一陸特(第一級陸上特殊無線技士)は、IoTや5G時代に向けて需要が高まっている国家資格です。今回は、無線技術者としての最上位資格である、一陸特(第一級陸上特殊無線技士)の難易度や勉強法、おすすめの参考書を紹介します。
目次
一陸特とは
一陸特とは一級陸上特殊無線技士の略称で、陸上にある無線局にて無線設備の技術的な操作を行う国家資格です。一陸特の仕事内容は以下のとおりです。
第一級陸上特殊無線技士 (一陸特)の仕事内容
- 多重無線設備(携帯電話基地局など)やテレビ中継局の施工や保守・点検業務
- テレビ放送事業用の FPU、STL、SNG などの操作
- 二陸特・三陸特の操作の範囲に属する操作
一陸特は、30MHz以上の電波を使用する空中線電力500kW以下の無線機器を取り扱うことが可能です。ただし、放送局の無線設備は取り扱うことができません。
次に一陸特の試験内容を見ていきましょう。
一陸特の試験内容
一陸特は、無線工学と法規の2科目を受験します。
試験問題数と合格点などは以下のとおりです。
種別 | 科目 | 問題数 | 問題形式 | 満点 | 合格点 | 時間 |
---|---|---|---|---|---|---|
一陸特 | 無線工学 | 24 | 多肢選択式 | 120 | 75 | 180分 |
法規 | 12 | 60 | 40 |
次に一陸特の合格率から難易度を見てきましょう。
一陸特の合格率
一陸特の直近の5年間の合格率は以下のとおりです。
受験年度 | 合格率 |
---|---|
平成29年度 | 31.6% |
平成30年度 | 37.4% |
令和元年度 | 34.6% |
令和2年度 | 42.6% |
令和3年度 | 37.9% |
一陸特の合格率はおおよそ30%~40%と非常に難しい試験です。一方、一陸特と比較して、二陸特の合格率は70~80%%以上、三陸特は80~90%%以上です。つまり、突出して一陸特の試験は難易度が高いといえます。その理由は「無線工学」の科目で出題される計算問題の複雑さにあります。
例えば、電気回路の問題だと、二陸特、三陸特で出題されるのは「抵抗だけ・コイルだけ」の単純な回路ですが、一陸特では、1つの回路に「抵抗・コイル・コンデンサ」が組み合わさった、複雑なRLC 回路の電流を求める問題が出題されます。また、「対数 (log)」を用いた計算問題もあるため、特に計算が苦手な方は対策が必要です。
「インピーダンス」 や「対数」など計算問題に特化した参考書を購入し、時間をかけて苦手を克服しましょう。「法規」の科目に関しては、二陸特・三陸特とさほど変わらないため、特別な対策は不要といえます。
さらに詳しく!
一陸特の合格率はどれくらい?資格を取得するための勉強法とは
一陸特の合格を目指せる参考書
やさしく学ぶ 第一級陸上特殊無線技士試験 改訂2版 (日本語)
著者(出版社):吉村 和昭 (オーム社)
Amazon特殊無線技士資格参考書ランキング1位で、合格者からの評判も高い参考書です。問題集の解説文や他の参考書では理解できなかった方が本書によって理解できたという口コミが多く寄せられています。多くの独学受験者を合格に導いた良書といえます。最近の出題傾向にも対応しているのが安心です。
第一級陸上特殊無線技士 試験問題集 第3集
著者(出版社):吉村 和昭 (東京電機大学出版局)
参考書でも定評のある吉村 和昭さんによる、充実した解説があり、最新の動向も分析された問題集です。間違いやすい問題には、詳細な過程が示され、詳しい解説があるので、実力が身につきます。合格者の口コミによると本番の試験でも類似した問題が多く出題されていたとのことです。
第一級陸上特殊無線技士国家試験 計算問題突破塾
著者(出版社):吉村 和昭 (東京電機大学出版局)
「無線工学」の計算問題が苦手な方に最適な参考書です。徹底的にわかりやすく解説されています。解答するためのヒントや詳しい計算過程も紹介されているので、複雑な計算でも解けるテクニックが詰まっています。
第一級陸上特殊無線技士問題・解答集 2018,2019年版: 過去8年分のよく出る問題を厳選
出版社: QCQ企画
過去8年分のよく出る問題を厳選して収録されています。全問に解説やポイントがあり大変わかりやすいと評判です。過去問題を効率よく学習するための進捗度、習熟度がすぐわかる3回分チェック欄があります。また、正解を隠せる赤い透明下敷きもついているので、大変便利です。試験直前対策として模擬試験問題もあるので、コスパの高い問題集です。
合格する一陸特の勉強法とは
合格に近づく一陸特の勉強法は、まず参考書 1 冊、問題集 1 冊、計算問題の参考書1冊をそれぞれ用意することです。ただ、理系の方や計算問題が得意な方は計算問題の参考書は不要です。
また、「無線工学」を初めて勉強する方は、イラストや写真が豊富な参考書から解きましょう。無線を初めて勉強する方にとっては問題集だけではわかりにくいため、最初にイメージを頭に入れることが大切です。その後に問題集を解き始めましょう。
また、一陸特の試験問題は、過去問題と同じパターンが出題されるため、2~3年分の過去問題を解くと出題傾向が見えて有利に働きます。そして、問題集に出てくる単語がわからない場合は、参考書の索引から調べ、辞書的な役割で学習しましょう。
そして、無線工学の計算問題は全 24 問中5問から7問は出題されるので、計算問題の対策は必須です。
計算問題の対策を徹底的に行う
計算問題が苦手な方は多いですが、電気回路の計算問題や対数を使った計算問題は、一度理解してしまえば、難しくはありません。このあと紹介する計算問題を行えば、理解が深まり、合格に近づけるでしょう。
「法規」の科目に関しては、暗記が主になります。過去問題で出題傾向をつかみながら、とにかく解いて覚えていきましょう。その際に有効な勉強法を次に紹介します。
要点をまとめたノートを作る
過去問題を繰り返し解いていると、出題傾向がわかるだけでなく、自分の弱点も明らかになります。何回も似たような問題で間違えている箇所が出てくるはずです。苦手な部分や重要な部分はノートにまとめ、復習を何度も繰り返しましょう。
通信講座を利用する
計算問題や電気関係の知識がなく、とにかく苦手という方の場合は、独学の勉強より、通信講座や講習のほうが適している場合があります。絶対に一発で合格したい方や効率よく最短期間で資格を取得したい方は通信講座がおすすめです。
働きながら資格の勉強をし続けるのは大変なことですが、通信教材であればスキマ時間を利用して進めることができ、添削サービスまであるなど、サポートが充実しているのが特徴です。
まとめ
一陸特は、計算問題の対策がポイントになります。特に計算問題が苦手な方は上記でおすすめした参考書で時間をかけて勉強しましょう。計算問題は一度理解してしまえば、攻略できます。そのうえで、過去問題がスラスラ解けるようになったら、もう安心です。合格点はクリアできるでしょう。
一陸特の試験内容は、電気工事士などを目指す方にも必要になる知識になりますので、今のうちにしっかり試験対策を行えば、今後の資格取得がスムーズになります。時間をとって試験対策をしていきましょう。