技術士はさまざまな科学技術に関する最高レベルの資格です。
多くの部門に分かれていますが、この記事では【農業部門】についてを中心に、どのような資格なのか、概要や求人例についてご紹介します。
農業に関する資格ではありますが、農作業のために生かすという資格というよりは、建設業界で農業関連施設の設計施工管理や、技術者に対するコンサル業務などで活かせる資格ですので、詳細を確認ください。
技術士【農業部門】とは?
技術士と、技術士の中でも農業部門がどのようなものかについて解説します。
資格概要
技術士とは、ひとことで言うと文部科学省に認められた科学技術分野に関するスペシャリストです。
技術に関する研究・開発・設計・評価や、他の技術者の指導などを行います。 技術士には、農業部門を含めて21の技術部門があります。
そして農業部門の中でも、「畜産」「農芸化学」「農業土木」「農業および蚕糸」「農村地域計画」「農村環境」「植物保護」の7つの専門科目があります。
試験内容
第一次試験は、技術士共通の基礎科目と適性科目、そして先ほど解説した専門科目があります。すべて筆記試験でマークシート式です。
基礎科目 科学技術全般にわたる基礎知識を問う問題
適性科目 技術士法第四章(技術士等の義務)の規定の遵守に関する適性を問う問題
専門科目 受験者があらかじめ選択する1技術部門に係る基礎知識及び専門知識を問う問題
参照:日本技術士会
第二次試験は、論文記述の筆記試験と口頭試験があります。
筆記試験
総合技術監理部門以外の技術部門
必須科目:「技術部門」全般にわたる専門知識、応用能力、問題解決能力及び課題遂行能力に関するもの
選択科目:「選択科目」についての専門知識及び応用能力並びに問題解決能力及び課題遂行能力に関するもの
総合技術監理部門
必須科目:「総合技術監理部門」に関する課題解決能力及び応用能力を問う問題
選択科目:上記、総合技術監理部門以外の技術部門の必須科目及び選択科目
口頭試験(筆記試験合格者のみ)
技術士としての適格性等について口述により行います。
参照:日本技術士会
なお、これらのについては、公式サイトから過去問題をダウンロードすることが可能です。ただし、問題と解答のみで、解説は載っていないのでご注意ください。
技術士【農業部門】の資格を活かせる場所
技術士は理系資格の中でも難易度が高い資格で、資格所持者が少ないので需要があります。 ここでは、技術士農業部門の受験者8割を占める農業土木科目を活かせる場所について解説します。
活躍できる場
冒頭でも触れましたが、技術士の農業部門の資格を活かせる場は、公共系の建設技術者やコンサルタント職がメインです。
田や畑での仕事をするのであれば、技術士の資格は特に必要ないでしょう。 建設業務の中でも農業に関連するのは公共系の案件が多いため、公共機関が元請になる安定的な会社に需要があります。
求人例
技術士の農業部門の資格が活かせる求人例をいくつかご紹介します。具体的な企業名は伏せますが、ほとんどの企業の求人内容は相場に沿っているのでイメージはつかめると思います。
【農業土木設計技術者】
農業土木設計技術者の求人が複数出ています。
具体的な仕事内容の一例は、官公庁・地方自治体から受注した農業土木分野の案件における企画、調査、計画等のコンサルタント業務です。
農業環境の改善を目的として、用・排水路やため池などの施設の調査・診断を行い、保全計画を策定します。またそれと同時に施設の更新設計に従事します。
技術職は転勤が少ない、もしくはない点もメリットでしょう。経歴が重要ですが、技術士資格も確実に優遇され、年収アップにつながります。
【建設コンサルタント】
技術士の農業部門は建設コンサルタントの業務にも活かせます。建設の内容にもよりますが、農業土木に関連する建設物もあるためです。
建設コンサルタントの業務内容は、「官公庁や民間の都市計画、街づくりに関するコンサルタント業務」「アセスメントや地質などの調査、分析業務」「基本計画、概略設計、詳細設計業務」「施工監理、工程、品質管理業務」などです。
民間の建設案件を扱っている企業よりは相場として年収が少なめですが、案件が安定しているというメリットがあります。
【技術士】
単純に「技術士」そのものの求人例も多くあります。技術士の仕事内容の一例は、官公庁より依頼を受けた建造物の設計や道路、河川等の測量、設計などです。
応募は技術士資格取得者(建設・農業土木・森林土木等部門)で経験者に限るとなっているなど、技術士資格取得者限定になっている求人も多いことが特徴です。
【技術指導】
技術指導の仕事内容の例は、官公庁および県市町村等から発注される公共事業(土木設計業務)における技術指導です。技術士の農業部門の農業土木が必須資格となっていることも多く見られます。
技術士【農業部門】の試験対策
ここでは、技術士【農業部門】の試験対策方法について、参考書を使う方法と通信講座を使う方法の2つを解説します。
参考書を使う方法
技術士の参考書は書店でも売られています。参考書は第一次試験、第二次試験と分かれているケースが多く、そこからさらに第一次試験の基礎科目のみ、専門科目のみなど、細分化されていることが多いです。
特に専門科目に関しては各専門科目によって問題が全く違うので細かく分かれており、農業部門に関しても専用の参考書が販売されています。
通信講座を使う方法
技術士【農業部門】の試験対策は通信講座でも可能です。ここではSATが提供する技術士試験対策講座を例に紹介します。
SATの技術士講座は動画教材とテキスト教材の2つを使って学習を進めます。
農業部門の場合は第一次試験対策、二次試験対策に分かれており、さらに二次試験対策は「筆記試験・添削講座」と「口頭試験対策講座」に分かれています。なお、その両方がまとまった「パーフェクト講座」も取り扱っています。
技術士は第一次試験よりも第二次試験の方が難しいと言われています。第一次試験の合格率が30〜50%程度に対して、第二次試験は10%前後しかないためです。
第二次試験が難しいのは論文記述式の筆記試験があるからです。SATの「筆記試験・添削講座」では専門の講師による添削サービスを行なっています。何回もやり直しをすることで、記述問題攻略の糸口が見えてくるでしょう。
技術士【農業部門】を取得しよう
技術士の農業部門の資格を取得することで、職業選択の幅が広がります。技術士資格は理系資格の中でも高難度で、技術士資格がないと応募できない求人もあります。
農業部門の技術士は農業に携わるというよりは、建築業界の技術者やコンサルタントとして働くケースが多いといえます。建設の中でも農業部門の技術が活かせるのは、官公庁や県市町村等から発注される公共事業が中心です。
民間が元請になる案件よりも安定的に発注があるので、安定性という意味でもメリットがあるといえるでしょう。