建築物環境衛生管理技術者とは、ビルの環境や衛生管理が維持できているかを指導、監督する資格です。ビル管理の実務経験が必要な上位資格ですが、どれくらいの勉強時間で合格できるのでしょうか?こちらでは、建築物環境衛生管理技術者の難易度と必要な勉強時間、合格に向けた効果的な勉強方法について解説します。
目次
建築物環境衛生管理技術者の合格に必要な1日の勉強時間
まずは、建築物環境衛生管理技術者の難易度と、合格に必要な勉強方法について見ていきましょう。
建築物環境衛生管理技術者の難易度
この試験の難易度は過去4年間の平均で18.8%と、国家試験の中でも難しい資格といえます。試験科目が7科目、問題数が全180問とボリュームがあるため、知識だけでなく体力も試される試験です。
過去4年間の試験結果
第46回 (平成28年) |
第47回 (平成29年) |
第48回 (平成30年) |
第49回 (令和元年) |
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受験者数 | 10,394人 | 10,209人 | 11,069人 | 10,146人 |
合格者数 | 2,956人 | 1,387人 | 2,339人 | 1,245人 |
合格率 | 28.4% | 13.6% | 21.1% | 12.3% |
引用元:厚生労働省
合格基準は各科目40%以上の得点、かつ総合で65%以上の正答率で合格となります。ただし、過去問と類似した問題が半数以上も出題されるので、過去問をいかに攻略できるかが合格を左右するといえるでしょう。
建築物環境衛生管理技術者の勉強時間
試験に合格するためには、1日2~3時間の勉強で合計90時間程度は必要になるでしょう。期間にすると半年~10か月ほどかかるので、長期的に勉強に取り組む必要があります。
このペースは解説を読む時間も含まれているので、1日あたりの勉強時間を増やせば短期間の合格も可能といえます。しかし、問題数が多いうえに、暗記することが多いため、くり返し勉強して定着させることが重要です。最低でも1ヶ月、できればそれ以上と、余裕を持った勉強スケジュールを組むことをおすすめします。
建築物環境衛生管理技術者ってどんな試験?
建築物環境衛生管理技術者試験の試験は年1回、全国の試験会場で行われます。試験科目は7科目で、試験時間は午前3時間(90問)、午後3時間(90問)の合計180問が出題されます。
次に、試験に関する詳細を紹介します。
試験概要
建築物環境衛生管理技術者の試験日や合格率などは以下の通りです。
試験日 | 毎年10月の第一日曜日 |
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受験費用 | 13,900円 |
合格基準 | 各科目40%以上で、合計で65%以上の117問以上の正解 |
試験形式 | 筆記試験(5択のマークシート) |
受験資格 | 実務経験2年以上 ※実務経験に該当する業務は下記のページ参照 https://www.jahmec.or.jp/kokka/ |
試験地 | 札幌市、仙台市、東京都、名古屋市、大阪市 及び 福岡市 |
試験科目 |
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引用元:日本建築衛生管理教育センター
問題数や試験範囲が広く、合格率も18.8%程度と難易度が高いように思えますが、効率のよい勉強を行えば、独学でも十分に合格を狙える資格です。
一度資格を取得すれば、転職や年収アップにつながる強い武器になりますので、今から正しい試験対策を進めていきましょう。
建築物環境衛生管理技術者の効率的な勉強方法
建築物環境衛生管理技術者はビル管理の上位資格ゆえに、ビル管理に従事している方が取得するはずです。働きながら勉強するには、限られた時間の中で効率的に勉強することが求められます。そこで、勉強できる時間を最大限に活用できる、おすすめの勉強方法を紹介します。
まずは過去問でレベルを把握
ビル管理の実務経験が受験資格ということもあり、試験内容の知識はある程度持っていることが予想されます。そのため、まずは過去問を解き、どれくらい解けたかによって、必要な勉強時間を把握することから始めましょう。分からない問題が多いなら勉強時間を増やす、予想以上に解けた場合は間違えた問題に集中するなど、やるべきことが明確になります。
また、ビル管理の関連資格を取得している場合、その試験と同様の問題が出題されることがあります。先に勉強している分、勉強時間を短縮できるので、より合格に近付くでしょう。他の資格と類似している試験内容は、以下のものが挙げられます。
・第二種電気工事士…建築物の環境衛生の設問
・第三種電気主任技術者…色温度、光源、光束の計算問題、ベルヌーイの定理など
・第二種冷凍機械責任者…空気環境の調整の設問
・二級ボイラー技士、消防設備士甲種…給水および排水の管理の設問
・ガス溶接、アーク溶接…建築物の構造概論の設問
過去問をメインにくり返し勉強する
建築物環境衛生管理技術者の試験は過去問と似た問題が多いため、過去問を中心に勉強することが基本的な対策になります。過去問はただ単に解くだけでなく、「6年分をくり返し解く」ことが合格のポイントです。
そして、過去問を解く際は、前半と後半に区切ることも大切です。180問を一気に勉強するよりも、半分に分けることで内容の理解と暗記が並行してできるようになります。また、内容を暗記するだけではなく、問題の理解度を上げることも重要です。間違った問題をメモしておく、意味が分からない用語を調べるといった工夫を取り入れましょう。
また、独学で使う教材は、過去問集に近い「ビル管理士試験模範解答集(通称:赤本)」を使うと効果的です。
■ビル管理士試験模範解答集 2020年版
出版社:日本教育訓練センター
「ビル管理士試験模範解答集」には、2014年~2019年の6年間の建築物環境衛生管理技術者試験の全問題と詳細な解説があります。通称赤本と呼ばれ、この1冊があれば十分合格できると評判の高い過去問題集です。
自分の言葉で説明ができるくらいに理解するまで、繰り返し解くことをおすすめします。選択肢がなくても答えがわかるレベルになれば、合格できるでしょう。
基本は過去問題集を繰り返し解くことですが、初学者で過去問題の解説だけでは物足りない方は、補足として下記のようなテキストを利用するのも良いでしょう。
■ビル管理士試験合格テキスト
出版社:コンデックス情報研究所
図や表、イラストが多く、カラー図解されているので、わかりやすいテキストです。しかし、この一冊で合格するのは難しいため、あくまで補足本として利用するといいでしょう。このテキストでアンダーラインが引かれている部分は重要箇所になっており、出題傾向が高いと合格者の間で評判です。特に初学者は初めにこのテキストを読み、理解を深めてから過去問題に進むことをおすすめします。
そして、過去問題もテキストの解説を読んでも理解できないという方は、eラーニングを活用するのも良いでしょう。
eラーニングを活用する
過去問の解説を読んでも理解できない、独学では勉強が続かないという方も少なくないでしょう。そのような方は、動画視聴とテキストで勉強できるeラーニングの活用がおすすめです。
eラーニングは、専任の講師の分かりやすい解説動画を視聴できるので、文章の解説を読むよりも理解しやすくなります。テキストは重要なポイントを網羅しているので、問題数が多い試験でも効率よく勉強できるでしょう。テキストは分かりやすい図解が豊富にあるので、文章よりもイメージしやすく、理解度がさらにアップするのもメリットの1つです。
また、スマホでも動画視聴が可能なので、通勤時間や休憩時間など、空いた時間に勉強できます。勉強の進捗状況をeラーニングのシステム上で管理できるので、問題数が多い試験勉強のスケジュール管理に役立ちます。日常業務の合間に勉強する方は、eラーニングを上手に活用しましょう。
建築物環境衛生管理技術者は過去問を効率的に勉強しよう
建築物環境衛生管理技術者の試験は、難易度が高く、問題数が多いのが特徴です。過去問と似た問題が多く出題されるので、過去問をくり返し勉強し、内容をいかに暗記できるかが合格につながります。独学で勉強する際は赤本を使い、前半後半に分ける、暗記だけでなく内容を理解するなど勉強方法に工夫が必要です。
必要な勉強時間は合計90時間程度であるため、1日2~3時間くらいずつ勉強の時間を取れるよう、前もってスケジュールを引いておきましょう。
独学だけでの勉強が不安な方や、移動中もスマホで勉強したい方は、eラーニングを利用することもおすすめです。