務経験が2年以上の者 実務2年 乙種危険物取扱者免状
及び乙種危険物取扱実務経験証明書
次の4種類以上の乙種危険物取扱者免状の交付を受けている者
〇第1類又は第6類
〇第2類又は第4類
〇第3類
〇第5類
4種類 乙種危険物取扱者免状
〔4〕
修士・博士の学位を有する者
修士、博士の学位を授与された者で、化学に関する事項を専攻したもの(外国の同学位も含む。) 学位 学位記等(専攻等の名称が明記されているもの)

引用元:一般財団法人 消防試験研究センター

少しややこしいかもしれませんが、まとめるとこのようになります。

①大学院等で化学に関する学科を専攻し、卒業し、卒業証明書でそれを証明できる
②大学等で化学に関する授業科目を15単位以上習得し、単位修得証明書でそれを証明できる
③乙種危険物取扱者の資格を取得したのち、2年以上実務に従事している
④乙種危険物取扱者のうち、第1類または第6類・第2類または第4類にくわえて、第3類・第
5類を合わせた4つの免状を持っている
⑤修士・博士の学位を有する者

【受験資格のない方で甲種の取得を目指す方法】
・乙種のうちいずれか一つを取得後、2年の実務を積む
・乙種のうち④の組み合わせに該当するように、4つ以上の免状取得を目指す

もちろん、大学院や大学に入学して化学を専攻するという方法もありますが、一番費用と期間を抑えられるのがこの方法になります。

試験科目が違う

甲乙丙種の試験に共通しているのは「3つの受験科目があること」と「3科目全てにおいて60%以上正解することが合格基準」ということです。つまり、1科目でも60%に満たない科目があれば、他がどれほど高得点でも不合格です。

また、受験科目の3科目は甲乙丙種で内容が異なりますので、詳しく見ていきましょう。

<試験概要>

甲種の試験科目 出題数 出題形式 試験時間 合格率(令和元年)
危険物に関する法令(法令) 15問 五肢択一のマークシート方式 2時間30分 39.6%
物理学および化学(物化) 10問
危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法(性消) 20問
乙種の試験科目 出題数 出題形式 試験時間 合格率(令和元年)
危険物に関する法令(法令) 15問 五肢択一のマークシート方式 2時間 44.7%
物理学および化学(物化) 10問
危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法(性消) 10問
丙種の試験科目 出題数 出題形式 試験時間 合格率(令和元年)
危険物に関する法令(法令) 10問 四肢択一のマークシート方式 1時間15分 50.4%
燃焼および消火に関する基礎知識(燃消) 5問
危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法(性消) 10問

引用元:一般財団法人 消防試験研究センター

<受験科目一部免除についての条件>
甲種については受験科目の一部免除はありませんが、乙種・丙種については一部免除条件があります。
①乙種の免除条件と試験内容
乙種は丙種に比べて免除条件に大きなメリットがあります。その最たるものがこれです。
「乙種危険物取扱者免状を有する者」は、試験科目が「危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法(性消)」のみになります。ちなみに試験時間は35分です。

他に火薬類の免状を持っていると一部免除になりますが、条件が厳しいので詳細は割愛します。

②丙種の免除条件と試験内容
「5年以上消防団員として勤務していること」に加えて、「消防学校の教育訓練のうち基礎教育または専科教育の警防科を修了している」ことが条件です。

該当すると「燃焼および消火に関する基礎知識(燃消)が免除され、試験科目は以下のとおりです。

試験科目 問題数 試験時間
危険物に関する法令(法令) 10問 1時間
危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法(性消) 10問

危険物取扱者を取るなら乙種4類がおすすめ

危険物取扱者乙種には1類~6類まであり、その違いは「扱える危険物の種類」が異なることです。例えば、乙4種試験に合格すると、ガソリンや重油、軽油、灯油などの引火性液体の取り扱いが認められます。ガソリンスタンドやタンクローリーの運転手、化学メーカーの製造者など、転職に有利に働くため、乙4種は危険物取扱者のなかでも一番人気の高い資格です。そのため、最初に選ぶ種類として、乙種4種はおすすめできます。

また、乙種試験のうち1つでも免状を取得すれば、他の乙種試験が1科目だけになります。つまり、1つだけ頑張って合格すれば、乙種危険物取扱者試験の全類を合格するのも夢ではありません。

さらに、最終的には甲種を取得したい人も、乙種全類を取得することによって、甲種の受験資格を得ることができます。

まとめ

危険物取扱者は配置義務があるので、就職にも有利な資格です。取りやすい国家資格で、昇給にも繋がりやすく、ポイントを押さえて勉強すれば短期間で合格を目指すことができます。

また、乙種に限っていえば、1つを取得すれば試験科目が大幅に免除されるという、メリットだらけの資格です。乙種4類からステップアップが一番の近道です。資格取得にチャレンジしたい方にとてもおすすめなので、この機会に挑戦されてみてはいかがでしょうか。

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