技術士は技術系資格でも国内最高峰と言われる資格ですが、実は海外で働く場合でも大いに役立つのをご存知でしょうか。
なぜなら技術士を取得しておくと、国際的なエンジニアリング資格の申請が可能になるためです。
そこで今回は、海外から見た技術士の価値、申請できる国際資格のほか、海外で働く場合に押さえておきたい英語表記について解説します。
目次
技術士は海外でも通用する国際資格
日本は世界的に見ても資格が豊富とされていますが、実は海外に通用する資格はほとんどありません。
一方、技術士は国際的なエンジニアリング資格を取得する「前提条件」として認められている資格です。
海外でエンジニアを名乗る場合、正規の学士課程を卒業後、一定の実務経験を積み、国家試験に合格する必要があります。そのため、海外におけるエンジニアは、医師や弁護士と同等のステータスをもつといわれています。
日本では「エンジニア」を名乗る際に、資格などの条件を問いません。そのため、日本では誰でもエンジニアを名乗ることができますが、ひとたび海外に出るとエンジニアと認められません。そういった意味でも海外で通用する技術士は、取得するメリットが大きいといえます。
技術士で申請できる国際的エンジニアリング資格3選
技術士を経て国際的なエンジニアリング資格を取得すると、海外の顧客との仕事がスムーズになります。
ここでは、技術士で申請・取得が可能な、国際的エンジニアリング資格を3つ紹介します。
APECエンジニア
APECエンジニアとは、APECの加盟国において、有能な技術者が海外で自由に活動できるための資格制度です。APECエンジニアは11部門あり、日本の技術士は全11部門で申請が可能です。
APECは経済協力の枠組みで、21のアジア太平洋地域の国、地域が参加しています。韓国や中国の東アジア、タイやフィリピンなどの東南アジア、オーストラリア、カナダなどが参加しています。
IPEA国際エンジニア
IPEA国際エンジニアとは、国際エンジニア協定に加盟している、エコノミーの技術者団体の国際組織です。
国際エンジニア登録簿に登録すると、全ての加盟エコノミーで一定の基準を満たす技術者と認められます。日本で登録された技術士は、IPEA国際エンジニア「IntPE(Jp)」の称号を使用することが可能です。
APECエンジニアと異なり、資格の部門の区分がなく、国や政府が関わっていないという特徴があります。
国際エンジニアリング連合(IEA)
国際エンジニアリング連合とは、エンジニアリング教育認定の3協定(ワシントン協定・シドニー協定・ダブリン協定)と、エンジニア専門職資格認定の4つの枠組みであるAPECEA(APECエンジニア協定)、IPEA(国際エンジニア協定)、IETA(国際テクノロジスト協定)、AIET(国際テクニシャン協定)の加盟者で構成されている連合組織です。
それぞれを修了する際に求められる知識、技術、能力といった点は違いますが、到達すべき目標に関しては共通であるとされています。
【技術士】海外で働くなら知っておきたい部門の英語表記例
海外でエンジニアとして働く場合、正式な英語表記を名刺に印刷する必要があります。
ここでは、技術士や上記のエンジニアリング資格、事務所などの英語表記を紹介します。
日本語表記 | 英語表記 |
---|---|
技術士 | Professional Engineer〔略称: P.E.〕 Professional Engineer, Japan〔略称: P.E.Jp〕※1 ※1諸外国の技術者資格との混同を避ける観点から、日本の技術士であることを明確に示すことが必要な場合(日本国外で渡す名刺等) |
APECエンジニア | APEC Engineer |
IPEA国際エンジニア | International Professional Engineer 〔略称: IntPE(Jp) 〕 |
技術士事務所 | 以下が代表的な例となります。当会として特に使用を推奨する表記はありません。 ・PE Office ・Professional Engineer Office ・Consulting Office ・Engineering Consulting Office |
(技術士事務所の)代表 | 以下が代表的な例となります。当会として特に使用を推奨する表記はありません。 ・President ・Principal |
また、名刺に技術士の部門名を入れる際は、「Professional Engineer」または「P.E.(Professional Engineer, JapanまたはP.E.Jp)」の次に、以下の部門名を入れて括弧でくくります。
部門名の英語表記 | |
---|---|
部門名 | 英文表記例(省略型) |
機械部門 | Mechanical Engineering(Mech.) |
船舶・海洋部門 | Marine & Ocean |
航空・宇宙部門 | Aerospace |
電気電子部門 | Electrical & Electronics Engineering(Elec.) |
化学部門 | Chemistry |
繊維部門 | Fiber & Textiles. |
金属部門 | Metals |
資源工学部門 | Mining |
建設部門 | Civil Engineering(Civil) |
上下水道部門 | Water Supply & Sewerage(Water) |
衛生工学部門 | Environmental Engineering(Env. Eng.) |
農業部門 | Agriculture |
森林部門 | Forest |
水産部門 | Fisheries |
経営工学部門 | Industrial Engineering(Industrial) |
情報工学部門 | Information Engineering(Info.) |
応用理学部門 | Applied Science(Appl. Sci.) |
生物工学部門 | Biotechnology & Bioengineering(Bio.) |
環境部門 | Environment |
原子力・放射線部門 | Nuclear & Radiation(Nuc.& Rad.) |
総合技術監理部門 | Engineering Management |
技術士は海外でも有効な国際資格です
技術士は、海外で通用する日本の数少ない資格の一つです。技術士を取得すると、国際的に認められた、希少なエンジニアとして活躍できます。
また、海外で働く際は、正式な英語表記を名刺に印刷しておくと役に立ちます。高い技術力と専門性、資質能力をもっていることを海外でもアピールできるので、名刺の内容は間違わないように注意しましょう。
技術士資格を取得しようとしている方は、オンライン講座での過去問対策も検討してみてください。通信教育SATのオンライン試験対策講座の場合、専門講師による過去問の解説を動画で視聴して自宅にいながら学習できます。
動画を使ったオンライン講座のメリットはいつでも勉強ができる点です。例えば外出先の電車の中ではスマートフォンを使い学習をし、帰宅後にテキストと合わせて続きから勉強を始めることもできます。サンプル講義動画も視聴できるので、まずはそちらをご覧になられてみてはいかがでしょうか。