2級ボイラー技士は、ビルメンテナンスにとって欠かせない資格の1つです。資格を取得することにより、ボイラーがあるすべての施設で働けるようになるため、資格取得のメリットは大きいです。
一方、学習期間は教材の種類によっては1ヶ月~3ヶ月程度と短くて済むので、資格取得の労力に見合う資格です。
この記事では2級ボイラー技士の難易度、資格取得後のキャリアアップについて解説していきます。
目次
2級ボイラー技士の資格取得の流れ
2級ボイラー技士の資格を取得するには、下記の2つの条件をどちらも満たす必要があります。
① 試験に合格
② ボイラー実技講習を受講する、またはボイラー取扱技能講習を受けて実務経験を積む
※ ②の講習はどちらも試験を受験していなくても受講できるので、まとまった時間が取れるときに受講しておきましょう。
ボイラー取扱技能講習は、講習受講後に小規模ボイラーを4ヶ月以上取り扱う実務経験が必要なので、特別な理由がない限りボイラー実技講習を受講する方が良いでしょう。
ボイラー関連の講習の詳細
|
ボイラー実技講習 |
ボイラー取扱技能講習 |
---|---|---|
期間 |
3日間(20時間) |
2日間(14時間) |
形式 |
座学2日、実習1日 |
座学のみ |
修了時の試験 |
なし |
あり |
2級ボイラーに |
講習後、資格取得可 |
講習後、4ヶ月の実務経験の後、資格取得可 |
ただし、ボイラー取扱技能講習の場合は講習を受けただけで小規模ボイラーのみ取り扱えるようになるので、もし小規模ボイラーのみを必要としている場合であればおすすめです。
上記の講習は、どちらも事前の申込みが必要です。定員があるので早めの申込みをしましょう。
2級ボイラー技士試験の難易度と必要な勉強時間
2級ボイラー技士の合格率
2級ボイラー技士の合格率は、おおむね50〜60%で推移しています。
2級ボイラー技士の合格率の推移
|
令和元年度 |
令和2年度 |
令和3年度 |
令和4年度 |
令和5年度 |
---|---|---|---|---|---|
合格率 |
50.8% |
58.4% |
53.4% |
51.0% |
54.7% |
合格率からもわかる通り、しっかりと対策をすれば独学でも合格可能な試験です。
2級ボイラーの試験は、多肢選択式で知識を問う問題が多く、計算問題が少ないことが特徴です。
しかし、試験の内容は専門知識が問われるため、甘くみているとあっさりと試験に落ちてしまいますので、気を抜かずしっかりと勉強をしましょう。
合格するために必要な勉強時間
勉強時間は、以下に示す時間を目安に進めていきましょう。
・初心者や未経験で試験に慣れていない方は、毎日2~3時間の勉強を3ヶ月程度
・経験者や危険物など関連資格の合格者は、毎日2時間程度の勉強を1ヶ月程度
全体のボリュームが多いわけではないのですので、初心者でも3ヶ月程度という短期間の学習で合格を目指すことができます。
2級ボイラー技士の収入と今後の見込
2級ボイラー技士の平均年収
ボイラー技士の平均の年収はおおよそ300万円〜400万円ほどです。ただし、これはあくまでも平均の額になります。勤務する場所などで年収は違いますので参考程度とお考えください。
2級ボイラー技士が求められる場所
ボイラー技士は、以下に挙げるような場所が働く場所となります。
・工場
・発電所
・ホテル
・病院
・教育機関(大学や高校)
これらの施設では、大規模なボイラー設備が多く、常駐のボイラー技士が必要とされるので、安定的な需要があるといえます。
2級ボイラー技士を取得すると転職の際に有利になる
近年では、資格がなくても取り扱えるボイラーが増えてきていますが、まだまだ古いボイラーを大事に使っているところも多いです。
この先、資格が不要なボイラーが増えたとしても、ボイラー自体がなくなるわけではないので、ボイラー技士は必要とされます。
資格が不要なボイラーを扱う施設でも、ボイラーの仕組みを理解している技士にメンテナンスを任せたほうが安心なので、有資格者のボイラー技士は転職の際には有利となります。
2級ボイラー技士は狙い目の資格
資格が不要なボイラー(貫流ボイラー)の普及や、ボイラー技士の受験者数の減少などにより、今後はボイラー技士の有資格者が減少する見込みです。
一方でボイラー技士はさまざまな施設で活躍の場があるため、ボイラー技士の需要は変わりません。
ボイラー技士の需要は変わりませんが、有資格者数が減少するため、今後は有資格者が貴重な存在となっていくことが予想されます。
さらに、試験の難易度は高くなく、資格を取るまでの労力が比較的少ないため、まさに「狙い目の資格」といえます。
2級ボイラー技士からのキャリアアップ
設備管理の仕事をするなら、2級ボイラー技士だけ持っていればよいというわけでもありません。
2級ボイラー技士だけでも就職先はありますが、他資格を取得することによって、より多くの就職先を選択できるようになるため、資格取得後のキャリアアップも検討しましょう。
- 上位レベルのボイラー技士を目指す
- ボイラー以外の資格を取得する
上位レベルのボイラー技士を目指す
2級ボイラー技士を所持していれば、すべてのボイラーを取扱うことができます。
しかし、現場では作業員を管理する役割としてボイラー取扱作業主任者を選任することが義務付けられており、ボイラー技士の資格のランクによって、現場の規模が限られてしまいます。
資格 |
主任者となれるボイラーの |
---|---|
特級ボイラー技士 |
全て可 |
一級ボイラー技士 |
500㎡未満 |
2級ボイラー技士 |
25㎡未満 |
ただし、特級ボイラー技士が求められる職場は、大規模な工場や発電所などに限られますので、自分の状況に応じて取得するかどうか決めましょう。
2級ボイラー技士と共に取得したい資格
ビルメンテナンス業界には、俗にいう「ビルメン4点セット」という資格があります。
ビルメン4点セットとは、以下にあげる資格が該当します。
また、上記に消防設備士乙種4類を加えて、「ビルメン5点セット」と呼ぶ場合もあります。
ビルメンテナンス業界では、上記の資格を入社の必須条件とする企業もあります。
2級ボイラー技士に合格したら、他の資格にも積極的にチャレンジしましょう。
2級ボイラー技士の試験を受験するには
ここでは、2級ボイラー技士を受験してみようという方のために、受験までに必要な手続きを紹介します。
2級ボイラー 試験概要
受験料:8,800円(令和5年度現在)
試験時間:3時間
申込み期間:試験の2ヶ月前〜試験日の14日前まで
(※定員に達した場合、締切る場合があるので早めに申込みましょう)
試験会場
① 全国に7箇所ある安全衛生技術センターでの受験
② 都市部の大学や専門学校で行われる出張試験での受験
① 全国に7箇所ある安全衛生技術センターでの受験
安全衛生技術センターでの試験は毎月行われています。地方によっては月に2回実施されることもあります。
試験の日程は安全衛生技術センターの試験日程をご覧ください。
② 都市部の大学や専門学校で行われる出張試験での受験
出張試験は全国各地で年1~2回行われており、会場ごとに申込み方法が異なります。
詳しくは安全衛生技術センターの「出張試験の日程」ページでご確認ください。
需要の多いボイラー技士を効率よく取得しよう
工場や病院など、ボイラーを活用している施設はたくさんあり、ボイラー技士の需要は多いので、資格取得のメリットは大きいです。
2級ボイラー技士を取得すればすべてのボイラーの取扱ができるようになるため、設備管理技術者へのキャリアアップの近道となることでしょう。
2級ボイラー技士を取得した後も、1級や特級ボイラー技士を取得することで、主任者として活躍の場が広がります。
加えて、他の資格と組み合わせることで、今後のキャリアアップも狙うことが可能です。
しっかり試験対策を行うことで合格できる資格なので、積極的に資格取得をチャレンジしましょう。