技術士は、技術者として最高峰の資格ですが、取得することでどういったメリットがあるのか知りたい方は多いのではないでしょうか? 実際のところを言うと、キャリアアップなどが狙えるだけでなく、転職や独立で有利に働きます。
高い難易度の資格ですが、取得することで技術者側と企業側の両方に大きなメリットをもたらします。 そこで今回は、機械部門に注目して技術士の資格を取得するメリットについて解説します。
目次
技術士の資格を保有するメリット
まず、技術士の資格を保有するメリットについて解説します。
技術者が技術士の資格を有することで得られるメリットは、次のとおりです。
No. | 技術士の資格を保有するメリット |
---|---|
1 | 高い信頼と評価を得られる |
2 | 転職・独立で有利に働くため将来性がある |
3 | 年収アップを目指せる |
4 | 優秀な技術士との人脈が生まれる |
5 | そのほかの国家資格を取得する際に有利になる |
上記が技術士の資格を保有するメリットです。
技術士は、技術者として最高峰の資格であるため、取得することで高度な専門知識と応用的な問題解決能力を有していることの証明につながります。
そのため、転職・独立では有利に働き、勤めている企業でもキャリアアップによる年収の増加が狙えるでしょう。ほかの資格を取得する際に科目免除を受けられるのも魅力の1つです。
技術士は「法人側」のメリットも大きい
技術士は、五大国家資格の1つと言われるほど代表的で信頼度の高い資格です。技術者としての豊富な知識と経験、倫理の全てを持ち合わせていないと技術士の資格は取得できないため、資格を取得することで技術士を雇用する企業側にも大きなメリットがあります。
それは「技術士を雇うことで信頼度がアップし、技術コンサルタントといった仕事の幅が大きく広がる」といった点です。
公共事業の入札では、技術士をどの程度雇っているかで評価につながる場合があります。 そのため、技術士を多く雇っていれば官公庁の大きなプロジェクトにも携わる機会が生まれます。
また、技術士は、高度な専門知識と応用的な問題解決能力を有しているため、幅広い仕事に対応できるのも企業としては魅力につながります。 技術士としての評価と信頼の高さが技術者と企業の両方にメリットをもたらしているのです。
技術士機械部門を取得するメリット
技術士にはさまざまな部門があり、その中でも機械部門を取得するメリットは、次のとおりです。
No. | 機械部門を取得するメリット |
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1 | 建設業法における一般建設業を営む際に、機械設備設置工事業※1、管工事業※2に関しては、営業所ごとに設ける専任技術者に従事できる。現場で工事する際は機械設備設置工事※1、管工事※3の主任技術者として従事できる。 |
2 | 建設業法における特定建設業を営む際に、機械設備設置工事業※1、管工事業※3に関しては、営業所ごとに設ける専任技術者に従事できる。現場で工事する際は、機械設備設置工事※1、管工事※3の監理技術者に従事できる |
3 | 建設コンサルタントとして部門登録する際に専任技術管理者として従事できる |
4 | 消防設備士試験(第1・2・3・5・6類)と労働安全コンサルタント(機械)の科目が免除される |
5 | 鉄道事業法より、設計管理者(車両)として従事できる |
6 | 消防設備点検資格者の受講資格を得られる |
※1:全科目該当 ※2:熱工学・流体工学の科目のみ該当
※3:熱・動力エネルギー機器、流体機器の科目のみ該当。旧科目の場合は、熱工学・流体工学が該当。
上記が技術士機械部門を取得するメリットです。 さらに、技術士の資格に挑戦していく中で自分自身の知識の偏りや薄さに気づかされ、技術者としての向上心が強くなるといったメリットもあります。
技術士の資格は「高度な専門的応用能力を有していることの証明」になり、非常に役立つので積極的に資格取得を目指しましょう。
メリットが多いのに技術士の資格を取らない人が多い理由は?
メリットの多い技術士ですが、意外にも資格を取らない人が多いのが現状です。ここでは、技術士の資格を取らない人が多い理由について解説します。
知名度が低い
技術士の資格を取らない人が多い1つ目の理由は「資格の知名度が低い」という点です。
技術士は、幅広い仕事に従事できますが「技術士の仕事といえばこれ」と言えるものがないため、資格自体の知名度が高くないことが特徴です。
「技術士が何をするのかわからない」 「知名度が低いから資格を取得しても役に立たない」 このように思われがちですが、技術士の仕事は大いに役立ちます。
実務経験なども資格取得には必要なので、ほかの技術者よりも確実に知識や経験が豊富だといえます。
技術士のことを知らない人からは「その資格は役に立つの?」と思われるかもしれませんが、高度な専門性を有しているため、仕事には大きく役立つでしょう。
実務経験が必要なため難易度が高い
そして、2つ目の理由が「受験資格に長い実務経験が必要でそもそも受験するのも大変」という点です。
技術士の第一次試験は、実務経験が不要で合格率が30%〜50%程度ですが、第二次試験は実務経験が必須で、合格率は10%となっています。
必要な実務経験としては、次のとおりです。
以下のどちらかをクリアすること | |
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No. | 条件と実務経験 |
1 | 一次試験を合格すること |
2 | 日本技術者教育認定機構(JABEE)の認定コースを修了すること |
以下のうちどれかを満たすこと | |
1 | 技術士補に登録した後、指導技術士のもとで4年(総合技術監理部門は7年)を超える実務経験を積む |
2 | 職務上の監督者の指導のもとで4年(総合技術監理部門は7年)を超える実務経験を積む |
3 | 指導者や監督者の有無・要件を問わず7年(総合技術監理部門は10年)を超える期間の実務経験を積む |
このような資格取得の難易度の高さが取得者の少ない理由につながっています。
まとめ:技術士を取得するメリットはとても大きい
ここまで、機械部門に注目して技術士の資格を取得するメリットや、資格を取らない人の理由について解説しました。
技術士は難易度がとても高い資格ですが、取得することで企業側から高い信頼と評価を得られますし、技術士を雇用する企業側も信頼度がアップします。
機械部門では、該当する事業場で主任技術者、専任技術者、監理技術者として従事できます。 また、転職や独立で有利になり、キャリアアップを狙えるだけでなく、そのほかの国家資格を取得する際に科目免除を受けられる場合があるのも魅力的です。
第一線で働いている技術士と関係を結ぶことも可能なので、さらなる知識と技術の向上も狙えます。決して一筋縄ではいかない資格ですが、積極的に取得を狙いましょう。