建築物環境衛生管理技術者

令和4年から兼任条件が緩和!ビル管理士の選任と兼任の違いとは?

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建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)は、高層ビルや商業施設、ホテルなど、一定の基準を満たした特定建築物において、有資格者1人を選任する義務があります。

ただし、令和4年4月に法改正があり、所有者等が業務の遂行に支障がない場合は複数の特定建築物を兼任することも可能となりました。

ここでは、建築物環境衛生管理技術者の職務と選任義務、特定建築物の条件、兼任についての注意事項について解説いたします。

建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)の選任義務と職務

建築物環境衛生管理技術者を選任する理由と、有資格者の職務について見ていきましょう。

建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)の選任義務とは?

建築物環境衛生管理技術者とは、特定建築物を環境衛生上、適性に利用できるように維持管理や監督業務に携わることができる資格です。「建築物における衛生的環境の確保に関する法律(ビル管法又は建築物衛生法)」において、特定建築物1つにつき1人を選任することが法律で定められています。

特定建築物に有資格者を選任するといっても、「配置」とは概念が異なります。建築物の所有者との間に委任などの法的な関係があれば、必ずしも常駐する必要はありません。

選任義務がある特定建築物

有資格者の選任義務がある特定建築物とは、特定用途で使用する床面積が3,000㎡以上、学校で8,000㎡以上の建築物です。特定用途は、興行をおこなう施設、百貨店、集会場、美術館、遊技場、小売りやサービスを提供する店舗、ホテルなどがあげられます。

ただし、病院や老人ホーム、工場、駐車場、共同住宅は対象外です。

建築物環境衛生管理技術者の職務

特定建築物の環境衛生上の維持管理に関わる業務において、指導監督を行うのが建築物環境衛生管理技術者の職務です。具体的な業務内容は、以下のものがあげられます。

NO 業務内容
1 建物内の巡回と検診
2 建築物環境衛生管理基準に関する空気測定・水質検査・給排水検査
3 建築物の維持管理業務の計画作成、計画の実施
4 維持管理に関わる問題点の改善や修繕の提案
5 修繕計画の作成や修繕工事の施工管理
6 建築物維持管理報告書の作成、提出
7 建築物の所有者と入居するテナントの橋渡し
8 建築物に出入りする清掃や害虫駆除業者、公官庁との折衝
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このように、建築物そのものの維持管理業務に加え、業者やテナント、公官庁などの対応も建築物環境衛生管理技術者の重要な仕事です。

建築物環境衛生管理技術者の兼任とは?

建築物環境衛生管理技術者の兼任とは?
特定建築物1つにつき、建築物環境衛生管理技術者を1人「選任」することが基本です。

しかし、兼任することも可能です。つまり、1人で複数の建築物を管理するということです。さらに、令和4年4月より「兼任」で管理する条件が緩和されました。

兼任条件が緩和された理由

兼任の条件が緩和された理由は、主に2つあります。

1つは業界全体の慢性的な人手不足のためです。都心部などを中心に大規模なビルや商業施設の建設が多く進み、ビル管理士が不足していると言われています。

もう1つがICT(情報通信技術)が発達し、ビルの管理が以前より自動化されたためです。最近では監視カメラの映像を遠隔地から確認できたり、設備管理や整備も機械化や自動化が進んでいます。そのため、ある程度は機械に管理を任せることが可能になり、兼任でも問題がないとされたということです。

兼任する場合の注意点

兼任の条件が緩和されたとはいえ、兼任には注意する点があります。

兼任は業務に支障がない範囲で行う

まず大切なのは、兼任したことでそれぞれの業務が疎かにならないようにすることです。

ビル管理士は建物が安全に運用、管理されるための資格です。もし建物に何かトラブルがあった際に、兼任していたために対応ができなかったり遅れてしまったりすることがあってはなりません。

物件の所有者等に確認をとる

兼任をする場合、物件の所有者に兼任であることを報告し、許可をもらわなければいけません。

また兼任ができる理由についても所有者等に説明する必要があるでしょう。例えば、「ICT化によって業務負担が軽減された」などと説明し、納得してもらうことが必要です。

兼任できる建築物の数に制限はない

令和4年の法改正で兼任の条件が緩和されましたが、1人あたりの兼任できる建物の件数に関する条文はありません。

ただし、1人のビル管理士が同時に管理できる建物の数はそう多くはないでしょう。兼任をする場合は、無理のない範囲で行うことにしましょう。

それでは、ビル管理士として選任・兼任される方法について見ていきましょう。

ビル管理士として選任・兼任される方法

建築物環境衛生管理技術者を取得し、ビル管理士として選任、または兼任されるには2つのルートがあります。

まずは、特定建築物の所有者に雇用され、直接選任を受ける方法です。自社ビルを持つ企業の社員で、建築物環境衛生管理技術者の有資格者を選任するケースにあたります。

また、ビル管理の委託をおこなう業者に就職することでも可能です。特定建築物を多く所有する大手企業が持つビル管理専門の系列会社や、ビル管理者の選任を委託する業者などがあげられます。

建築物環境衛生管理技術者の資格は試験合格率が10%〜20%と難易度が高く、ビルメンテナンスにおける上位資格です。有資格者は会社からの評価も高く、年収アップが期待できるうえに、転職をする際も有利に働きます。

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管理の経験があるほど評価が上がるため、長い目で見ても将来性のある資格といえるでしょう。

ビル管理士の選任と兼任の違いを理解して資格取得を目指そう

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建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)は、特定建築物の衛生的環境を確保することが目的の資格です。特定建築物ごとに有資格者を選任する義務があり、環境衛生上必要な維持管理、外部の業者や公官庁の折衝などの幅広い職務を行います。

そして、令和4年よりビル管理士の兼任の条件が緩和されました。人手不足の解消やICT化が進んだためではありますが、兼任で業務を行う場合は無理のない範囲で取り組みましょう。

ビル管理士として選任・兼任を受けるには、自社ビルを持つ企業や、同系列のビルを管理する会社、企業からの委託を受ける会社に就職する必要があります。ビルメンテナンスの上位資格ということもあり、待遇面や転職でも有利に働きます。

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年齢を重ねても活躍できるので、ビルメンテナンスに携わる方は建築物環境衛生管理技術者の資格取得を検討しましょう。

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